NEUTRALWORKS.

“I AM AN ATHLETE”

Vo.1 2020 Spring Summer

SCROLL
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I AM AN ATHLETE.

人は誰もが生まれた時から、自分の可能性を信じて探求していく"ATHLETE"です。

日々の鍛錬と研ぎ澄まされたクリエイティビティ。連続する緊張。
"ATHLETE"には、フィジカルと感性の両面が求められます。

一方で、ココロとカラダを解放し、次に再び起動するためのオフも不可欠です。
トレーニングや移動、僅かな余暇を有意義に使いこなし、明日に活かしていくこと。

わたしたちNEUTRALWORKS.が考えたのは、
そんな"ATHLETE"たちのための、気取らずにファッションを楽しみながら
ココロとカラダを解放するライフスタイルウエアです。

POP UP STORE

2020.3/19 -

本コレクション発売日の3月19日(木)より、「NEUTRALWORKS.」の3店舗(外苑前、日比谷、日本橋)にて
同時にポップアップストアを開催します。

期間中にはそれぞれの店舗でキャンペーンビジュアルを用いたディスプレイを行うほか、
外苑前の店舗ではビジュアルの撮影を行った写真家、題府基之氏による展示も行います。

4 ATHLETES

KIKO ARAI(MODEL)
Accessory: N/ Easy Cap BUY
Tops: N/ Easy Pull Over BUY
Bottoms: N/ Easy Long Pants BUY
Accessory: N/ Bag BUY
KIKO ARAI(MODEL)
Tops: N/ Easy Pull Over BUY
Bottoms: N/ Easy Long Pants BUY
Accessory: N/ Bag BUY
KAI INOWAKI(ACTOR)
Tops: N/ Sweat Poncho BUY
Bottoms: N/ Sweat Wide Pants BUY
KAI INOWAKI(ACTOR)
Tops: N/ Sweat Poncho BUY
Bottoms: N/ Sweat Wide Pants BUY
AOI YAMADA(DANCER)
Suits: N/ Body Suit BUY
Bottoms: N/ Easy Short Pants BUY
AOI YAMADA(DANCER)
Suits: N/ Body Suit BUY
Bottoms: N/ Easy Short Pants BUY
TSUYOSHI KABURAKI(TRAIL RUNNER)
Outer: N/ Bench Coat BUY
Tops: N/ Winner Tee BUY
Bottoms: N/ Sweat Wide Pants BUY
TSUYOSHI KABURAKI(TRAIL RUNNER)
Outer: N/ Bench Coat BUY
Tops: N/ Winner Tee BUY
Bottoms: N/ Sweat Wide Pants BUY

2020 Spring-Summer

Conversation with KIKO ARAI

新井貴子

モデル

モデルもアスリート。「ニュートラル」という言葉が今の自分に一番響く。

現在はニューヨークを拠点に、トップブランドのコレクションに数多く出演、モデルとして世界を飛び回る新井貴子。大学時代にアルティメットの全国大会で準優勝した経歴を持つ彼女は、自身を「人体マニア」と呼ぶほど、カラダの仕組みへの好奇心と探究心を持っていた。

カラダを動かすこと、鍛えることが好き

元々スポーツをやられていた?

はい、体育大学まで進学するほどスポーツが大好きで、中高はバレーボール部でした。スパルタな部活だったので、すごくメンタルが鍛えられたと思います。

体育大学に進んでからは、アルティメットというスポーツを始めました。フリスビーを使った、バスケットボールとアメフトを組み合わせたような、ずっと走りっぱなしの競技です。アクロバティックなプレーがあったりして、かっこいいんですよ。大学で2年間やっていました。とにかく体を動かすことが好きだったんですね。

カラダやココロを整えるためにしていることは?

私はモデルの活動もアスリートと一緒だと思っています。自分の体が資本だし、ボディもメンタルもコントロールしてこそ、自分を発揮することにつながります。だから「ニュートラル」という言葉は自分に今一番響く言葉です。

自分はカラダを鍛えることもすごく好きなんです。実家のある神戸に、もう10年診てもらっているトレーナーさんがいて、年末年始や、実家に帰る機会があるときに必ず訪ねて、トレーニングメニューを更新してもらっています。最新のアップデートで得たのは、骨盤の使い方を改善することです。

骨盤の使い方ですか?

