C3fit Run Workshop Report

#3 心肺機能を鍛える高負荷トレーニング&低酸素トレーニング体験

Study Session「心肺機能を鍛える高負荷トレーニング&低酸素トレーニング体験」

「低酸素トレーニング」と聞くと、アスリートの高地トレーニングをイメージするかもしれませんが、実は高地まで行かなくてもできる、一般のランナーにとっても効率的なトレーニング方法です。少ない酸素の中でトレーニングすることで、通常時よりも低い運動強度で、心肺に集中的に高負荷をかけることができます。筋肉や関節への負荷は少なく、かつ通常のトレーニングよりも短い時間で心肺機能を鍛えられると注目が集まっているトレーニングです。現在、忙しいビジネスパーソンもたくさん活用しており、上級者から初級者まで「走るのが楽になった」「粘れるようになった」「長距離走れるようになった」との声が上がっています。
今回のC3fit Running Workshopでは、ミウラ・ドルフィンズで健康運動指導士、低酸素シニアトレーナーとして活躍中の宮崎 喜美乃氏を講師に迎え、実際の低酸素室に入りながらトレーニング体験をしました。

【講師プロフィール】

宮﨑 喜美乃

宮﨑 喜美乃(みやざき きみの)

1988年、山口県出身。小学校から陸上競技を始め、鹿屋体育大学では長距離選手として活躍。
同大学大学院進学を機に競技から離れ、低酸素と登山の研究に没頭。現在ミウラ・ドルフィンズで健康運動指導士、低酸素シニアトレーナーとして活動中。2014年新宿ハーフマラソン出場を機にランニングを再開。2014年10月ハセツネに女子チームとして参戦を機にトレイルランニングを始める(女子11位)。2015年3月IZU TRAIL Journey女子2位となり、一躍脚光を浴びる。2015年9月STY女子優勝、2016年6月スパトレイル〔四万to草津〕女子優勝。

ランナーなら知っておきたい、酸素の重要な役割

みなさんは、空気中の酸素の割合っていくつかご存知ですか?
通常環境では2割が酸素で、残りの8割はほぼ窒素になります。標高が上がってもこの空気中の割合は変わらないのですが、空気の量が減るので一緒に酸素の量、窒素の量も減っていきます。ゆえに「酸素が少なくなる」といいます。
今回みなさんに体験していただくニュートラルワークスの低酸素ルームでは、気圧を変えずに酸素量を減らすことで、標高が高いのと同じ状態を作っています。今回は標高3,000mに設定しています。
さて、低酸素環境でのトレーニングを効率良く行っていただくために、少し酸素の役割についてお話させていただきますね。
「体を動かすためにはエネルギーが必要だ」という話はみなさん聞いたことがあると思います。エネルギーを作り出すための一つの方法として、体は糖を分解します。糖を分解していき副産物として乳酸が出ます。乳酸って聞いたことありますか?ガーって走ると、ギューってなるやつです(笑)。要するに、疲労を感じる物質ですね。
この乳酸は疲労物質と呼ばれますが、乳酸を更に分解することで新たにエネルギーを作ることができます。この時に必要なのが酸素です。つまり、乳酸が出たとしても、より多くの酸素を取り込むことができれば、乳酸を除去してエネルギーに変えることが出来るのです。なので、長距離ランナーにとって、より多くの酸素を取り込む力はパフォーマンスを向上させる上でとても大切な力になってきます。
酸素を取り込むと一言で言っても、口と鼻から取り込めばOKというわけではありません。肺に送り込み、血液が酸素を取り込み、全身に送り、筋肉に酸素を届けるという能力です。これを鍛えましょうという話です。

低酸素トレーニングの2つのメリット

酸素の重要性についてご理解いただいたところで、次は低酸素トレーニングについてお話していきますね。
酸素が少ない環境で平地と同じ強度で練習すると、体は酸欠状態になります。必要な酸素量を確保するために、酸素の取り込みを促すホルモンが分泌されます。このホルモンは、血管の1本1本を太くしたり、数を増やしてくれる作用などがあります。酸素の取り込む能力がアップした状態で平地に戻ると、より楽に体を動かせるようになるのです。これが、低酸素トレーニングをするとパフォーマンスアップできる理由です。
低酸素トレーニングは、平地でのトレーニングの前にやるのか後にやるのかで得られる効果が違ってきます。脂肪燃焼効果を高める目的や、乳酸をエネルギーに変える力が高め力強いラストスパートや急激なペースのアップダウンにも対応できる力がつけるなど、目的に応じて効果的に低酸素トレーニングをトレーニングに取り入れていくことができます。
みなさんの走る目的は「シェイプアップ」だったり「レースで入賞を狙う」だったり様々だと思いますので、ご自身の目的に合わせて活用してみてくださいね。ニュートラルワークスの低酸素トレーニングでは一人ずつにプログラムを目的に応じてカスタマイズしていますのでご相談ください。

