THE
INTERNATIONAL
WOMEN’S DAY

未来のために女性の
エンパワーメントを

モデル/ライフスタイルクリエイター

未来リナ

LINA MIRAI

Fridays For Future Japan

黒部 睦
横井美咲

MUTSUMI KUROBE

MISAKI YOKOI

Instagram

@tnfwomen

インスタライブ

3/6(土)19:00〜

START!

“変える”のではなく、
“変わる”きっかけを
生み出していく

サステナビリティやダイバーシティといったワードが、ともするとファッション感覚で使われている場面も多い現在。これらのキーワードに抱く切実さのイメージは、人によって大小様々です。社会問題について深く知ることで世界の見え方は変わってきますが、その景色を他人と共有するのは、問題について知ることよりさらに難しいことかもしれません。

SNSやYouTubeなどサステナブルなライフスタイルを発信している未来リナさんと、気候変動対策を訴えかける活動を行う団体、Fridays For Future Japanの黒部睦さん、横井美咲さんによる座談会の様子をお届け。世代の活動家である彼女たちが他者との対話について、そして女性が社会問題に対して持ちうる力について語ります。

PHOTOGRAPH BY MIE MORIMOTO

TEXT & EDIT BY KUNIHIRO MIKI

社会問題が自分ごとになった瞬間

ここ数年、アメリカでは「社会的に目覚めること」を意味する「woke」というワードが浸透し、人種的平等や社会的平等の実現のためのキーワードになっています。

主導する人々はいわゆるZ世代(1990年代後半から2000年生まれの人々)が多く、それは日本でも同様です。主体的な現象に思えるwokeですが、重要なのは他者との間に共鳴が起こること。環境問題という社会課題に早くから“目覚めて”いた未来リナさんと、Fridays For Future Japanの黒部睦さん、横井美咲さんもZ世代。彼女たちが早くから環境問題に意識を向けるようになったのも、実体験があってのことでした。

「私が気候変動に強い関心を持ったきっかけは、スウェーデンの市役所前で気候変動問題を訴えて座り込みをしている人たちを目撃したことでした。学校を休んで参加している小学生やおじいちゃんおばあちゃんたちの姿を見て、私がなにもしなかったらここにいるみんなが訴えていることは無駄になってしまうのではないか、という気がしたんです。それまではどこか他人ごとに感じていた問題が、自分ごとになった瞬間でした」と黒部さんは語ります。

情熱をもって活動をしている人々の背中を見たことが環境問題を自分ごととして考えるきっかけになる。「気候変動が進んだ未来を思い描くことはとにかく怖いことだった」という横井さんは、グレタ・トゥーンベリさんのスピーチを聞いて考えを新たにしたといいます。「私よりずっと年下のグレタさんが世界から批判を浴びたりしながらも、未来のことや地球のことを切実に考えて行動していることに感動しましたし、何も知らなかった自分を恥ずかしくも思いました。このことをきっかけに自分もやらないと、と自然と思うようになっていったんです」

一方で未来リナさんはヴィーガンライフスタイルと出会ってから環境を意識するようになったと話します。

「SNSやYouTubeを通してヴィーガンについて発信している人々を見て、なぜ?と思って調べたんです。私にとってそれまでヴィーガンという単語はラベルでしかなかったんですが、調べていくうちに、それがどれだけ環境問題とリンクしてるものかを知って、ショックを受けたんです。それから、地球に住む一人の人間としてできることをしたい、という思いが生まれました」

誰かの行動を起こすその背景を自ら調べ、意図を汲み取ることで、問題意識が自分のなかに内在化する。3人に共通するそうしたプロセスが、彼女たちを行動に導きました。

共感を生むための情報シェアリング

コロナ禍になってから、国や民族という大きな世界だけでなく、小さなコミュニティや個人という単位でも、思想や価値観の違い、格差や不平等が浮き彫りになり、分断が生じています。環境問題という、逼迫した人類共通の話題を発信するうえでも、対立を生まないための丁寧な対話を重ねることがなにより大切になります。