極端にいうと、アジア人と黒人の骨盤の使い方は全然異なるそうです。黒人の方が骨盤が前傾していて、お尻がキュッと上に出ている状態になっている。それによってカラダの活動量が増えるらしく、だから骨盤の使い方を黒人の使い方に持っていこうと、今は座る時、歩く時、常に骨盤に意識をしています。

矯正できるものなんですか?

矯正できていきます。かなり意識が必要なんですけど。「ドローイン」というコアを鍛えるトレーニングをしっかりとやった上で、骨盤を意識して動かすことで、全身の運動量がすごく変わってくるんです。すごいマニアックなトレーニングですね。とにかく私は人体のマニアです(笑)

筋肉や、カラダの内部の仕組みとかを知るのが好きで、この人体図鑑(『カラー人体図鑑 ビジュアル・アナトミー(西村書店)』)を見ているとワクワクします(笑)。だから今度のオリンピックでは、陸上に興味がありますね。黒人選手の走りかたを見たいなって。

彼らの骨盤に興味がある?

そうですね(笑)陸上は競技として単純にわかりやすいっていうのもあるんですけどね。あと、自分がやっていたアルティメットはいつか種目に入って欲しいなと思っています。

自分のカラダを客観視する徹底ぶりがすごいですね。

そうかもしれないですね。でも楽しいし、好きだからです。たまに、人の話を聞いている最中にも「あ、骨盤ちゃんとしよ」となっちゃう時もあります(笑)それくらい常に意識が抜けたことはないです。

自分が好きなものを、ちょうど良い量で食べる

拠点とするニューヨークではどのようなトレーニングを?

ニューヨークでは、しなやかな曲線を作るために、カラダのコアを鍛えられる「ジャイロトニック」というピラティスの一種に取り組んでいます。これまではウエイトトレーニング重視だったんですけど、やっぱり同じことをやってもカラダが慣れちゃうので、いろんな刺激を今加えている途中です。

「ジャイロトニック」は呼吸が一番大事なんです。なのでメンタル的にもリラックスして、ニュートラルに戻れる時間です。

あとは鍼(はり)ですね。アメリカにいるときも日本にいるときも必ず鍼治療は行くようにしています。

カラダの内側からの力を引き出せるというか。表面からだけではアプローチできない部分を治療する感覚。

私、顔とかにもあまりクリームなどをつけないんです。全部自分の力でやりたいから、なるべくあまりケミカルに頼らないようにしています。

食事で気をつけていることはどんなことですか?

いろんなダイエットを経験して、結局、自分が好きなものをちょうど良い量で食べるのが、心身ともに安定するのだと今は思います。

過去に極端な糖質制限を1ヶ月やったことがありました。そのときは本当にげっそり痩せましたが、カラダが飢餓状態になったから、ちょっとした甘いものを食べるだけで、今まで見たことのないところに脂肪がつき始めたんです。怖いくらいにどんどんスポンジみたいに膨らんできて、それで一時期は10キロオーバーしてしまいました。

そのときはロンドンとパリを2ヶ月ごとに行ったり来たりして、モデルのキャリアを作っていたときで、全然良い仕事が入ってこなくなって。それこそ本当にモデルを辞めようとも思った時がありました。

そこで山登りをしたり、毎日10キロジムで走ったり、兵庫県の断食道場に2週間行ったりとか、色々やったんですが、ちょっとしか変化はなくて。それでたどり着いたのが、自分が好きなものをストレスなく、我慢せず食べること。そうすることで、自分がベーシックに状態に戻れたんです。

大事なのは、自分のココロを聴く時間

ストレスを感じる時など、どのようにココロをリセットしますか?

海外でのモデル活動の中で、普通じゃ考えられないような理不尽なことも時々あります。そういうときにメンタルトレーニングができていないとダメで。ある意味一回バカになって、落ち込まないようにするのもひとつです。いちいち反応しないように。

あとは一人でいる時間が多いので、ちゃんと考える時間を持てるのはありがたいなと思いますね。どんな大きい問題でも、一枚一枚皮をめくっていけば、何で自分がモヤモヤしているか、なんでこれに対してそう思うのかっていうちゃんと答えが出てくる。そこを見つけないとずっと考えてしまうと思うから。

そういった時間を自分で持てる人はあまりいない気がします。

トレーニングをしている時は、そういうことを一番考えられますね。最近は日本の女性もジムに行く人が増えていますよね。私は若い女性とかに、ちょっとした気づきがあることで、自分の生活がよりよくなることがあるってことを伝えられたらいいなと思っています。ただ、それをSNSに長文とかで書くのも違うなーと思っていて。どこかでちゃんと会ってできるの機会があるといいなぁと思っています。

トレーニングするときの服選びにこだわりは?

