Satomi Yamauchi

山内 聡美写真家

変化を恐れずニュートラルなマインドで家族と新たなチームを築く

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呼吸法が救ってくれた、
コロナ禍での第二子の出産

幼少期に過ごした風景などフィクションと現実の狭間にあるものをコンセプトに作品を発表し続ける傍ら、ファッション、カルチャー、音楽など幅広いシーンでフォトグラファーとして、東京を拠点に活動する山内聡美さん。現在36歳の彼女に、この4月、第二子が誕生しました。第一子から4年半のブランクを経て、コロナ禍という状況もあり、家族は立ち会えずに1人で出産することになった彼女が、基礎的な体づくりとして始めたのは、ピラティスを習うことでした。

「前回の出産から4年半経っていて、基礎的な体力を取り戻そうとピラティスに通いました。そこで習った呼吸法を家で実践してから出産に挑んだんですが、これがすごく意味がありました。疲れにくくなりますし、気持ちが落ち着く。私は陣痛が起きてから出産まで時間がかかるタイプで、痛みの解消法としては身体をさすってもらうことが効果的なんですが、今回はコロナ禍でひとりだったので、夕方入院してから翌朝生まれるまで、ひたすらピラティスで学んだ呼吸法でしのいだんです」

第一子のときと同様、産後1か月ほどで仕事に復帰した彼女だが、産休といっても体調を整え、生まれたばかりの子どもと5歳の長男との時間を過ごしていると、1か月はすぐに過ぎ去っていったのだとか。

「無痛分娩だったので、産む瞬間はそんなに痛くなくて。ただ、どうしても産後の痛みはあるので、2、3週間は、そもそも痛すぎて動けない、歩けない、立てない状態で。後々の身体への負担を防ぐためにも、1か月は安静にと言われているので、それに従って一歩も外に出ませんでした。ただ、仕事を休んでいるとはいえ、授乳したり新生児のお世話、5歳の長男の子育て、それ以外の時間は消耗した体力を補うために1分でも長く寝るか。授乳でどんどん消化される栄養を蓄えるために食べることであっという間。産後も仕事はするつもりではあったものの漠然としていて、復帰のタイミングは決めてはいませんでした。流れに乗って少しずつ、自分の体調を確認しながらできる撮影から受け始めました。スムーズに復帰できたのは家族のサポートのおかげです」

産休は約2か月間。その前後はほぼ通常営業で撮影の仕事を引き受けていたのだそう。パフォーマンスレベルでの制限はあったのでしょうか。

「妊娠してからも体調があまり変わらなくて。つわりがひどい時期も短かったので、気付いたら臨月まで働けていました。もちろん、お腹には気を遣いながらですけど、結果的に忙しくしてました。今回は妊娠2回目で慣れていたこともあって、ちょっと脚立に上がって撮影したりして、周りがヒヤヒヤするという(笑)。本当に幸いなことに母子ともに健康、産後も体調が順調に回復したので、子どもの様子を伺いながら1か月後くらいには仕事を再開しました」

変わらない自分を保ちつつ、
マインドをシフトする

「女性は出産すると変わる」という声をよく耳にしますが、第一子の出産前は山内さん自身も変わってしまうかもしれないという思いも多少なりあったとか。けれど、妊娠、出産、育児を経て、プライベートでも仕事の上でもアイデンティティがそこまで揺らぐことはなかったと振り返ります。

「子どもが生まれたらもっと優しい写真を撮るようになるのかなと思ったりしましたけど、全然そんなことなくて。自分が以前から好きだったもの、思い描いていた道をそのまま進めるんだなと。もちろん、子どもを産んで求めるものが変わっていくこともいいと思うけれど、個人的には、自分のアイデンティティがあまり左右されることなく延長線上に子どもが生まれてきたというか。変わるというよりは視点とパースペクティブが増えた感じ。シンプルに仲間が増えて、この子と家族として生きていくんだなという気持ちでした」

彼女がマインドをシフトするきっかけとなったのは、妊娠・出産以前、結婚を決意した29歳のときのこと。結婚という選択を前に、考えすぎてしまうことに意味を見出せなくなった山内さん。ネガティブな面にとらわれず、楽しいというポジティブな面を追いながら流れに任せてみて、いまに至るのだといいます。

「当時、周りの友達には結婚している子はそこまでいなくて、『結婚、不安じゃない?』という話になったときに、根拠がない“もし”にとらわれて、動けなくなっていることに気づいたんです。私はわりと慎重な方だと思うんですが、考える時間が増えるほど直感も鈍って自信が持てなくなっているなと。結婚をしても、子どもを産んでも、仕事をしていても、何かしらの問題は出てくるに決まっているので、あまり万全な状態を待つべきではないと思ったし、計画なんてできないなと。出産もダイレクトにキャリアに響くことだけれど、悩んでいてもキリがない。一緒に生きていきたいパートナーと出会えたという安心感はあったので、子どもはタイミングに任せようと思っていたら、第一子、第二子と生まれていました」

