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Vendée Globeアジア人初出場。
白石康次郎が語るレースへの想い、
ウエアへの期待。

海洋冒険家
白石康次郎Kojiro Shiraishi

単独、無寄港、無補給で世界を一周するヨットレース「Vendée Globe」。
世界最高峰であると同時に世界で最も過酷と言われる4年に一度のレースに、海洋冒険家・白石康次郎さんはアジア人として初めて出場します。その挑戦を出場決定前からサポートしているのがHELLY HANSEN。
レースへの想いやウエアへの期待を、白石さんに聞きました。

ついに出場がかなった
憧れの大会、Vendée Globe。

Vendée Globeは、師匠である多田雄幸のもとで学んでいるときに知って、以来ずっと憧れていた大会です。フランスのヴァンデを出航して、アフリカの喜望峰を抜けてインド洋、南氷洋、また大西洋に入るコースはまだに世界一過酷と呼ぶにふさわしいですが、まず出場するまでの過程が何よりも過酷だった。同時に、出場できること自体がたくさんの人たちで起こした奇跡だと言えます。Vendée Globeの準備はスポンサー探しからヨットの調整まで何年もかけるのが通常ですが、僕たちの場合はスポンサーの決定から船の購入、予選の通過までものすごい短期間でやりきりました。HELLY HANSEN(以下、HH)も出場が決まっていないときからウエアを通じてサポートしてくれましたが、このレースに関わるみんなが「Vendée Globe日本人初出場」という旗印に向かって頑張った結果が、今回の出場なんです。僕だけの力じゃ決してできなかった。信じることの力を教えられました。

ついに出場がかなった憧れの大会、Vendée Globe。

約2,000時間、予断を許さない
世界一過酷なレース。

Vendée Globeのレース条件はただでさえ厳しい環境で行われる海上のヨットレースを極限まで過酷なものにします。ストップウォッチを押してスタートしてから約2,000時間、時計が止まることなくずっと続くんです。普通のスポーツは長くても2、3時間です。コースは地球一周で、これ以上長い競技はない。赤道で猛暑にさらされたと思ったら、日ごとに涼しくなり、寒くなり、雪やみぞれにさらされることになります。短期間で想像が追いつかないほどの変化と直面するのも、Vendée Globeならではです。もちろん海上なので常に風に影響を受け続けます。風が変化したら24時間いつでも対処しなければならないので、寝ていてもトイレにいても競技時間。それが一番過酷かもしれません。

出場チーム唯一、Vendée Globe専用ウエアを開発。

Vendée Globeは単独、無寄港、無補給のレースなので当然、交代要員がいません。そして、すべてを独りで効率良くやらなければなりません。また、10m級の大波が襲ってくる海域もあり、海に投げ出されても誰も助けてくれない。ひとつのミスも許されないんです。今回は、HHと共にこのレースのために開発したワンピースを2着、赤道用と南氷洋に加え、光電子のウエアなどを持っていきますが、1分1秒を争う迅速な対応や海ならでは過酷な環境に適した機能を備えていて、とても頼りにしています。Vendée Globe専用にウエアを開発したというのも、ほとんど聞いたことがないですね。チームの出場者から羨ましがられるほどで、「お前のスーツが一番かっこいい」と言ってくれたフォトグラファーもいたくらいです。

専用ワンピースは、
高機能と着脱スピードを実現。

HHのワンピースで特に優れているのが着脱の早さです。海水の塩や波の圧力に負けない強さを持ちならが、首元や手首の防水性は高め、同時に動きやすくないといけない。当然、透湿性も重要です。すべてが不可欠な要素ですが、機能を盛り込むほど着脱には時間もかかるのが普通です。でも、僕のウエアは今まで3分かかっていたところを1分で着られます。これはヨットレースを戦う上でものすごい進化なんです。あと、もうひとつ頼もしいのが、光電子の存在。しかも、ヨットの中は外気温と同じで、野生の中で生活するようなもの。南氷洋では、長く愛用している光電子のフリースを着る予定です。普通のフリースより明らかにあたたかいと実感しています。フランスでも着ているエスペリジャケットも快適で、レースの準備を進めているクルーたちに評判いいですよ。

専用ワンピースは、高機能と着脱スピードを実現。

ウエアと共に目指す、
日本人初参戦、初完走。

いつも快適でいることを、僕は人生にも通じる非常に大切なことだと考えています。常に機嫌によく明るく、楽しく、前向きであることと言い換えてもいい。人生ですから、いいときも悪いときもある。幸運も不幸もある。ヨットに乗っていて風が吹くときもあれば、吹かないときもある。人間、調子がいいと直感も鋭くなりますが、悪いときは判断を間違います。状態が悪いのに無理するから間違う。良かれと思っても、結果的に悪い方向に向かってしまうんです。単独のレースはすべて自分で決断しなければいけません。だから判断する前に、いい判断ができる快適な状況を作る努力をします。船の上でやるのはすごく難しい。だからなおさら、体を守ってくれる、ハーネスも備わっている、自由に動ける、いい判断もさせてくれるウエアの存在がありがたいんです。HHのウエアと共に、日本人初参戦、初完走を果たせるように頑張ってきます。

海洋冒険家 白石康次郎 Kojiro Shiraishi

PROFILE

海洋冒険家
白石康次郎Kojiro Shiraishi

1967年5月8日生まれ。少年時代に船で海を渡るという夢を抱き、高校在学中に単独世界一周ヨットレースで優勝した故・多田雄幸氏に弟子入り。レースをサポートしながら修行を積む。1994年、26歳でヨットによる単独無寄港無補給世界一周の史上最年少記録(当時)を樹立。その他、数々のヨットレースやアドベンチャーレースでも活躍する。2006年、念願の単独世界一周レース「ファイブ・オーシャンズ」クラスⅠ(60フィート)に参戦し、歴史的快挙となる2 位でフィニッシュ。2008年には、フランスの双胴船「ギターナ13」号にクルーとして乗船し、サンフランシスコ~横浜間の世界最速横断記録を更新した。そして、2016年6月には最も過酷な世界一周ヨットレース「VENDEE GLOBE」の最終予選となる「大西洋横断ヨットレース」で7位に入り、アジア人として初めて2016年11月に開催された本番レースに出場した。
http://www.goldwin.co.jp/hellyhansen/vandeeglobe/

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