保守的なものよりも、攻めた服を選びがちです。自分に自信があるというのではなく、自分のモチベーションを上げるためにもお洒落なものがいいなと。何をするにもココロとカラダが繋がってないと成り立たないと思いますね。

女性でも男性でも、何かを気にしてしまうときって、絶対こうでなければいけないっていう固定概念が無意識にあると思います。でも、自分のココロを聴く時間を持つことが大事というか。この服を着たいと思って、自分がいいと思えたら一番良いと思います。

これから挑戦したいことはありますか?

仕事のことでいうと、演技のお仕事ですね。この前、海外でそういう話が初めてきたんです。18歳の女の子の役です。いま私29歳なんですけど(笑)。それでやってみたらすごい楽しくて。セリフを覚えるだけでもかなりの労力を使うことだと初めて知りました。もちろん甘い世界ではないし、モデルの仕事以上に努力が必要だなって思ったんです。

でも、努力が必要だって思う壁を超えた時って、どうなるんだろうっていう興味もあります。そこをトライしてみたいです。

だからと言って、モデル新井貴子としては居たい。モデルで行けるところまで世界への挑戦を続けたい。それと、自分が好きなスポーツに携わって活動をできたら良いなっていうのが今後の目標です。自分にできることは全部やっていきたいです。

新井貴子 Kiko Arai 2013年にモデルを始め、2017年よりDONNA所属。2017年9月にCALVIN KLEINのショーへ出演後、PRADA、BALMAIN、GIVENCHEY等トップメゾンのショーを総なめ。BALMAIN、COACH、ZARA、KENZOのワールドキャンペーンに抜擢され、世界のニューカマーモデル15人に日本人で唯一選出される。2018年には毎日放送の“情熱大陸”に出演を果たす。斎藤工監督によるFerragamoのムービーやパリのルーブル美術館に出展し賞を受賞された写真作品に出演。NYを拠点とし、数少ない世界で活躍する日本人モデルとして国内外で注目されている。

Conversation with Tsuyoshi Kaburaki

鏑木毅

プロトレイルランナー

100マイルの非日常を楽しむ。走りきるためのココロの準備。

ヨーロッパアルプスの最高峰モンブランを取り巻く山岳路100マイル(約160キロ)を駆け抜ける、世界最高峰のトレイルランニングレース「UTMB」。40歳で公務員を辞めプロトレイルランナーに転身、瞬く間に同大会で世界3位(2009年)に入賞した鏑木毅は、日本のトレイルランニングの第一人者として現在も活動を続けている。体力だけでなく、強靭な精神力を必要とするトレイルランナーは、ココロとカラダをどのようの整えているのだろうか。

究極の世界に出会う、トレイルランニング

昨年の刊行された『MIND SET 50歳ゼロからの挑戦』(三栄書房)を読ませていただいて、トレイルランニングは、スポーツでありながら、冒険のようだなという感想を持ちました。

そうですね。短い距離のものもありますが、100マイルレース(約160キロ)となると、冒険のような要素があるかもわからないですね。何回も死に損ないましたから(笑)。娘が今7歳なんですが、せめて成人するまでは生きていたいですね。

そんな危険にありながら、惹きつけられる魅力があるんですね。

すごく苦しいのは間違いないですけど、やっぱり楽しいし、生きててこんなに絶景を見る機会は絶対ないだろうという景色を見ることはできます。五感も刺激されますね。真っ暗な山の中や、ロッキー山脈の標高4000メートルを前後誰もいない中走っている時とか。究極の世界で、時折幻覚なども見ながら(笑)

幻覚を見るんですか?