例えば、急な海外滞在など、出産前のようにフットワーク軽くできないことはあっても、機会がまたやってくると思えばいい。あれやこれができないとは捉えず、新たな方法を見つければいい。山内さんはこう考えます。

「若いときは、どうしても自分がやりたい仕事だったら、スケジュール、お金、体力の面で無理をしてでもやってしまう方だったけれど、無理したところでいい結果にはならなかった。そういう経験もあって、いまは難しかったら無理してやることはないし、それを後悔する必要もないと思うようになりました。子どもにも自分にも負担がない方法を一番に考えますし、そのために仕事相手にきちんと主張ができるようにもなりました。撮影が多くて納品に追われる週はいまでも多々ありますが、家で夜は仕事はやらないようにして、日中決まった時間でやるようにしていますね」

母だから、父だからという
役割に
とらわれず、
チームを築く

自分も含め家族ひとりひとりに無理をさせないのは大前提で、やりたい仕事を楽しむこと。それがいまの山内さんのスタンスになっています。けれど、バランスを取りながら育児をするなかで感じたのは、「父親より出産した母親が育児に長けていて当然」という世の中のムードでした。

「もちろん母親、父親どちらにもプレッシャーはあると思いますが、母親がすべてできて当然みたいな雰囲気がある。第一子目のときは私も初めてなので、何が何だかわからずこれで合っているのかなと手探りでやっていましたし、父親より母親の方が育児が優れているわけではないと考えていて。なので、母親のやり方を正解として、父親が覚えてならうというスタイルもあまり納得いかないんです。『これは苦しそうじゃないか』とか、『こうやったほうが早いんじゃないか』とお互いに見つけていけばいいんじゃないかと。なので、夫に私は教えられる立場ではないし、『自分も勉強する身なんで一緒にやっていきましょう』と伝えていました」

どちらかの正解を押し付けるだけでは、お互いに不満が募り悪循環になる可能性も。子育てをしながら学んだのは、育児はチームプレーでしかないということです。

「いろんな家庭があると思いますが、例えば、父親と母親がいる家庭で、どちらかがいないときに自分だけの強固なチームを組んでしまったら、残された方は入りにくいですよね。もし、子どもが『お母さんがいい』と来たとしたら、『お父さんも来て、みんなでがいいよね』みたいに提案すればいいかなと。言い方に語弊があるかもしれませんが、私の全てを子どもに捧げているつもりはなく、自分の子どもというより、1人の人間だと捉えていて。幼少期に不安やプレッシャーを抱かずに、安心して健やかに過ごせるかが、その後の人生の核になる。いままさにその時期の子どもを育てていて、どんなに忙しくてもその意識と時間を大事にしなきゃなと思っています」

山内さんの健やかで前向きな思考を支えているのは、幼少期の原体験にあるようです。7歳になるまで家族でアメリカ、フロリダで暮らした経験が大きく影響しているのだとか。

「生後半年で父の仕事の都合で家族4人でアメリカへ引っ越したのですが、日本人がほぼ誰もいない環境で、家族のチーム力を感じたんですよね。引っ越しも3回くらいしたのですが、記憶の中で両親はいつもわたしたち姉妹の前で前向きで明るく、苦労はあったかと思いますが、不安を感じたことがなかったんです。それがいかに大事だったかを大人になってから実感して。どこに暮らしていても、家族がチームとしてしっかり安定してさえいれば大丈夫なんじゃないかと思います」

仕事、出産や育児という場面で、常に変化にしなやかに適応しながらも、その都度いいと思うやり方を自ら見つけてきた山内さん。彼女は、東京という場所で、役割分担にとらわれることなく、それぞれの個が集まった家族というチームの一員として、フォトグラファーとして、自身が変わらずに思い描いてきた道をたくましく突き進んでいるようです。

山内 聡美

わたしを構成する3つのワード

  • Identityアイデンティティー
  • Balanceバランス
  • Sense感性
山内 聡美

PROFILE

山内 聡美写真家

神奈川県生まれ。幼少期の8年間をアメリカで過ごす。2006年より都内スタジオ勤務。フォトグラファーアシスタントを経て、2009年よりフリーランスフォトグラファーとして活動開始。精力的に作品を発表する傍ら主にカルチャー、音楽、ファッションの雑誌やWEB媒体にて活動中。

小野塚 彩那

Ayana Onozuka

小野塚 彩那フリースタイル スキーヤー

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