THE NORTH FACE MOUNTAIN

LAYERING THEORIES #4
2022 OCTOBER

“FL HYBRID VENTRIX HOODIE” IMPRESSION

秋から冬にかけて、フリース1枚では肌寒く、かといってシェルを着込むほどでもないという状況はよくあると思います。そんなときに最適な行動着として新境地を開きつつあるハイブリッドジャケットを、タイプの違うふたりのクライマーがインプレッションします。

“FL HYBRID VENTRIX HOODIE” IMPRESSION
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秋から冬にかけて、フリース1枚では肌寒く、かといってシェルを着込むほどでもないという状況はよくあると思います。そんなときに最適な行動着として新境地を開きつつあるハイブリッドジャケットを、タイプの違うふたりのクライマーがインプレッションします。

秋から冬へと季節が深まるにつれ、朝から夕方まで快晴無風が続く日は激減し、標高を上げた尾根上や疎林帯では必ずといっていいほど冷たい風が通り抜けるようになります。そのため、防風性のないテクニカルフリース1枚で行動するにはやや心もとなく、けれどもゴアテックスのシェルを着るまでには至らない。

そんなときに活躍してくれるのが新開発の「FL HYBRID VENTRIX HOODIE」です。これは保温性と通気性を両立した中綿Ventrixの表地に、通気性に優れた防水透湿素材FUTURELIGHT™を採用した文字通りハイブリッドなアクティブインサレーションで、それぞれ特徴的な高機能素材の使い方にひと工夫を加えることで、より幅広いレンジで快適に着用できるフーディーに仕上がっています。

どんな工夫かは具体的にご紹介しましょう。まず表地はフード、両肩、身頃、上腕にはFUTURELIGHT™を使い、脇下、袖下、腰回りには軽量なストレッチソフトシェル素材を配して、より動きやすく、より効果的な汗抜けを実現させています。

中綿のVentrixは全面ではなく、フードと上腕、身頃のみの使用に留めています。ポリエステル中綿にスリットを入れて通気性とストレッチ性を高めたVentrixですが、腰回りを抜くことでハーネス着用時の快適性を高め、熱を持ちやすい脇下から袖下にはあえて使わないことで、行動中のオーバーヒートを未然に防いでくれます。

肌寒い空気のなかを比較的ハイペースで行動しても汗蒸れ感を覚えない抜けの良さがあり、気温や天気、ルートや運動量の変化に左右されない適温を維持してくれる。そして多少の風を止める耐風性と、降雪や小雨程度なら支障なく行動できる防水性があります。

ただし、極寒の稜線で強風に吹かれたり、目も開けられないような暴風雪や季節外れの豪雨のときは、ゴアテックスのシェルを上に着て、ミッドレイヤーとして使ったほうが効果的です。

——アルパインクライマーで山岳ガイド

佐藤裕介さんのインプレッション

アラスカ、ヒマラヤ、南米パタゴニアなど海外の大岩壁で豊富な実績を残し、2008年にはピオレドールを受賞している佐藤裕介さんは、日本を代表するアルパインクライマー。現在は山岳ガイドとして幅広い人たちにクライミングの魅力を伝えつつ、自身もクライマーとしても精力的に山と向き合っています。

「僕はどちらかというと寒がりなんですが、行動中に暑くなって汗をかくのが大嫌いだから、ゴアテックスのジャケットはぎりぎりまで着ないで行動することが多いですね。

今までは、たとえば冬の八ヶ岳だったら、樹林帯のアプローチはドライメッシュアンダーにEXPEDITION GRID FLEECE HOODIEを着て、赤岳鉱泉あたりから上に極薄のSWALLOWTAIL HOODIEを重ねて行動する。それは風を防いで防寒という意味もありますが、枝に付いた雪がバサッと落ちてきてフリースを濡らすのを防ぐという意味もあるんですよ。それで途中で寒くなったらゴアのジャケットかビレイジャケットを着る。

このFL HYBRID VENTRIX HOODIEの場合は、グリッドフリースとスワローテイルの組み合わせよりは、もう少し広い範囲で着用できます。着たまま登って暑くなっても、それなりに抜けてくれるので、実際の行動に支障がないんです。しなやかさもすごくあるし、そういう意味では、僕はFUTURELIGHT™好きですよ。

腕に綿が入っていないからなのか、腕を上げる動きもすごくいい。手首のつくりも、これでいいの? って思えるくらいシンプルだから、パッと袖をまくることができる。普通のジャケットだったらベルクロとかも付いているし、袖口が狭いからまくることなんてできないじゃないですか。それに本格的な登山だったらグローブを上から被せるしかないから、袖口はシンプルでいいんですよね。

ガイド中はペースが遅くなるので、これくらいの保温力はありがたいし、調整幅の広いジャケットだと思いますね。たとえば八ヶ岳のバリエーションでは、ちょっと風が出てきて寒くなりそうだったら、取り付きからこれを着る。

よほど寒くなければ、終了点から稜線に抜けた後も、暑ければ脱げばいいやと思いながら、そのままダーッと下って帰ってきてしまうこともある。登攀中に脱ぎ着が1回減ることになると思いますね。