突然トレイル(山道)の真ん中にベッドが置いてあるのが見えたり、走っているはずのない日本の友人が目の前を走っていたり。ヨーロッパアルプスの森の中では、木肌に般若心経がびっしり書かれていて、それを見ながら、「あぁ、ヨーロッパの人たちは日本人の僕のためにいっぱいメッセージを書いてくれてるんだなぁ」とか。そういう風に考えてること自体もおかしいですよね(笑)幻覚と気づいて見ている時もあるし、気付かずにみている時もあります。

すごい体験ですね。

一番ヤバいなと思ったのは、時の概念がわからなくなる時です。時間が「今」じゃないという感じ。過去のことをしているような感覚。説明が難しいんですが。場所の感覚が狂うこともあって、ロッキー山脈を走っているのに、勝手に故郷の赤城山を走ってると思って疑っていなかったり。レースの途中、エイドステーション(補給・救護施設)に着いてやっと「あぁこれレースだったんだ」って気づいたり。でもそういう体験をネガティブなものじゃなく、ポジティブに捉えられるようになってから、選手としても強くなったかなと思いますね。

ON/OFFの切り替えが、ココロとカラダのバランスをつくる

高いパフォーマンスを発揮するために、普段意識されていることは?

OFFの時間をしっかり作ること。スイッチを変えることが大切ですね。いつも緊張して追い込んでいる人って、意外にバーンっと高いところまで伸びないんですね。

今は3年間集中して日々取り組んできたNEVERプロジェクト(50歳となる2019年に世界最高峰の100マイルレース「UTMB」に再挑戦するプロジェクト)が、ようやく終わったOFFの期間。次のチャレンジに向けて休んでいる時です。

だらしない生活をしていると、だらしない結果しか出せないっていうのは、長年の経験でわかってきています。集中する時は集中する時。ONとOFFを切り替えています。

OFFの時は何をしますか?

ONの時はかなり摂生しているので、OFFのときは好きなもの、食べたいものを食べて、いろんな人に会ったり、最近は公開講座とか講演会とかにも行っています。この間は都市計画の話とか、スポーツと関係ないジャンルが多いです。やはり走ることだけを考えると、それがストレスになるときがあるので。

ストレスを感じた時など、ココロをリセットしたい時は何をしますか?

本を読むのが好きですね。司馬遼太郎さんの歴史小説が大好きで、同じ本を何回も読みます。音楽みたいなもので、読んでると気持ちが落ち着くんです。

でもやはり走っている時かな。ゆっくり走ると心が整うんですね。でも本当に辛い時、山を見るのも辛い時があります。そういうときは海に行くんです。

「UTMB」で3位になったレース(2009年)の前も、大きなプレッシャーで精神的にやられていました。その時は、出発する一週間くらい前に妻と新潟の海に行って、日長一日釣竿を垂らしました。ろくに釣れないんですけど、一日海でそんなことをやっていたら、気持ちがガラッと変わって、前向きになれたんですよね。

レースの後は、長野や群馬の山にある温泉に行ったりするんですが、レースの前や、ココロが疲れた時は海に行きます。

バランスが大事なんですね。

真逆のことをやるのがいいんですね。山はもちろん好きなんですが、その喜びを感じられるのは都会にいるからであって。都会の生活も好きですが、都会に居続けると、自分の居場所じゃないな、チャレンジしなきゃと思う。そのバランスが僕には良いんですよね。

「自分は出来る」と信じてみることから

心のスイッチを切り替えられるようになったきっかけは?

僕は40歳まで公務員をやっていました。イベント広報を担当していたときは、ものすごく忙しくて、土日も休みがなく、毎日午前様みたいな状況でした。その時、同じように毎日2-3時間しか寝てない同僚が、連日良いアイデアを出したり、「やるぞー!」と前向きに熱を帯びていて。

だから彼に「どうしてそういう風に仕事できるの?」ってあるときに聞いたんです。そうしたら、「別にこれはイベントだから、期間に限りがあるし、公務員の仕事を一生やってても、こんな仕事って巡り会えない。だったらこの時間をもっと楽しもうって思ってるんだ」って言われて。でもその時の僕は「何言ってるんだろうなぁ」と、彼が言ってることを理解できてなかったんです。

だけど彼のその言葉が、モンブランの100マイルレースで、120キロを過ぎた本当に辛い時に、突然パァーッと降りてきたんです。「あぁ、これだ!」っと思って。

そこで初めてその言葉が理解できたんですね。

自分の考え方なんて変えられない、自分はダメだって思っちゃう人は結構多いですよね。けどそうじゃなくて、考え方を変えるスイッチを押すというのは誰にでも出来るんです。まずは出来るんだっていうことを信じること。それと、そういう人に触れることですね。僕もどこかで自分は変えられるんだって思ってたからこそ、彼の言葉が出てきたんですよね。

