DMG MORI SAILING TEAM X HELLY HANSEN PROTECTIVE GEAR

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DMG MORI SAILING TEAM X HELLY HANSEN
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2016年ヴァンデ・グローブ用のウエアミーティングの様子。

体にフィットするウエアを追求

ヘリーハンセンと白石氏との関係は長く、2002年「アラウンド・アローン」、2006年「5オーシャンズ」、2016年「ヴァンデ・グローブ」と、白石氏の世界一周レースへの挑戦を支えている。
今回2度目のヴァンデ・グローブ挑戦にあたり、これまでの経験と白石氏の意見をフィードバックし最新の技術でウエア製作を行った。
「白石さんの体を3Dスキャンで測定し、全ての部位が体にぴったり合うようにデザインしています」と話すのは、ヘリーハンセン事業部企画グループマネージャーである古賀淳史。
「補強素材の量が重さに直結するので、何度もサンプルを作り、白石さんと打ち合わせを重ねました。ダメージの受けやすい部分を割り出し、必要最低限の場所に軽量で丈夫な補強素材を配置することで、動きやすさを妨げないようにしています」(古賀)
休む時間はわずかで、80日以上も続くレースのため、快適性や動きやすさを損なうわけにはいかない。体にフィットし、動きを妨げないウエア作りに努めた。カラーリングは艇のデザインを踏襲する形で、基本はブラックとなっている。

全く新しい4層素材の生地

前回大会時のウエアはジャケットとパンツが一体のワンピースタイプだった。しかし今大会はフォイルの付いた新艇となり、さらに多くの動きが予想されることからツーピースに変更。アタッチメントを替える感覚でトップスを替えられるように、サロペットと三種のトップスを製作した。ベースとなる生地は、今回のために開発した新素材になる。
「新素材は4層構造です。一般的な3層の素材では、白石さんのような長期間の激しい使用で、裏側が擦れなどによってダメージを受けます。今回、3層面に特殊なトップコートを施すことで高い耐久性を実現しました。また、表面にも特殊な撥水(はっすい)加工を施しています」(古賀)
オーシャンジャケット、サロペット、ドライトップにはこの生地を採用。ウエアの中に着るインナードライスーツには防水透湿素材を使用し、ベースレイヤーはヘリーハンセンのロングセラーであるLifa®を着用。

2020年ヴァンデ・グローブ用のウエアミーティングの様子。

PROTECTIVE GEAR 01 Ocean Jacket
Ocean Jacket

素材は今回のために特殊に開発された4層素材を採用。一般的な3層素材では、約80日間24時間絶え間ない激しい使用環境において表側だけではなく裏側が擦れなどによってダメージを受けてしまうため、3層面に更に特殊なトップコートを施してさらに耐久性を向上。
また、表側には海水に対して高いはっ水性を保つ特殊なはっ水加工を施す。

スプレーの侵入を最小限に抑えるのと、南氷洋などの極寒の環境下で防寒性を保つために首回りはハイネック仕様。
ジャケット単体での着用は想定せず、サロペットとの着合わせを前提とし動きやすさと軽さを重視するために丈が短めのデザインになっている。袖口フラップと上腕部にはSOLAS条約(海上人命安全条約)に準じたリフレクターを配置し海上における視認性を確保。

Ocean Jacket DETAIL

袖口は二重カフにし、海水の浸入を軽減。

白石氏が着用した状態で頭部の形状を測定し、立体的に設計したワイヤー入りフード。左右の一部をウインドウにして視野を確保。フードを収納する首周りは、速乾性と肌当たりを考え薄めのファイバー素材を使用。

PROTECTIVE GEAR 02 Ocean Salopette
Ocean Salopette

Ocean Jacket同様、素材は今回のために特殊に開発された4層素材を採用。表側は海水に対して高いはっ水性を保つ特殊なはっ水加工を施す。
本番までに何度もサンプルを作成し、そのサンプルのフィードバックの中でダメージを受けやすい場所を割り出し、お尻と膝に補強素材を接着。サロペット単体で着たときの動きやすさや肩への負荷を軽減させるため、肩部分にパワーネットを使用。また、膝の内側には衝撃吸収のパットを封入し、その際も厚みや大きさを必要最小限に抑えるように最適な位置とサイズを検証して割り出し、動き易さ、脱ぎ着のしやすさまで考えられている。

Ocean Salopette DETAIL

腿ポケットはハーネスの出し入れでポケットの内側が擦り切れて穴が空く可能性があるため補強している。

堅牢度を重視した膝パッド。内側に衝撃吸収パッドを封入。最適な位置とサイズを割り出し、前回大会から半分程度の大きさで配置。

PROTECTIVE GEAR 03 Ocean Dry Top

Photo:Yoichi Yabe

Ocean Dry Top

Ocean Jacketの衿元をベースに、更に前立ての中にラテックスゴムを仕込んだドライトップ。
白石氏の要望で前身頃にベンチレーション機能を追加。これは、グラインダー操作時に前が開けられずに衣服内温度が上昇するため、その不快感を解決するための仕様になる。
斜めに配置した防水性の高いアクアシールファスナーを開けると、奥がメッシュになっていてベンチレーションとして機能する。その際、口が開きすぎてハンドル操作の邪魔にならないよう、また、メッシュ部分が破れてしまわないように中心に補強テープを施している。
ハーネスの干渉を防ぐ極端なショート丈の設計。
袖口フラップと上腕部にはSOLAS条約(海上人命安全条約)に準じたリフレクターを配置し海上における視認性を確保。

Ocean Dry Top DETAIL

メッシュ付きのベンチレーション。ファスナーは防水強度の高いアクアシールファスナーを採用。

PROTECTIVE GEAR 04 Smock Top

Photo:Yoichi Yabe

Smock Top

サロペットやジャケットと違い、30Dの軽量3層素材を使用したスモックトップ。軽さと動きやすさに特化するべく、余計なものが一切ついていないデザイン。
衿と袖口はラテックスゴム、裾はネオプレーン仕様。
ハーネスの干渉を防ぐ極端なショート丈の設計。
上腕部にはSOLAS条約(海上人命安全条約)に準じたリフレクターを配置し海上における視認性を確保。

Photo:Thomas Deregnieaux /DMG MORI SAILING TEAM

DMG MORI SAILING TEAMのショアクルーたちにも
機能性と快適性を持ち合わせたウエアでサポートしている
船内の食糧やウエアなどを収納するコンテナバッグもオリジナルで制作。