低酸素トレーニングの取り入れ方

「低酸素トレーニングって具体的にどうやって自分の練習メニューに組み込めばいいの?」という方もいらっしゃると思いますので、低酸素トレーニングの取り入れ方をお伝えします。
みなさんは、シーズンインとシーズンオフで練習メニュー変えていると思います。シーズンオフは、脚を作るために、走るペースを落として、距離を増やす方が多いですよね。ですが、強度を下げると心肺にかかる負荷が下がってしまいます。心肺への負荷が少ない練習をしていた状態からシーズンインして、心肺にも筋肉にも高強度の負荷をかけるトレーニングに切り替えると、体がうまく対応できなずに時間がかかったり、怪我をしやすくなってしまうんです。
そこで低酸素トレーニングを利用すると、筋肉や関節への負荷を抑えながら、心肺機能はいつも通りの負荷をかけることができます。シーズンオフに低酸素トレーニングを利用することによって心肺機能を維持し、シーズンインするタイミングで怪我のリスクを抑え、効果的に心肺機能を向上させることができるようになるんです。
次に、シーズンインです。低酸素環境でトレーニングすることによって、平地トレーニングと同じ強度で運動しても、より多くの乳酸を短時間で出すことができます。このような環境でトレーニングすることで、乳酸をたくさん出して、その乳酸を除去してエネルギーに変える能力を鍛えることができます。この能力が高まると、いつもよりペースアップして走ることができるだけでなく、起伏があるコースでも効率よく体のエネルギーを作り出すことができるようになるので、レースで競ってて自分のペースでいけないとき、つまりペースのアップダウンが激しいレースでも着いていけるようになるのです。また、後半のバテを抑えられるようにもなります。
また、故障気味で走れないというタイミングでも、低酸素環境で自転車トレーニングをするなどで心肺機能を維持したりすることもできるのです。
低酸素トレーニングには様々な効果がありますので、シーズンオフとシーズンイン、また走れない時などで効果的に使い分けてもらえればと思います。

低酸素トレーニングをする上での注意点

低酸素トレーニングをする上で注意していただきたいのが、「標高が高ければ効果が高まるわけじゃない」ということです。
標高が高ければ高いほど酸素が薄くなるので心肺機能は鍛えられますが、その分運動自体は激しくできないので筋肉へかかる衝撃の負担は少なくなります。ですから、低酸素環境のみでトレーニングをすると、平地でのトレーニングをしたときに「脚が追いつかない」といった状態になってしまいます。筋力トレーニングと心肺機能のトレーニングを、バランスよく行なってくださいね。
また、体内で使われる酸素の割合は通常時に筋肉が20%、脳が20%、内蔵系が30%、その他30%といわれています。これが運動時には指令を出す脳や、体を動かす筋肉への酸素供給が増え、内臓は一気に低下します。低酸素環境は更に酸素が少ないわけですから、内臓への負担は顕著です。低酸素トレーニングで具合が悪くなってしまう方は、消化不良による体調不良が実はほとんどです。なので、低酸素トレーニングのあとは消化に良い食事を採ってくださいね。
以上、低酸素トレーニングについてきちんと理解した上で、効果的に活用しパフォーマンス向上に活かしていっていただければと思います。

Activity Session 低酸素トレーニング体験

では、実際に低酸素ルームで高負荷トレーニングを体験してみましょう!(宮崎氏の指導の元高負荷トレーニングに取り組む参加者たち)

参加者の声

「講義で理論を理解し、実技でその効果を体感する流れはとても良いと思います。2月は、時間も長い週末開催もあるので、楽しみにしています!」

「今回のイベントも大変満足でした。食事管理について興味があるので、『マラソンに勝つ!レース前の食事管理』『食事を制するものがマラソンを制する』の回も今からとても楽しみです」

「『低酸素トレーニング』と聞いて敷居の高さを感じていましたが、今日の講義を受け、実際に体を動かしてみて、自分でも取り組めるという感触を得ることができました。積極的に取り組んでみたいと思います」

NEUTRALWORKSOXYGEN with MIURA DOLPHINS

今回のC3fit Running Workshopで体験した、ニュートラルワークスの低酸素ルームについてはこちらから詳しくご覧いただけます。
http://www.goldwin.co.jp/neutralworks/rooms

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