僕も100マイルのレースを走っている時は、辛いということしか頭に浮かばなかったんです。でも、そのレースをきっかけに「今この非日常の時間を楽しもう!」っていう気持ちができるようになったんです。まぁ100マイルはそう思わないととても乗り越えられないんですよね。ネガティブになったらどんどんやめる理由しか考えなくなってくるし、完走なんかできないから。どこかで心を変えていかないと。

もちろんそうは言っても、そう思えない時、出来ない時はあります。だけど、それでも常にできると思い続けて10年間頑張ってきて、ようやく50歳のこのチャレンジの時に、不動の心の置き場みたいなのを掴めたかなっていうのはありますね。

100マイルのレースに向けては、カラダだけでなく、ココロの準備も必要?

そうですね。それと、レース前は人のために走るんだって思わないようにしています。自分自身のためだけにやろうと思うと気が楽になるんですよ。そしてレースが始まって100キロを過ぎ、きつくなった時には、人のためって思うようにしてるんですね。いろんな人たちが応援してくれてるって思うと勇気をもらえる。

レースの中にも気持ちの切り替えがあるんですね。

極限の状態になった時は、誰かのために頑張ろうと思うと人間頑張れるんですね。自分のためだったらよっぽど棄権するわって思ってしまうけど。誰かのためにと思うとすごい支えてくれるんです。

100マイルレースって、一戦一戦が本当にストーリーが濃縮されてるので、それを1つ1つ乗り越えていくことで、人間が1つずつ変わっていくみたいなところもあります。自分は、本当に良い競技に出会えたなと思います。

鏑木毅 Tsuyoshi Kaburaki 1968年10月15日生まれ、群馬県出身。中 学2年生から陸上部に入り、群馬県立桐生 高等学校を経て早稲田大学教育学部へ。在 学中は競走部に在籍して箱根駅伝出走を目 指したが、座骨神経痛のため断念。卒業後 は群馬県庁職員となり1997年に山田昇記 念杯登山競争大会でトレイルランニングと 出会う。以後、北丹沢12時間山岳耐久レー ス、富士登山競争、日本山岳耐久レース(ハ セツネ)など、国内レースで数々の優勝を 果たしてきた。2007年、モンブランを一 周するUTMBに初出場し、100マイルレー スを次の舞台と定め、同大会で2008年 は4位、公務員を辞めてプロになった2009 年は3位を獲得(現在も日本人最高順位)。2012年にUTMBを離れてからはグラン・ レイド・レユニオン(フランス)、THE NORTH FACE 100K香港、ウルトラ・フ ィヨルド(チリ)、ハードロック(アメリカ) など、海外の100マイルレースにその場を移す。2017年、50歳になる2019年に再び世界最 高峰のUTMBに挑戦するNEVERプロジェ クトを始動させ、2019年8月末にプロジ ェクトを完逐した。

Conversation with AOI YAMADA

アオイヤマダ

ダンサー

自分の基準をつくらない。今ここにいる自分がニュートラル。

幼少期よりダンスを始め、サカナクション、米津玄師らのMVに出演、2019年第70回紅白歌合戦ではMISIAのステージにてダンサーとして登場するなど、注目を集めるダンサーのアオイヤマダ。身体を使っての思想表現に取り組む彼女は、どのようにココロとカラダの捉えているのか、話を聞いた。

ダンスはココロと直面しているもの

ダンサーとして、体調管理の面で普段意識されていることは?

まず食事は気をつけていて、自炊してバランスを取れるようにしています。カラダが重たくならないことには特に気を使っていますね。

ダンスはスポーツだって言う人もいるし、そうじゃないって言う人もいます。自分はどちらでもいいと思っていますが、やっぱりダンスはある程度トレーニングして上達するものっていうよりは、ココロと直面しているものだと思います。

怒っているのか、失恋したのか、ココロの元気がない時は踊りにも出るし、それを感じさせやすいものだと思っていて。だから特にココロは元気でいたいですね。

そのためには食事もあるし、映画を見たり、落語を聞きに行ったり、キックボクシングやヨガに行ってみたり。ダンスに直接繋がってなさそうなものに触れることで、ダンスをいろんな見方で見れるなって思っています。

アオイヤマダさんにとっての「ニュートラル」とは?

