#002

YUJI HIRAYAMA

平山ユージ

CLIMBER
ザ・ノース・フェイス独自のアップサイクルプロジェクト
EXPLORE SOURCE(エクスプロールソース)に
参加するアスリートが答える、ウェアに宿る冒険の記憶とは?

未来につなげていくために
僕らは生きている

プロフリークライマー、平山ユージが50歳を迎えた2019年3月、奥多摩の御前岩のプロジェクトを完登し、Time Machine 8c+(5.14c)とした。

右膝の手術後に始めたこのプロジェクトは、ボルト打ちから数えて1年10ヶ月で実を結ぶが、この御前岩はかつて高校生の頃に通った思い出の地。 平山は10代の自分や当時の景色に思いを馳せたという。そんな冒険を共にしたウェアの一部も、まもなくアップサイクルされる。
Ultimate Down Hoodie SUMMIT SERIES
Ultimate Down Hoodie SUMMIT SERIES
- このウエアから連想されるキーワードは?
相棒
- それはなぜですか?
自分は寒がりで数々のチャレンジをこのダウンと共に行ってきたからです。
- どんなシーンでよく着ていましたか?
真冬に自分の限界難易度をチャレンジする際に着ていました。 中でも記憶に残っているのは、奥多摩の御前岩で行なったTime Machine 8c+(5.14c初登)です。
- 完登できたときは、どんな気持ちでしたか?
このチャレンジを始めた同時期に、副会長として日本山岳・スポーツクライミング協会の仕事をスタートしています。 とにかく忙しい日々の中で、隙間をみつけては岩場に足を運んでいました。 当時のモチベーションとしては、“登れる副会長”でいたかったんです。

チャレンジの後半になると、週1で御前岩に行ってました。 それで完登できた時にまず思ったのは、サポートしてくれた仲間たちへの感謝ですね。よく付き合ってくれたな、と。
- そうしたチャレンジを共にしたウェアの一部がアップサイクルされ、新たなるウェアとして生まれ変わる。率直に、どう思いますか?
今の地球には必要なサイクルなのだと思いますね。

あまりにも僕らの日常は消費することが中心になり過ぎてしまった。作って、使って、捨てる。 これまでと同じような激しいサイクルでは、もう地球が壊れてしまうことを多くの人が頭でも理解できていますし、肌でも感じとっています。
- ご自身が感じている地球環境の変化を具体的に挙げるならば?
たとえば、僕が初めてヨセミテに行ったのは17歳の頃でした。 その頃は9月でも登れたんですが、今のヨセミテでは、9月は暑くてとても登れないんです。 国内だと、廻り目平の小川山は、昔は蚊をほとんど見かけなかったんですが、今は藪も増えて蚊も多いんです。
- 捨てずに次につなげる、こうしたウェアの循環はこれから何を生み出すと思いますか?
地球環境に優しいサイクルが持続すれば、“人が生きられる環境”は自然と作られていくのだと思います。 20代の頃からのテーマなんですが、自分が生きている意味ってなんだろうってよく考えるんです。それは「未来につなげていくこと」なんです。
- 挑戦することで誰かを刺激する。開拓することで新しいルートを切り開く。 まさに、冒険も「未来につなぐ」ためのアクションなのだと思いますが、平山さんにとって冒険とはなんでしょうか?
生きる喜びです。
Strike Trail Hoodie

Yuji Hirayama

平山ユージ
15歳でクライミングに出合い、10代の若さで国内トップに。その後、欧米でトップクライマーとして30年以上活躍。 世界一美しいと評されるクライミングスタイルで「世界のヒラヤマ」として知られる。 1998年ワールドカップでは日本人初の総合優勝、2000年には2度目のワールドカップ総合優勝を飾り、年間ランキングも1位となり世界の頂点に上り詰める。 活躍の場はコンペティションの他に自然の岩場で高難度のクライミングで世界中に衝撃と未知の可能性を与える。 2010年には自身のクライミングジムClimb Park Base Campを設立。国内最大のボルダリングコンペ『THE NORTH FACE CUP(TNFC)』の大会発起人でもある。
Yuji Hirayama / 平山ユージ