黒部さんは発信を行う上で「(受け手が)自分は否定されていると思ってしまうと、環境問題には関わりたくないと思ってしまう人が増えてしまうことになりかねない」と、コミュニケーションの方法に注意を払っていると言います。

「例えばこれをするのは良くない、というようなネガティブな発信の仕方をしてしまうと、受け手は自分が否定されたと感じてしまったり、我慢しなきゃいけないんだ、と思ってしまう。こういうこともできるんだよ、というシェアの感覚が重要なのではないでしょうか」

SNSなどを通じてダイレクトに発信を行う未来さんも、対立を生むことなく周囲の人々に意見を伝え、また相手の関心を呼び起こすために、日々意識していることがあると話します。

「私がなにかを発信するにあたって必ず心がけているのは、みんなそれぞれ違う人生のバックグラウンドや環境があって、状況や状態も常に変わるものなんだと念頭に置くこと。私の視点では真実でもその人にとって真実として映るかわからないし、私にとって無理のない生活スタイルが、人によっては努力しなければならないものかもしれない。押し付けてしまっては、それこそサステナブルじゃないですよね。例えば友だちとカフェでテイクアウトするときにタンブラーを持って行く。どうして?と聞かれたときに、プラスチックの問題の話をしてあげるとか。自然なかたちで話すようにしています」

何かを教えるのではなく、自分が大切にしていることや、ありのままの行動を見せていく。そうした双方向の対話を重ね、能動的にスイッチを入れるタイミングを増やすことで、一人ひとりの意識が変わっていくのかもしません。

2019年、環境問題に訴えかける「グローバル気候マーチ」には若者を中心に約2,000人が参加した。 ©Fridays for Future Japan

女性がアクションを起こし、連帯するその背景

シェアを通して共感が生まれやすい個人発信がある一方で、Fridays For Futureのように団体としてインパクトをもった提言や、公共性のある情報発信は等しく重要なアクションです。メンバー構成は、女性の割合が半数を超えるというFridays For Future Japan。活動のなかで、女性ならではの高い共感力が発揮される場面があるといいます。

「私は最近こういうことをしているよと仲間に伝えると、女性から『私もやってみようかな』という反応が返ってくることが多いのに対して、男性からは『そのデータはどこから出たものなの?』というような疑問形の反応が多いんですね。どちらが良い悪いわけではなく、問題への向き合い方という点で男女の違いはあるように思います」(黒部)

「活動するうえで共感力はすごく重要で。YouTubeの番組にしても、そこに女性が出演しているというだけで女性たちはその番組に興味を持ちやすくなると思います。Fridays For Future Japanがインスタライブをするときは、なるべく男性と女性は1:1にしています。女性の立場を上げるために割合を無理やり増やすのではなくて、平等なジェンダーバランスにすることを意識しています」(横井)

機会が平等に与えられているかどうか、という点に女性たちは目を光らせ、そこで生まれる共感力が連帯を生んでいく。女性は共感力が強い、とも言われるその背景には、男性が自分たちの優位性を自覚することなく、無意識に享受してきた事実も同時に立ち現れてきます。また、女性であること自体がさまざまな社会問題に対して声を上げることの原動力のひとつになっているのではないか、と黒部さんと未来さんは続けます。

「国際的に見ても社会問題に対して行動を起こす人のジェンダーバランスがそのほかの分野にくらべてニュートラルだったり女性比率が高めだったりするのって、それだけ女性がなにかを変えたいと思っているからなんじゃないかと思います。社会問題から被害を受けやすい立場にいるから、その根底を変えたいと思っている人が多い。だからそこに共感する人たちがみんなで一緒になって声を上げていく」(黒部)

「それはすごくわかります。だからこそ、未来のことを考えるうえで女性が意思決定のポジションに就くことは重要。柔軟で幅広い視点を持っている女性はものごとを決めつけずに多くの人を巻き込んでなにかをかたち作っていける求心力があるんじゃないでしょうか」(未来)

