Good Run Good Way

単に環境に配慮された製品を選ぶことだけで、自然とのよりよい関係は築けていけるのだろうか。
身体という“自然”も共に循環してこそ、その消費行動が本来の意味をなすと言えるのかもしれない。
THE NORTH FACEが取り組む環境配慮型のランニングウエアシリーズ「FREE RUN」を通して、
日々走る人たちのライフスタイルを追う。

Interview

コウ ノリ

「サンシャインジュース」代表コウ ノリ

野菜・果物の栄養分をダイレクトに身体へ届けるコールドプレスジュースを販売することと、日常的に走ることは切り離すことができないと話す「サンシャインジュース」代表のコウノリさん。走り続けることで自ずと見えてきた、自然とともに循環する気持ちのよい生き方とは。

[ Profile ]
日本に生まれ、アメリカ、台湾での生活を経て、2014年、完全無添加100%自然由来をコンセプトとした日本初のコールドプレスジュース専門店「サンシャインジュース」をオープン。日本各地の生産者から直接仕入れる、質はいいが規格外となったものも積極的に使う、ジュースの残渣をコンポストにするなど、ジュースを通じて循環型社会の実現を目指している。

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ジュースの素材となる野菜・果物の産地に赴き、生産者から直接仕入れた採れたての素材だけを搾ってイベント形式でお客さんに飲んでもらう。今回は、ノリさんの「ジューシー・ジャーニー」という活動を追いかけて高知まで来ました。こうして地方に滞在している間も毎日走っているんですね。

基本的にはどこにいても、ほぼ毎日走ります。マラソンにトライアスロンといった持久スポーツでレースに出たりしていた時期もありましたけど、今ではレースのような目標がなくても走る。自分の中では、走ることが生活のリズムをつくるのに必要不可欠なことになってます。

ノリさんが、日本で初めてコールドプレスジュースの専門店「サンシャインジュース」をオープンしたのは2014年。当初、まだ日本では知られていなかったコールドプレスジュースと出会ったのは、まさにレースに出ていたころだったそうですね。

僕のバックグラウンドについてすこしお話すると、日本に生まれて10代後半からアメリカに住み、祖父が台湾人だったこともあって、そのあと3年半ほど台湾に住んでいた時期がありました。もともと走ることが好きで、持久スポーツに熱中するようになっていったんですけど、台湾に住んでいたころは特に、さまざまなレースに出ていたので「もっといいタイムが出したい」という欲求も強くて、そのために食生活も意識的にビーガンにしていました。そんなときに、コールドプレスジュースに出合ったんです。「自分は植物性のものしか身体に入れていないし、コンディションもばっちり」と思っていたところに、このジュースを飲んでびっくりして。細胞にガツンとくるような、目覚ましい効果があったんです。自然の力、植物の力をもっともダイレクトに感じることができるフォーマットがコールドプレスのジュースなんだなと。自分の中では大きな発見でした。

インナーケアのための栄養摂取ということで言えば、サプリメントという選択肢もある中で、ノリさんは初めてコールドプレスジュースを飲んだときの衝撃から専門店をオープンし、ジュースにこだわり続けてきた。サプリメントとの大きな違いはどこにあるんでしょうか?

確かに栄養素ということだけで言えばサプリメントというチョイスもあって、それを否定するつもりも全くないのだけど、僕は自然界に存在する栄養素をできる限りそのままの状態で身体にとりこむことがベネフィットとしても一番だと思っているんです。さらに、人間が自然(植物)とダイレクトにリンクできる方法でもある。あとは、単にジュースが好き。おいしいから(笑)。
店をオープンした当初から、できるだけ生産者を訪ねて直接仕入れたいと思って続けてきました。産地へ行くたびに新しい気づきがあって、そこでまた新しく出会った人が、新しい誰かをつないでくれるんです。今回、イベントをさせてもらった高知のレストラン「yoiyo」の中上潤哉さん・曜子さん夫妻も、自分たちの信頼する生産者さんを惜しみなくつないでくれる、心から尊敬する大好きな二人で。いろんな土地土地にそんな存在の人たちがいるから、産地巡りはやめられない。自分にとってすごく幸せな行為のひとつです。

コウ ノリ

ここ数年では、コンポストの活動もされているそうですね。これを始めたきっかけについて教えてもらえますか。

そもそもはジュースを搾ると残渣がでて、それをゴミとして捨てるのが嫌だったからなんとかしたいと思ったのがきっかけでした。千葉・一宮の「THE Farmers」と、東京・青梅の「Ome Farm」、2つの農家さんに話をしたら、一緒にやろうと言ってくれて。僕の友人たちにも声をかけてレストラン、花屋、コーヒーショップの残渣も一緒に引き取ってコンポストにしてもらい、その肥料を各農家さんに使ってもらったり、一部は各お店で販売する、という取り組みをしているところなんです。
でも、やっていくうちに、単にゴミを減らすというだけではない思いが生まれてきたんです。コンポストをつくるというのは、「僕ら(人間)が、植物から栄養をもらって、健康になりました」ということに対するお礼でもあるというか。植物にも喜んでもらえる、自然に還元できる行為でもあるんだなと。それが地球環境に対してどれほどの効果があるかと言えば、ごく微力なのかもしれないけれど、この小さな循環が植物とのリンクをより強めてくれると思うんです。実際、自分たちがつくったコンポストで元気に育ってくれるのを見ると、一方的に自然を眺めて「きれいだね」「気持ちいいね」と思っていたとき以上に、植物への共感や愛が生まれきました。

コウ ノリ

ノリさんにとって、ランニングとジュースには、共通項があるように感じます。

似た部分があると思います。シンプルに、走ると「気持ちいい!」し、飲むと「おいしい!」から(笑)。それに、頭の中がもやもやしていても、走ればすっきりして自分のベースラインに戻ることができる、僕にとっては一番フィットするメンテナンス方法なんです。健康であれば、ポジティブな感覚で過ごせるじゃないですか。ジュースも同じで、たくさんの人に、あの植物の力が細胞に訴えてくれる感覚を味わって健康になってもらいたいと思っているんです。身体が健康になれば、マインドも健康になれる。そうして調子のいい人が増えていけば、日々の小さなことにも感謝できて、あたり前に親切にできる人が増えていく。そんな健康でジューシーな循環が広がっていった先には、世界平和が待っていると大真面目に思っています。

text : Eri Ishida , photo : Rai Shizuno, movie : Jun Yamagishi

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THE NORTH FACE が2009年以来続けてきた、各直営店にリサイクルボックスを設置して不要になったアイテムを回収、これを分解・再生させる「GREENCYCLE」プロジェクト。「EXPLORE SOURCE」は、これを進化させ、独自に開発した純度の高いリサイクル繊維へと再生成し、よりハイスペックな製品を生みだす循環型アップサイクルを実現しました。機能性を重視するアウトドアウエアには必要不可欠とされてきたナイロンやポリエステルなどの石油資源をもととした化学繊維。これらを新たに調達することなく回収・再生させることで、ユーザーとともに循環のサイクルを生みだす活動を続けています。

Bio based materials

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「FREE RUN」コレクションにメインで使用されているナイロン素材はトウゴマ(ヒマ)からつくる植物由来のセバシン酸60%と、ヘキサメチレンジアミン40%を重合・紡糸した植物由来の合成繊維です。
植物が成長過程において吸収する大気中の二酸化炭素量と、焼却処分によって排出される二酸化炭素量が同じであるため、100%石油由来の繊維に比べ大幅に二酸化炭素が削減できます。