NEUTRALISM – 18

夏本番！夏といえば海ですよね。LAには色々なスタイルのビーチがあり、住む人達にとって大切な存在。
ビーチはただ夏に海水浴に行く場所では無く、1年中海と共に生活するLAライフスタイルの一部。
私にとっても、ビーチは「自分」を形成する上で物凄く大きな存在です。

CHAPTER
01 ⼈のコアを⾒つめる場所
02 「今」に気づく場所
03 常に変化する、変わらないもの

ウォーキング、海水浴、サイクリング、ビーチバレーやウォーターポロなど、海の楽しみ方は様々。私の一番好きな海での過ごし方はサーフィン。サーフィンをしながら海いると、いつも色々な事に気付きます。
LAの海水は一年中冷たいのでサーフィン時はウェットスーツを着るのですが、ウェットを着ている間は誰もが同じ。偉い人もお金持ちも年齢も男女も、外国人でも関係ない、1人の人間。海と波という予想も計画も出来ない状況で自分がどう振舞うかは、完全にその人の素なスタイル。特にサーフィンは、一瞬一瞬で自分がとる行動が凄く重要で、考えたり迷ったりする猶予はありません。予測できない状況で、考える暇も無くとっさに動く行動には、その人その人の本質が現れる様に私は感じるのです。一生懸命過ぎてしまう人は周りが見えずに自分中心な行動をとってしまっていたり、凄い事をしたいが為に無理をして自分だけではなく他の人にも危険な状況を作ってしまったり。物凄くサーフィンが上手でも、人に譲らず全ての波をとってしまう人も。
色々なスタイルを見ていると、次第に「自分がどうありたいか」が見えてきます。テクニックや立場は関係なしに、その人の「本質」がしっかりしていると必然的に海でのスタイルは凄く素敵。誰もが平等な海で気付くのは、人のコアにあるもの。
自分の視野をニュートラルにもち、自身の行動に責任を持つ事、周りを気遣う姿勢を、私は海から学んでいる気がします。

海にいると、過ぎる時間は1度きりだという事に気付きます。だから波に乗る時は「今」を感じます。他の事は一切考えなくなる感覚は瞑想と同じ。「今」という時にだけフォーカスして、固定観念に捕らわれない今の自分を知る機会を、海は私に与えてくれます。一時一時を大切に、真剣に過ごす気持ち。この感覚は海を出てからも私の日々の生活に大いに役立っています。変化する状況には、楽しいものもあれば厳しい時も。日々の頑張りを発揮できる日は嬉しくなるけど、激しい波に自分の無力さを学ぶ日だって勿論ある。人生と同じですよね。どれだけ自信がついても、まだまだ経験する事が沢山ある事を教えてくれる海は、私にとって学びの場所でもあるのです。

海は、潮の流れや満ち引き、風と気候、海に住む生物など、常に変化しています。けれど、変わらずいつもそこにある海。そこはLAで暮らす多くの人々にとって、いつもある無くならない場所、安心をくれる場所なのです。
時間と共に成長して変わっていくけど、海に行くと原点に戻れる感じがします。学生から社会人になり、生活や交流関係も変わっても、海に行けば自分は自分のままだという事に気付いて少し安心したり。忙しく過ごす日々の中で沢山の課題や責任に追われて「自分らしさ」を見失いそうな時も、海ではニュートラルな自分に戻れる気がします。海は常に変化しているけど、いつも変わらず同じように自分を受け入れてくれるから、一時の悩みや感情がスッと消えて気にならなくなる時も。
日々の変化は、変わらず存在し続ける大きなサイクルの中で起きているのだという事を、海にいると感じます。日々の小さな変化の積み重ねは、変わらないはずの大きなサイクルに変化をもたらすかもしれない。これからも海が変わらず私達の側にあるように、日々の自分の行動をポジティブなものにしたいと思わせてくれる海。
日本にも素敵な海は沢山。海水浴だけじゃない、海が教えてくれる沢山のメッセージを、この夏は皆さんも是非感じてみて下さいね。

Photographer：SSNRS (Key visual)