自分をどうやってニュートラルな状態にするかって考えると、ニュートラルというものがあって、そこを目指そうとすると、しんどくなるんじゃないかなって思います。

あのニュートラルに戻さなきゃってなると、じゃあそこに戻れない自分とか、今ここってなんなの? ってなりますよね。それなら、今ここがニュートラルなんだって思った方が楽しくなるのかなって。

パフォーマンスをしている時も、今ここでこれを出せる自分が自分のニュートラルなんだって受け入れる。そういう風にいたいなって今は思います。

そういう考え方に至ったきっかけは?

特にきっかけというのはないですが、周りの環境のおかげだと思います。自分一人じゃわからなかったことを、上京して、親元を離れてからいろんな人に育ててきてもらいました。ダンスがあったから繋がれた人もいるし、考えられたこともありますね。

ダンス以外のスポーツなどで得た特別な経験はありますか?

スノーボードをしに雪山に行くと毎年雪の量っていうのがだんだん減ってきていたり、海にボディーボードをやりに行くと、海水温が上がっていたりします。そういう環境問題について、自分が積極的に取り組んでいるわけではないですけど、ちょっとずつ感じるというか。やっぱり変化してきちゃってるなって。

でもそれは山に行って見なきゃわからないことだし、海に入って見なきゃわからないことなんだろうなって思います。

メディアアーティストグループ「ダムタイプ」とのショッキングな出会い

ストレスを感じる時など、どのようにココロをリセットしますか?

そういうときは、すごく分析に入るんです。なぜ自分はこんなにイライラしてるのか。「あぁ、あれがあったからだな、なるほど」みたいな感じで。

それは一人でできるんですか?

まず一人で分析します。でも、一人で考えてても解決しないこともあります。そういう時は友達とか、誰かと話すこと、口にすることよって意外と解消されたりしますね。つい最近は久々に落ち込んだというか、ショッキングなことがありました。

80年代に活動されていたメディアアーティストグループ「ダムタイプ」の『S/N』(1994-1996)という映像の上映会が東京都現代美術館であって、それを観にいったんです。その作品にすごくショックを受けました。この時代にこれをやられていて、これから私はどうしたらいいんだろうみたいな悔しさと、脱力感がありました。自分って全部“~~風(ふう)”だなぁって思っちゃって。

その時は家に帰って大の字になりながらひたすら泣いて、吐きそうなくらいでしたね。そこから数日間、なんでこんなに衝撃を受けたんだろうって考えて。

そこで気持ちを切り替えられて、リセットできたのはどうして?

リセットはできてないんですけど、そのショックを背負うことがひとつの防御になるというか。自分はもうこれには勝てないとう、ある意味諦めも持ちつつ、じゃあ私は次に何ができるのかって。ひとつ、自信にもなったのかもしれません。これに負けたと思ってしまった自分を知ったみたいな。自分の知識として自信にする。意外とポジティブにいようとする人間なんですよね。

そこまでショックを受けた経験は初めて?

初めてでした。多分色々とタイミングとかもあると思うんですけど。自分の踊りや役目に対して考えていた時期というか。その時にそれを見たから、余計にショックを受けたんだと思います。でもやはり私はもう何を言われようと踊るしかないんだなぁと思いながら。

誰かを基準とせずに、自分の人生を語れるように

影響を受けたアスリートや、近づいてみたい感覚はありますか?

体操選手とかをみていると、フィギュアスケートとか空手とかもそうですけど、ある決まった型(カタ)があるじゃないですか。決まった型にどれだけ自分を嵌め込めるかというか。

でもダンスというのは、型にはまらないことが逆に良いというのもあって、だから型にはめ込むという感覚が自分は全くわからない。だからそういう感覚に憧れるわけではないですが、興味がありますね。

同じダンスをやっている人には目標にしている人はいる?

