僕がクライミングのウェアに求めるものは、着心地がいいこと、軽いこと、体の可動域が制限されないこと、この３つなんですが、ドライドットはすべてを兼ね備えているように感じました。とくに、動きを妨げないところは印象的で、着ていないかのような軽快感があります。着心地もとてもよくて、やわらかくて天然素材のような感覚すらありました。日常着として使っても違和感ないんじゃないかな。

メッシュのような生地なので風を通すのかと思いきや、保温力があって、かといって蒸れたりもしない。直射日光に当たって暖かいようなときにも、暑いと感じることがないんです。保温性があるのに通気性が高い。どんな気温でも体を常に適温に保ってくれるような不思議な感覚があります。一日中同じウェアを着続けるマルチピッチのクライミングにはベストなんじゃないかと思いますね。

私たちガイドは毎日のように山に入るわけで、そこで重要なのは、いかにストレスなく着続けられるかということ。機能性ももちろん大事なんだけど快適性も捨てがたいんです。ドライドットでいちばん気に入ったのはそこで、肌ざわりがとてもいい。肌面に微妙な凹凸があって、体にベタッと張り付く感覚がないんですよね。

これだけ汗抜けがいいと普通は寒さを感じるところなんですが、汗をかいても急に冷えることがなくて、非常に具合がいい。こういうベースレイヤーは、暑すぎても寒すぎてもダメで、行動中に「ほんわり暖かい」状態を持続させるのが大事。ドライドットはその点、汗抜けと保温のバランスが絶妙にとれていると感じます。

個人的には立ち襟の「ジップハイ」がとても気に入りました。行動中の体温調整がやりやすいし、ロープを首に回したときもスレを防止できていいですね。四季を通じて使えそうなところがありがたい。365日使ってもいいくらいですね。

とにかく薄い、軽い。自分でも最初は「これで大丈夫なのか」と感じたくらい。でも実は生地が、ダブルフェイスという二重構造になっていて、心地よい暖かさがあります。これは着ていただければすぐ感じられるんじゃないかと思います。これまでのウェアにはないちょっと不思議な感覚。「こんなに薄いのになんで暖かいんだろう」って。薄くてやわらかいので肌当たりがよくて、立体パターンになっているので体にフィットしながらすごく動きやすいのもいいところです。

ドライドットの本質的なよさは実はもうひとつあって、汗が体に残らないところ。ダブルフェイス生地の肌面には撥水性があるので、汗がすぐさま体から離れて、大汗をかいても冷やっとする感覚がないんです。私はかなり汗かきで、ウェアリングはいつも悩んでいたんですが、ドライドットができて、これ一枚で解決したなと感じています。