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        WORKING FISHERMAN Vol.07

        犬山市観光協会・木曽川うかい稲山 琴美

        観光協会に入社後は船頭見習いを1年間やって、その次の年から鵜匠としてデビューしました。それは観光協会の流れで、今思うと特殊だったと思います。でもずっと観光協会の表に立つ仕事がメインで、鵜飼の仕事も実際やっていないし、詳しくなかったんです。今年から本格的にやり始めたぐらいなので、見せかけの鵜匠だったと思います。詳しく知らないのに、鵜匠として祭り上げられて、正直大変でした。2012年に見習いとしてスタートして、2013年鵜匠デビュー。2014年には産休に入って、昨年に復帰したという感じです。

        今は子育てがめちゃくちゃ楽しいです。子供が急に熱を出して振り回されることもあるんですけど、保育園も入園できたし、会社の皆さんの理解もあるのでとてもありがたいです。協会は土日休みですが、私は日月休みで固定です。鵜飼のシーズン中に私が出るときは、先輩鵜匠さんが船頭をしてくれて、パニックになったらサポートしてくれる体勢で組んでくれています。先輩鵜匠さんか親方が船頭で乗ってくれるので、安心して仕事ができています。

        鵜飼は、かがり火の明かりで船の影が川底に映って、寝ていた魚が驚いて明るいかがりの下に逃げて来るのを、鵜が獲るのが漁の仕組みです。主にアユが獲れて、他にはウグイやナマズ、ニゴイなどを捕まえてきます。鵜飼をやっていると、風が吹いてかがりの火の粉が飛んできて、顔や足をやけどすることもよくあります。ヒリヒリしてシミになるし、心が折れそうになるけど、縄をさばくのを止めると鵜が全部絡まってしまうので、鵜飼を続けなきゃいけないんです。一番しんどいのは、夏場に鵜船の上で遊覧船のお客さんに鵜飼の説明をしているとき。炎天下だと川の照り返しが強くて、我慢できないぐらい暑いんです。ちなみに、鵜のくちばしは力が強く魚はだいたい即死するので、獲った魚を人間が食べることはありません。どちらかというと観光のため、漁の様子を見せるパフォーマンスの一つですね。

        今はお客さんに若い世代がほとんどいません。たまに大学生が来ると緊張するぐらいで。もう少し若い子達が鵜飼に興味を持ってくれるようになると嬉しいですね。私が入って、みんなが注目してくれて、実際お客さんは増えました。以前どうだったか知らないので、具体的にどのくらい増えたかはわからないんですが。船の中でお酒を飲んで、普段味わえないことができるので、来たお客さんはかなり盛り上がってくれます。火の熱さや、鵜が飛ばす水しぶきがかかるぐらい、お客さんに近いし、アトラクションとしておもしろいと思いますよ。

        私自身、鵜匠にはあまり向いてないと思っているのですが、まだしばらくは続けていきたいと思っています。今の目標は鵜飼の時に身につける腰蓑を自分でまともに作れるようになることですね。まだ最後まで作れたことがないので(笑)。鵜飼サミットという全国の鵜飼さんが意見交換をする場があるのですが、私は個人的に宇治にいる女性の鵜匠さん2名に何かあると相談したり、話を聞いたりしています。ライバルという感じは全くなく、お互い無理しないで頑張ろうと話しています。

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