この人みたいになりたいというのは特にないんです。誰かを基準にしたくないというのが大きいですね。薄い色を塗り重ねたグレーみたいにはなりたくない。誰かを基準にせずに、自分が生きていった時に、自分の人生はこうだったって語れるようになりたいんです。

自分が踊るにあたっては、踊っているところをただ見て欲しいみたいな気持ちはそんなにないんです。これを伝えて欲しいと言われた時に、イタコじゃないですけど、踊りでそれを伝えるみたいなことができたら、これは自分の役目だなって思えると思います。誰かのためにって言ったらちょっとクサイですけど、そういう架け橋になりたいですね。

アオイヤマダ AOI YAMADA 2000年長野県生まれ。幼少からダンスを始め、17年より身体を使っての思想表現に取り組む。サカナクション、米津玄師らのMVに出演し、注目を集める。18年、スイスで行われたバーゼルワールドでパフォーマンスを行う。19年第70回紅白歌合戦ではMISIAのステージにてダンサーとして登場。20年3月末には京都ロームシアターにて公演されるダムタイプの18年ぶりとなる新作出演するなど国内外で活動の幅を広げている。

Conversation with Kai Inowaki

井之脇海

俳優

常に壁にぶつかりながら。役者は長距離ランナー。

幼い頃に子役としてデビューしてから第一線で活躍し続ける、俳優の井之脇海。日本百名山制覇を目標にしているという山登りの話から、体力勝負の役者ならではの日々の習慣、仕事への向き合い方まで、話を聞いた。

視点を変えて、人や物事と向き合える山登り

アスリートを広義に捉えると、カラダが資本の役者の方もアスリートだなと思います。

そうですね、僕も本当に役者は肉体労働だなと常々思っています。

カラダの調子を維持するために意識されていることは?

一番気をつけているのは食事ですね。やはり体力がないと体調を崩してしまったりするので。

現場のお弁当だけだとなかなか補えないものは、食事の回数を増やしてでも野菜をとったりとかするようにはしていますね。自宅で料理する時間がないときは生野菜のサラダを買ってきてそれを食べたり。

あとは寝ること。移動のときだったり、昼食の時間に合間を見つけては10分20分でもいいから、睡眠をとるようにしています。幸いどこでも寝れるので(笑)そういったことの積み重ねですかね。

どれくらいの頻度で山登りに?

仕事の休みによりますけど、2019年は山のシーズンは月に1~2回は登っていた気がします。もともと好きだったのもありますが、雑誌『SPUR(シュプール)』の連載でも登らせていただいたので、それによってプライベートでも自分から行こうと思い。それこそ体力は使いますけど、ココロがすごく穏やかになるというか。リフレッシュできますね。

山登りの魅力はどんなところに?

それこそ違った角度から物事を考えることができるところですかね。それと、山で出会う人たちもとても素敵な人が多いです。役者は人を表現しなきゃいけないので、ちゃんと人と向き合える空間が意外と山だったりします。知らない人とも挨拶したり、道中や頂上で休憩してて、ちょっと会話をしたり、そういう時間もすごく有意義です。

山の空気を吸いながら五感を澄ませたり、役者としてもプラスになっている時間かなと思いますね。

山登り以外に、運動はしますか?

運動と呼べるかはわからないですけど、散歩がずっと趣味です。時間つぶしにも最適ですし、ココロをリフレッシュするためにも歩いたりしていますね。
散歩のときはどんなことを考えながら?

散歩するときの自分のルール的なものがあって、それは毎回同じルート、同じところを通るというルールです。15分のルートと、30分のルートがあって、それを日によって変えています。

そのルートを歩いていると、昨日無かった空きカンが落ちていたり、そこにカラスがたむろしていたり、そういう町の変化をみながら、「あ、ここで昨日誰かが酒飲んだんだな。ゴミを捨ててしまったんだな」とかを考えるのが好きなんですよね。

だから意外と散歩中は無というか、あまり仕事のことは考えることは少ないですね。本当にリラックスタイムというか。

役者はちゃんとゴールまで走りきらなきゃいけない

身体能力の中で、役者特有のものはある?

うーん、どうでしょう。身体能力というと難しいですが、感性が鋭い人というのはいると思います。そういった方とお芝居してるとこっちまで引っ張ってもらえたりするので、そういった方は本当に素晴らしいと思いますね。

感性を養うためできることは?

感性は生まれ持ったものや環境の違いもありますし、なかなか難しいですよね。やっぱりいろんな経験、体験をすることでしょうね。その時感じたことだったり、自分の反応している様子をどこかで覚えておいて。

でも、なかなかいろんな経験ってできないので、映画を見たり、本を読んだりして想像したり、追体験をする。ということが必要だと思います。日々全てが、今こうやってお話ししてるのも、役者としての勉強の一部じゃないかなと思っています。

ストレスを感じたときや落ち込んだとき、気持ちを切り替える方法は?

