1980年、エレッセから誕生した
革新的なウェア「ウインドアップス」。
当時、ニット素材のトレーニングウェアが
主流の中、
防風に優れた
「ウインドブレーカー」と動きやすさのある
ニット素材の
「ウォームアップ」の利点を
組み合わせて生まれた、
布帛素材の「ウインドアップス」は、
トレーニングウェアの枠を超え、
新しさやデザイン性から
ファッションとしても注目されていました。
その「ウインドアップス」が今季、
素材・デザインをアップデート。
誕生から40年、進化を続ける
テニスウェアのさらなる可能性、
時代にマッチするデザインの探究など、
常に新しい姿を見せてくれる
「ウインドアップス」の歴史を紹介します。

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日本でのテニスブーム到来とテニスウェアの存在 日本でのテニスブーム到来とテニスウェアの存在

 日本でのテニスブームは、1959年の皇太子殿下(現 上皇陛下)と美智子さまによる軽井沢ロマンスに始まると言われています。そして、この年はエレッセがイタリアで創業をした年でもあります。まだ街にはテニスコートが少なく、テニスは避暑地のレジャーとして認知されていたほどでしたが、チルデンセーターやベストを着て、「フタバヤ」のラケットを抱えて銀座を歩くことがオシャレという、ファッションとしてのブームのきっかけとなりました。1975年には日本人の沢村和子さんが日系米国人のアン・キヨムラさんとペアを組み、ウィンブルドン女子ダブルスで初優勝。これが、最大のテニスブームを巻き起こすひとつのきっかけとなり、ジミー・コナーズ、ボルグ、マッケンローやクリス・エバート、ナブラチロワなど、世界のスター選手にも注目が集まるようになります。また、1973年〜1975年、1978年〜1980年に『週刊マーガレット』に連載された、スポーツ根性漫画『エースをねらえ』が大ヒット。ストーリーには当時活躍していた実在選手たちのエピソードなども盛り込まれていました。1980年代は第二次ベビーブーム世代として、若者の人口が増加。バブル好景気で盛り上がる日本の大学生たちは、サークルでの飲み会、スキー、テニスなどをライトに楽しみ、男女でお揃いのウインドブレーカーと、人気ブランドのマークが胸についたテニスウェアを身につけるなど、サークル内恋愛を盛り上げるツールでもありました。

「ウインドアップス」の誕生より機能的でファッショナブルなウェアを求める時代に 「ウインドアップス」の誕生より機能的でファッショナブルなウェアを求める時代に

 テニスブームが訪れる中、テニススタイルは「ウォームアップ」というウール混のニット素材を使用したウェアが主流に。「ウォームアップ」は防寒性に優れていましたが、ニットは編み物のためどうしても隙間から風を通してしまうデメリットがありました。しかし、当時ストレッチ機能のある糸がなかったため、動きやすく伸び縮みする生地を作るにはニットを使うしかなかったのです。この時、防風アイテムとして着られていたのが「ウィンドブレイカー」。ただ、こすれにより起こるノイズなど、テニスのスイングには不向きな生地でした。そこでエレッセが考えたのが、素材の技術進化もあり実現した、非常に細い糸の合繊で作る布帛素材をベースにしたアイテムの開発。80年代半ば、「ウォームアップ」の動きやすさと「ウィンドブレーカー」の防風性を兼ね備えた「ウィンドアップス」がエレッセより誕生しました。当時はストレッチ機能を備えていなかったため、脇下に少しゆとりを持たせたシルエットで動きやすさをカバー。テニスでは体の前でスイングをするため、生地がこすれてもガサガサと音がしないように柔らかめの生地を採用していました。また、布帛素材には透湿性能がないので、背中にベンチレーションを作り通気性を持たせたのも特徴です。

