#003

AKIYO NOGUCHI

野口啓代

CLIMBER
ザ・ノース・フェイス独自のアップサイクルプロジェクト
EXPLORE SOURCE(エクスプロールソース)に
参加するアスリートが答える、ウェアに宿る冒険の記憶とは?

私の冒険が
その人の大切なものになるなら嬉しい

2021年夏、競技者を引退し、次なる冒険へと歩みを進めるプロフリークライマー、野口啓代。

20代最後の年である2018年は、“女王、返り咲き!”を印象付けた躍動の年。 3シーズンぶりのW杯優勝、自国開催でのW杯優勝、アジア競技大会複合で金メダルと、輝かしい戦歴を共にしたタンクトップは役割を終え、新たな服へとアップサイクルされる。
Reflex Bratank
Reflex Bratank
- このウェアから連想されるキーワードは?
THE NORTH FACE CUP(以降、TNFC)。
- それはなぜですか?
最後にこのタンクトップを着て出場したコンペが、2018年のTNFCだったからです。 このタンクトップは、トレーニングやコンペでよく着ていましたが、会場で映える色なので、決勝などでは、とくに「気合」が入りました。
- TNFCという大会には、どんな思い出がありますか?
数あるコンペの中でTNFCの本戦は、W杯シーズンの開幕直前に行われる大会なので、オフ期間のトレーニングの成果を試す場所でした。 そこで自分のトレーニングが仕上がっているかどうかをしっかり確認できると、シーズン前から勢いに乗れるんです。
- このウェアを着て戦った2018年のシーズンはどうでした?
この年(2018年)は、3シーズンぶりのW杯優勝、自国開催のW杯優勝、そしてアジア競技大会優勝が達成できました。
- そのシーズンの戦いで得たものを挙げるなら?
自分が目標にあげていた自国開催のW杯、そしてアジア競技大会での優勝によって、積み重ねてきたトレーニングに自信がもてました。 翌年の2019年には、後に私自身が現役引退という節目の大会として選んだ国際大会の代表選考も控えている大事な時期だったので、次に繋がるいいシーズンとなり、上り調子で自信をつけることができました。
- 誰かの冒険を宿ったウェアがアップサイクルされ、また新たなウェアが生まれる。このサイクルについて、どう感じていますか?
競技を引退したので、今後自分自身がウェアを着て大会に出ることはありません。 なので大会の思い出が詰まったウェアは貴重ではあるんですけれど、保管しているだけでは意味がないですし、誰かが同じ想いで着てくれることを想像すると嬉しいですね。
- 捨てるのではなく託すというウェアの循環が、これから何を生み出すと思いますか?
捨てることは寂しいですし、もったいないので誰かのために役立つのであれば、カタチそのものは変わるけれど、いい思い出がカタチを変えて積み重ねていってほしいなと思います。
-あなたにとっての冒険とは?
クライミングそのものが私にとっては冒険でした。 トレーニングをしてベストを更新したり、自分を磨いていくことで成長を感じられたり。 今後も挑戦すること、目標をクリアすることで、冒険し続けていきたいです。
-あなたの冒険を託された人へ、最後にひと言メッセージをください。
どんな人に託されるのか分からないけれど、どんなカタチであっても、私の冒険がその人の大切なものになるなら嬉しいですね。
Reflex Bratank

Akiyo Noguchi

野口啓代
小学5年生の時、家族旅行のグアムでフリークライミングに出会い、翌年行われた全日本ユース選手権では中高生を抑え、優勝するなど瞬く間に頭角を現す。 2008年、ボルダリングワールドカップで日本人初優勝。その後は年間優勝を4度獲得、ワールドカップは通算21勝(歴代2位)を数える。 第3回スピードジャパンカップ(2021)で初優勝を果たし、国内大会全種目のジャパンカップ制覇の偉業を成し遂げる。2021年、競技引退。 今後は岩場などで進化し続ける日本が世界に誇るクライマー。
Akiyo Noguchi / 野口啓代