ブルームバーグNEFが2020年に発表した調査では、「取締役会の女性比率30%」を超えた企業は、気候変動に対する取り組みが優れているという結果が出たそうです。女性たちが社会問題の改善をけん引しているのは、女性たち自身がいまだ社会のなかで不利な立場にいるからではないか、という彼女たちの指摘は当事者意識を持つことの重要さと、そこで生まれるエネルギーの大きさを物語っています。

環境もジェンダーも、利己的な行動によって引き起こされている問題として根本はつながっているもの。女性たちの活躍と同様に、今、Z世代の行動が力強く世の中に影響を与えているのは、彼ら/彼女らがディストピアな未来を生きるかもしれない当事者だからにほかなりません。その姿を見て私たちも「目覚める」ことができるかどうか。大きな問題を自分ごとに引き寄せるための広い視点ときっかけを一人ひとりが得ていく。それが社会が抱える課題を解決していくための第一歩なのかもしれません。

インスタライブ開催!

LIVE01.「これから変わる、社会のジェンダーへの意識」

3月6日(土) 19:00〜19:40

出演者:「パレットーク」編集長 合田 文 × THE NORTH FACE 中村真記子

非当事者が社会課題としてジェンダーを捉え共生していく世の中を作るために、「多様性」をテーマにジェンダーについて語ります。

視聴はこちらから @tnfwomen@palettalk_

LIVE02.「知識を身につけかしこく生きる! 今知っておくべき環境問題A-Z」

3月6日(土) 20:00〜20:40

出演者: Fridays For Future×No Youth No Japan×THE NORTH FACE 西野美加

若い世代の政治参加を身近にすることを目指して活動するNo Youth No Japan。その代表・能條桃子さんとFridays For Futureのメンバーで「環境」をテーマに女性たちがこれからの未来を生きるため座談会を実施します。

視聴はこちらから @tnfwomen@fridaysforfuturejapan@noyouth_nojapan

未来リナ

未来リナ

日本人の父、スペイン人の母、それぞれの母国を行き来しながら育つ。3歳からモデル活動を開始。10代の頃、摂食障害をきっかけに愛を原点とした生き方、ヴィーガンに出会う。以降、環境・動物・健康について幅広い視点からヴィーガンライフスタイルを学び、未来への希望と生きる喜びに目覚める。近年ではモデル活動とともにトークショーをはじめ、Plant basedレシピ開発や書籍の出版等多岐にわたり、“地球を守る為に、いま自分が尽くせるベスト”をモットーに「モデル/ライフスタイルクリエイター」として活動中。

FridaysForFuture

Fridays For Future

FridaysForFuture(未来のための金曜日)は、2018年8月に当時15歳のグレタ・トゥーンベリが、気候変動に対する行動の欠如に抗議するために、一人でスウェーデンの国会前に座り込みをしたことをきっかけに始まった運動。この世界的なムーブメントに共感した日本の若者によって、2019年2月に東京から気候変動対策を求める運動が始まり、現在は全国各地35ヶ所以上に広がっている。

GENDER

01

“自分への憧れ”が
エンパワーメントを
加速させる

ジェンダーや賃金の不平等など、スポーツ界で起きているいくつもの格差。その問題が生じる現実と背景を学び、解決のためのいとぐちを探ります。

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LGBTQ+

02

アクションを起こす
女性たち

ジェンダーギャップ指数がG7の中で最も低く、世界から遅れをとる日本。LGBTQ+やフェミニズムの観点から、私たちが変えていかなければならない“あたりまえの意識”とは。

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Instagram

Instagram Live

3/6 19:00 Start

PRESENT

風呂敷からはじまる
アップサイクルの
かたち

GORE-TEXの残反を活用したアップサイクル風呂敷が登場! サステナブルなアイテムをそばにおいて、環境へのアクションに一歩チャレンジしてみませんか?

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