時代と共に進化を続ける「ウインドアップス 」の機能とデザイン 時代と共に進化を続ける「ウインドアップス 」の機能とデザイン

「ウインドブレーカー」と
「ウォームアップ」を
組み合わせた
「ウインドアップス 」が登場

80年代は、Run-D.M.C.の象徴的なスタイルなどヒップホップカルチャーとスポーツウェアの親和性が高い時代。エレッセでは、スポーツウェアとしての転換期の年でもありました。高密度のガサガサした布帛素材で作られた、防風性に優れているけれど動きにくい「ウインドブレーカー」とニット素材で動きやすいが風通しが良くかさばる「ウォームアップ」の2アイテムの利点を組み合わせた「ウインドアップ」が登場。細い糸を高密度に織った素材を使用することで、薄くてかさばらず、風も防ぎ、生地どおしのこすれるノイズも軽減されました。当時の布帛素材にはストレッチ機能がなかったため、動きやすさを考慮して運動量を持たせたシルエットに。衣服内の換気も考慮し、背中にはベンチレーションが設けられていました。

カラーブロックや素材の自由など
テニススタイルが華やかな時代に

バックストリート・ボーイズなどのアイドルがスポーツアイテムをファッションに取り入れ、ストリートでもスポーティコーデがトレンドとなった90年代。「エレッセ」の防寒アウターは「ウォームアップ」に代わって「ウインドアップス」が定着。テニススタイルがファッションとしても華やかになった年代で、ライン使い、カラーブロックがデザインの特徴でした。カラフルなカラーバリエーションを揃え、ジャケットにあるカラーと同じカラーのボトムスを合わせるセットアップが流行。春夏になると綿とポリエステルを合わせた「ウインドアップス」、冬場になると合繊100%で作った防寒性に優れたものなどが登場し、1999年頃には、シーズン問わず「ウインドアップス」を楽しめるようになりました。

カラバリの豊富さとロゴテープ使いに
感じるウェアの進化

2000年代になってもカラーバリエーション豊かなデザインの流れは続いており、90年代からさらにブラッシュアップされた印象。ロゴをあしらったテープ使いが当時のデザインの特徴にもなっています。テープなどの副資材を使用したバリエーションが登場したことで、デザインとしてもより表現の幅が広がった時代と言えます。90年代中盤には、裾のリブをなくし、シルエット調節が可能なスピンドルを裾にいれたストレートシルエットのジャケットが登場し、それにあわせて2000年代ではボトムスもストレートシルエットが主流になりました。

素材技術の進歩で
機能性を備えたデザインに

リバイバルブームが訪れた2010年代は、90sファッションを現代風に落とし込んだスタイルやアスレジャー、ダンサー系のスタイリングが流行しました。素材の機能もさらに進み、「ウインドアップス」にもストレッチ素材と組み合わせて動きやすさを追求したものが登場。それによって動きを素材の機能面でカバーできるようになり、シルエットも身体にフィットしたものに。保温や吸汗速乾機能のある素材も開発され、機能裏地を付けた「ウインドアップス」が新たに加わるなど、素材のイノベーションが起きた年でもありました。

今季の「ウインドアップス」は、コートからストリートまで1日中着ていてもノンストレスで機能的に過ごせることが特徴。過去のウインドアップスは素材の特性上、運動性を考慮すると定型のシルエットとなっていたため、カラーバリエーションでテニスの楽しさを表現していました。しかし、素材の進化もあり、動きに追随する素材が登場。運動性能を妨げることなく、シルエットの変更が可能になり、デザインの幅が広がりました。今季は、身幅、袖幅の太さを残すことで、普段着のアウターとしても着られるようなデザインに。“みんなで楽しくカッコよくテニスを楽しむ”(FUN AND PLAY)をコンセプトに、その“FUN”の要素を強くした「ニューウインドアップス」を展開しています。

「ウインドアップス」に今回初めて使用した素材“ナイロン4WAY”は、薄手・軽量でいて縦横4WAYに伸び、様々な動きを妨げにくい優れた性能。素材にストレッチ機能を加えると一般的には重量が増しますが、細い糸を密に織り込むことでそのデメリットを軽減。ストレッチ性能と軽量化を両立させています。また、密に織り込むと適度なハリコシ感が出るため生地がまとわりつかず、シルエットもきれいにキープ。1枚でサラっと着用できるよう、ドライタッチな風合いにもこだわっており、防風性や少々の雨をはじく撥水機能も兼ね備えています。

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