イメージの中では計画をしていて漠然と目標の大陸がある。雪のイメージも斜面の大きさや人々のラテンなバイブスもイメージが出来ていた。
しかし航空券ホテル更には行く最終的な国やスチールにビデオカメラマン全てを現地でその場のバイブスに乗せて人と人の繋がりや自分の知識やサバイバル能力に任せて調達する事にした。
意外にもこうした旅は成功に繋がる確率は低いようで精神的成功を納める為には有効的手段であり非常に刺激的なのです。
なぜ?それはハプニングに負けない為には計画しない事が一番だと僕は思っている。計画を練りその通りに行かなければそれは小さなハプニングも大きく感じてしまうだろうし、もしハプニングを楽しみたいなら焦らない状況に自分を置く事が良いと今までの経験から知っていた。そう。無計画とはゴールの方角だけ決めてそこまでの道をその都度決めて進んで行く事。

これが計画的無計画の旅
世界は広いようで狭い。
狭いようで広い。
人類皆兄妹。そう雪山へ行けばどこかに自分の仲間を知っている友人がそこには居て居なければ作る。
今回の旅の目的は自分がオリンピックやワールドカップで世界一速く滑ると言う目標のもと生きて来た32年間のそれとは全く違った物にしようと南米に決めた。
オールマウンテンで活躍出来る冒険にあふれた人生にする為の第一歩としてスタートを切った旅は刺激に溢れていた。
元々19歳から現在の32歳までのほとんどオーストリアをベースに過ごしていた自分はレース以外のプライベートでの旅行はホテルも航空券も前日や当日と言うのが当たり前で今回の旅も当然その流れでの出発だった。
トロントまでの航空券は2日前、ホテルは現地で。
これが最も自由に縛られる事無く人との出会いや繋がりのチャンスを増やしてくれる方法だからだ。カナダで数日過ごし情報を収集したのちにチリかアルゼンチンを天秤にかけアルゼンチンを選んだ。
アルゼンチンの首都ブエノスアイレスへ向かいそこからバリローチェと言う南米のスイスとも言われる地へ飛んだ。そこはナウエル・ラゴと言われる氷河で出来た湖がありスキー場から湖へ向かって滑る景色は素晴らしい地。

ただ旅の目的はスキー場を滑る事ではなく自分が新たに選んだ道 ビッグマウンテン。情報収集をする為にスキー場で片っ端から脈のありそうなライダーに声をかけ出会ったライダーが現地フィッシャーライダーのチマンゴだった。
自然と向き合う時にしか感じられない心音これが忘れられなくて、この先にとてつもなく大きな冒険がありそうで何より刺激的だから。アルペンスキーと言う自分の居場所が確立された場所を去り新たなジャンルに挑戦しているのだと改めて再確認した。

Gaucho(ガウチョ)との出会いで新たな開拓をする事になる。Gauchoとは元は野生化した牛などを勇敢に捕獲し革を売り生計をたてるスペインやポルトガル系の移民と先住民族グアラニー族との混血の人達が多い。アメリカで言うカウボーイの様なイメージをしたら良いと教えてもらった。現在は多くの山や尋常ではない程の広い草原を所有しそこ主に牛を放牧し生計をたてるリアルマン達。

そんな彼等とチマンゴの紹介で出会い彼等の所有するアンデス山脈の中の山へ。車で道無き道を2時間程走り道が途切れた所からは牽引して来たスノーモービルと冬用にキャタピラに変えた四輪バギーへ荷物を積み替え1時間程更に進むと彼等が手作りで建てたドームへ到着した。
山へ到着するとそこには今まで時間と戦って来た自分を深く思い起こすと言うかオリンピックと言う4年後の目標に対し時間を常にシビアに捉え100分の1秒を争う世界で時間を常に制する為だけに生きて来た自分が懐かしくもあり寂しくもあり凄い世界だったなと言う気持ちが生まれて来た。
そう思わせるだけのアンデスの大自然に無音の世界と景色がそこには広がっていて自分の価値観やこれから進むべき道を明確に自分の心の中に絵を広げてくれた。
今回のトリップで雪不足と言う事もあり雪質ふかふかのパウダースノーでは無かったがそれとは正反対の氷の斜面を滑り自分のスキルアップには役立つ旅立ったと思う。これから自分はスキーヤーとして色んな雪を楽しみ色んな雪を制し色んな状況で判断を見誤らない様に滑って行かなければならないとこう言った状況、環境の中で多くを感じる事が出来た旅だった。
これは偶然なのか奇遇なのか僕のテーマも人生最高の旅にしようだった。Never stop exploring.