ゴアのジャケットだったら、暑いから途中からしか着ることができないんですよ。でも、これはFUTURELIGHT™なので抜けがすごくよくて、着たまま登ることができる。剱岳のようなアルパインな環境で着るのもすごく合ってると思いますね」

——ウィークエンドクライマー

Bさんのインプレッション

THE NORTH FACEのスタッフBさんは、ヒマラヤ遠征経験のある経験豊富なアルパインクライマー。山行は通年でクライミング中心で、無雪期はフリークライミングとボルダリング、冬季は冬壁でのアルパインクライミングとアイスクライミングに傾倒しています。クライマーらしい痩身で体脂肪の少ない、寒がりタイプです。

「冬はずっとこれを着ていました。綿自体は薄いから保温力はそれほどでもないけど、ペラペラのシェルよりははるかに安心感があります。また防風性はゴアテックスのようにはいきませんが、冬山らしい天候のなかでは風も止めてくれる。防水性があるから多少の降雪も問題なく、通気性があるからラッセルしても蒸れることがない。冬の行動着としてはかなり優秀だと思います。

前回の正月山行で西穂高岳西尾根に行ったんですが、丸二日ほどラッセルでした。とくに斜度が上がってくると雪の深さは膝から腰、胸までになりますよね。そうなると普段は自分の発汗量と体温の上昇で雪まみれでビッショリ濡れるんですが、このときはFL HYBRID VENTRIX HOODIEを防水性と抜けの良さに助けられました。

この山行では、ドライメッシュレイヤーにEXPEDITION GRID FLEECE HOODIEを着て、FL HYBRID VENTRIX HOODIE。それにゴアテックスのビブを穿き、ゴアのジャケットとビレイジャケットをバックパックに入れて行動していました。

標高2500mを越えたジャンクションピークからは、上にゴアテックスのシェルを着ました。そこからは西側から強風が吹き付けてくるので、フードをかぶってひたすら雪壁を登る感じです。FUTURELIGHTは通気度が勝るから、そこまでの防風性は期待できませんから。

このFL HYBRID VENTRIX HOODIEは、いわゆるフリースとインサレーションの中間的な製品といえますが、フリースよりは保温力も防風性もあり、インサレーション製品よりも抜けがいい。軽量感もあるし、シェルの下に着てもごわごわしない。

冬山登山中はこれ以上薄着になることはないという行動着。言わば、昔、僕らが山でウールのシャツを着ていたように、冬の行動着の定番として使っていける1着だと思っています」

“オールシーズン使える優れモノ。防風、防水性を合わせ持つが蒸れにくいので保温着から行動用まで、秋のハイキングのお供、マルチピッチのビレイ、夏の早朝の北アルプスをヘッドランプを灯して進むときのアウターなどさまざまに使えるのでとても気に入っています。最近はついついバックパックに入れてしまいます”

——馬目弘仁(クライマー・山岳ガイド)

“ハードシェルが必ずしも必要とされない好天が約束された一日。上半身の動きを妨げない素材とフォルム、防水性と通気性、適度な保温力を備えたフーディジャケットは、山麓でのアイスクライミングやバックカントリーでの活動に重宝しています”

——上田幸雄(クライマー・山岳ガイド)

“シンプルで軽く、それでいて肩まわりやネック周りなど必要なところには保温性がある、それでいて中は蒸れない通気性が今までのどのジャケットよりある。ほとんど毎日のようにフィールドに入っているプロガイドには、このようなストレスなく着られるジャケットは手が離せないだろう”

——長岡健一(山岳ガイド)

LAYERING ITEMS IN THIS ARTICLE この記事のレイヤリングアイテム

  • Base-layer(佐藤さん)

    L/S 100 DRY CREW

  • Mid-Layer(佐藤さん)

    EXPEDITION GRID FLEECE HOODIE

  • Mid-Layer/Outer(佐藤さん)

    FL HYBRID VENTRIX HOODIE

  • Shell Jacket(佐藤さん)

    HYBRID SHEERICE JACKET

  • Shell Pant(佐藤さん)

    HYBRID SHEERICE BIB

  • Belay Jacket(佐藤さん)

    AGLOW DOUBLEWALL JACKET

  • Base-layer(Bさん)

    L/S 100 DRY CREW

  • Mid-Layer(Bさん)

    EXPEDITION GRID FLEECE HOODIE

  • Mid-Layer/Outer(Bさん)

    FL HYBRID VENTRIX HOODIE

  • Shell Jacket(Bさん)

    HYBRID SHEERICE JACKET

  • Shell Pant(Bさん)

    HYBRID SHEERICE BIB

  • Belay Jacket(Bさん)

    AGLOW DOUBLEWALL JACKET

寺倉 力
CHIKARA TERAKURA

ライター+編集者。高校時代に登山に目覚め、大学時代は社会人山岳会でアルパインクライミングに没頭。現在、編集長としてバックカントリーフリーライドマガジン「Fall Line」を手がけつつ、フリーランスとして各メディアで活動中。登山誌「PEAKS」では10年以上人物インタビュー連載を続けている。

2021.10.20
WRITER : CHIKARA TERAKURA
PHOTOGRAPHER : -

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