一番は寝ることですね。それでスッキリ忘れるわけでないですけど、その時に考えたことと、次の日考えることと、結構違った視点、角度から物事を考えられる気がしているので。悩むところまで悩んだら後は一回寝ちゃいます。まぁ、考えているうちに寝ちゃうんですよね(笑)

役者ならではのスランプに陥った経験はありますか?

質問の答えになるかわからないですが、面白いなと思うのは、プライベートが順風満帆にいっているときや、満足できてしまっているときは、意外と仕事がうまくいかなかったりします。反対に、友人・家族関係など、プライベートが複雑な時の方が、自分が考えてないことが仕事で出来たりするんです。それは不思議だなって思いますね。

どちらもうまくいってる時が無いわけじゃないと思いますが、全体的に良い流れがきていて、よし行けるぞって思うとダメだったりもして。慢心しちゃいけないってことなのかなとは思いますね。

子役時代からずっと続けてこられた経験あってこその感覚ですね。

そうですね。先日、先輩の役者さんと対談する機会がありました。その方がおっしゃっていて、本当にそうだなと思ったのが、「僕たちは短距離走じゃなく、42.195キロを走る選手なんだ」ということ。

いつも目の前の現場をやってやろうとばかり考えていて、もちろんそれも大事なんですけど、長い目で見た時に、ちゃんとゴールまで走り切らなきゃいけない。目の前の現場で燃え尽きてしまったり、何かが終わってしまってはいけないなというか。

そのためには、やっぱり長期的に見て、カラダを壊さないことだったり、ひとつひとつの仕事への向き合い方が大事なんだなって、その話を聞かせていただいたときに思いました。

常に壁が目の前にある感覚

今年挑戦してみたいことは?

山がやはり好きなんで、山を別の角度から見てみたいというのがあります。僕、山を登るのがたぶん早い方なので、トレイルランニングはやってみたいなと最近は思っていました。

レースに出たいというよりは、軽装備で軽く走る程度に始められたらと思います。カラダの極限の時に出てくるものにも、すごく興味がありますね。

プロトレイルランナーの鏑木毅さんは、100マイルレースでは体力的にも精神的にも、必ず壁にぶつかるとおっしゃっていました。役者としての壁に出会った時にはどう乗り越えていますか?

基本的に常に壁が目の前にある感覚です。やっているときは全力なんですけど、やっぱり自分の作品を見返したりすると、「もっと出来たなあ」と思います。

もちろん前提として、ベストは尽くしているんです。だからどこか自分のエゴかもしれないんですけど、常にそういう壁とぶち当たっています。でもそこで逃げちゃうと、きっと同じような仕事、同じような役をやる時に、また同じことの繰り返しになってしまうので、常に反省して、じゃあ次はどうやってやろうかをというのを考えていますね。

それはすごく面白いことでもあると思いますし、そこで「あっ」と気付きのあったものは次には良くなって、また壁にぶつかって、また良くしてっていう。それこそ役者もアスリート、長距離ランナーと言えるかもしれません。

井之脇海 Kai Inowaki 1995年11月24日神奈川県生まれ。2007年に子役として俳優デビュー。12歳で出演した「トウキョウソナタ」(黒沢清監督)で第82回キネマ旬報ベスト・テン新人男優賞、第23回高崎映画祭最優秀新人俳優賞を受賞し注目を集める。以降、TVドラマ、映画に多数出演。現在NHKよるドラ「伝説のお母さん」がOA中の他、映画『サイレント・トーキョー』(波多野貴文監督)が12月全国公開予定。

About NEUTRALWORKS.

驚くほどの可能性が秘められた、ヒトのカラダ。

スポーツが与えてくれるのは、その可能性を知る喜びです。
思い描く理想的な未来に向かって、プロセスと成果をともに楽しみながら、
わたしたちのアクティブなライフスタイルは続いていきます。

同時に、ヒトはスポーツによって、もうひとつの楽しみを知らずのうちに享受しています。

それは、自らのココロとカラダとの対話です。
常に最新の知見を入手し、自分にフィットしたON/OFFのギアを見つけること。
そして、ヒトがもつ本来の感覚を研ぎ澄まし、未来のイメージをふくらませること。

NEUTRALWORKS.は、世界中のアスリートの可能性を最大限に引き出すために、
ココロとカラダをニュートラルな状態に“整える”サポートを続けていきます。