SOUNDSCAPE

Session #1 SHOTARO AOYAMA

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「SOUNDSCAPE」、
つまり音景は、音が描き出すランドスケープを意味する。
空の色、街の明かり、行き交う人々…都市の景色は、
刻一刻と変化して、その瞬間にしか存在しない。一方、音楽における
インプロヴィゼーション(即興演奏)は、そのときその瞬間のグルーヴが生まれる。

このプロジェクトでは、各々のアーティストが、
自分の住む都市の音をフィールドレコーディングし、その音に対して
即興で音楽を演奏し、音景を作っていく。
服をまとい、景色の音を奏でるアーティストたちとともに、
THE NORTH FACEが描く「SOUNDSCAPE」を全4回に渡ってお届けする。

Session #1 SHOTARO AOYAMA

第一回目のアーティストは、THE NORTH FACEの数々の映像作品の音楽を制作する一方で、音楽と様々なカルチャーを結びつけるプロジェクト「NF」にて、音楽や映像を軸に様々なプロジェクトを手がける、青山翔太郎さんが登場する。
音景を作る。「SOUNDSCAPE」のこのコンセプトを発案し、プロジェクトのディレクターとして音や映像さまざまな面で支えてくれるのが青山さん。まずは音と景色という、点と点を線で結ぶことによって生まれた「SOUNDSCAPE」のコンセプトや、その全体像を詳しく語ってもらった。

「景色をつぶさに見ていくと、空の色や雲の形は刻一刻と変わるので、同じ景色というものはありませんよね。 つまり、景色はその瞬間(とき)にしか存在しないということになります。一方、音楽のインプロヴィゼーション(即興演奏)というものも、そのときその瞬間のグルーヴというのが生まれます。
つまり、その瞬間にしか存在しないという意味で、インプロで作った音楽と僕らが観ている景色は同じなんじゃないかと。今回、曲をつくるときには、自分の身近な場所でフィールドレコーディングした音を聞きながら、演奏しています。いわば、音の景色を作っている。そんなところから、今回の「SOUNDSCAPE」を思いついたんです。このプロジェクトでは全4回を想定しているんですが、はじめに僕がリズムのパートを担当し、次のアーティストにはアンビエントを、その次はリードを、というようにリレーのように、次のアーティストにバトンを渡して、最終的にひとつの楽曲になるように、曲を作り上げていきます。」

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言わずもがな、今回のプロジェクトの主役は「音楽」になる。
THE NORTH FACEとともに作り上げてくれる青山さんの、まずはその音楽遍歴を簡単に振り返っておきたい。

「今はNFの発起人でもあるサカナクションの山口一郎さんたちと音楽や映像をはじめ、いろいろなプロジェクトを同時進行で作り上げています。たとえば、日本ブランドのパリコレのショーでの音楽を手がけたり、音楽と様々なカルチャーをつなぐイベントを行ったり、音楽を軸に仕事は多岐に渡ります。
ちょっと話が遡るんですが、そもそも僕が本格的に音楽を作るようになったのは、ファッションの仕事で一時期住んでいたパリがきっかけです。
結局パリには2度住んでいたんですが、1回目の渡仏した2007年あたりは、世の中を席巻していたのがDaftpunkの次世代である EdbangerやKitsuneを筆頭にしたフレンチエレクトロでした。その頃はアメリカではDFA、イギリスではDominoやインディーダンスロックも人気がありましたし、中でも、僕はオランダのSoulwaxというバンドが好きでした。フロントマンの2人は2manydjsとしても知られていますが、ダンスロック系のミクスチャーの中でも、彼らのようにコンセプチュアルなバンドは見たことがありませんでした。」

2回目の渡仏後には、仕事の傍で音楽制作を行い、自身のレーベルを作り、レコードを世界流通させるなど、音楽面でも本格的にリリースを開始した。
しかし、その盤には、青山翔太郎(Shotaro Aoyama)という名前は刻印されていなかった。

「パリで日本人が楽曲を作る、レコードを出すというのは珍しいので、自分名義で出したほうがセールスがよくなるだろうというのはわかっていました。でも音楽にそういうバイアスをかけたくなかったんです。レコードも白いラベルにアーティスト名とタイトル、レーベルロゴのスタンプのみ、デザインなしのレコードでリリースしていました。
ダンスミュージックはグルーヴが命なので、打楽器などを特に勉強して、その流れから民族音楽などに興味を持ち始めました。
豊作の儀式やお祭りなどで太鼓を叩いたりするように、民族系音楽というものは、世界共通で感じることができる、力のある音だと思っています。日本人が作りましたという色を付けるのではなく、明確なコンセプトを持って音楽を作っていたので、そちらに目を向けてほしいという気持ちが第一にありました。」

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「色を、バイアスを、先入観をつけたくない」。この哲学は、音楽に限らず、青山さんが好きな服にも相通ずるものだ。服に対する考え方、さらに仕事で国内外を旅することが多い青山さんは服になにを求めるのか。

「着る服全般で言えば、デザインが主張していないものが好きです。その方が、着ている人の話し方や内面に意識が向かうと思います。着る服、いわば表層によって、色が付いてしまうのは苦手ですね。THE NORTH FACEの今着ている服は、ロゴも控えめでアノニマスなデザインが印象的ですが、今回の服は、都市でも、街からちょっといった自然の中でも着られる服になっていると聞きました。厳しい自然も含めた、ユーティリティを備えた服をこれまでに散々作ってきたTHE NORTH FACEが、その経験を活かして、機能的な街着を作るというのはいいですよね。僕は、旅のときも服装も日常着の延長がいいと思うんです。たとえば、ずっと着ていられる肌着のような着心地で、でもちゃんと外出着としても成立するような。今回の服のように、機能を持ちつつも、ルックスは都市で使えるように仕立てるというやり方にも近いものを感じます」

そんな服をまとった青山さんとともに、楽曲を制作する前のフィールドレコードのために、東京の汐留周辺を歩き、都市の音を採集する。大きなビルが林立し、その間を縫うようにして道が張り巡らされ、その上を車と人がせわしなく行き交うこの街。都市の鼓動を聞くように、ヘッドフォンを装着してフィールドレコーダーの機器を起動する。

「僕は八丁堀で生まれて、中央区で育ちました。なので、自然100%というよりも、この汐留のように、ビルなどで囲まれているというような環境の方が落ち着きます。このあたりは川もあって、浜離宮のように自然もある。とはいえ、“作れられた自然”です。でも僕にとっては、それくらいがちょうどいいのかなと感じてます」

都市、自然、テクノロジー、感情。こういったキーワードが、青山さんが見る景色、着る服、そして今回作ってくれた音楽の中で、ぐるぐる円環するように登場している。今回の「SOUNDSCAPE」第一回目で、青山さんが作り上げた音楽とは一体どんなものなのか。

「今回は、電子音のシーケンスの上に、パーカッションなどの生音を重ねています。都会的なイメージを電子音の機械的なグリッドで表現して、その中にオーガニックのパワーとして、ベースや、民族系のパーカッションがある。自然と都会をつなぐ、そんなことを考えながら、作りました」

Session #1

青山翔太郎 / SHOTARO AOYAMA

THE NORTH FACEの多くの映像音楽を手がける一方、音楽とカルチャーを結びつけるプロジェクト「NF」にて、様々な活動を行う。
また、自身のレーベル"Deep Frontier Records"や、フランスのレーベル"D.KO"からアナログ盤を発売するなど、海外でのリリースも定期的に行なっている。

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