真っ白なTシャツに込められた海への思い
Green Material #2

真っ白なTシャツに込められた海への思い

UpDRIFT
UpDRIFT
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UpDRIFTは、海辺に漂着したプラスチックゴミをビーチクリーンによって回収し、リサイクルやアップサイクルすることによって新しい価値を生み出すプロジェクトです。プラスチックゴミは、長年に渡って海洋汚染の一因として問題となっています。UpDRIFTは、こうしたプラスチックごみの問題を解決するだけでなく、地域コミュニティーと協力して、海洋環境保全や地域活性化に貢献しています。また、UpDRIFTはゴールドウインが展開する「GREEN IS GOOD」の取り組みの一環として、環境負荷の少ない素材を使った製品を生み出し、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを進めています。

Index

あなたが普段着ているTシャツが、どのような素材で作られ、どこで誰によって作られたのか、知っていますか?もしその背景にあるストーリーを知ることができたらーー。

この真っ白なTシャツは、HELLY HANSENのH2Oプロジェクトから生まれたもの。海辺に漂着したペットボトルをアップサイクルした、環境に配慮した素材を使用しています。ただの白いTシャツではなく、背景にあるストーリーや関わる人の想いを感じることができるTシャツです。

HELLY HANSENは、H2Oプロジェクトを通して環境に優しい製品の開発や海洋汚染の問題に関する啓発活動など、様々な取り組みを行っています。この真っ白なTシャツはその一例であり、美しい海や水を守っていくために、私たちが今できることを示しています。

この真っ白なTシャツがどのようにして作られ、どのような想いが込められているのか。関わる人々へのインタビューを通して、彼らの想いをお届けできたらと思います。この真っ白なTシャツに込められた想いから、美しい海や水を守り、未来へ繋いでいこうという意識が広がることを願って。

真っ白なTシャツに込められた海への思い

未来の海を守るために、
ペットボトルをTシャツに変える

ー豊島株式会社 営業企画室 SDGs推進支援:中村洋太郎さん

真っ白なTシャツに込められた海への思い

毎日、海辺にはおびただしいほどの漂着ごみが辿り着きます。そこには、海や自然を想い、感謝し、汗水垂らしながら毎日のようにビーチクリーンを行う地元の人々の姿があります。「美しい海や自然をこの先もずっと大切に守り続けていきたい」という真っ直ぐな想いで動いてくださっています。毎日拾っても海辺に流れつくごみをどうにかアップサイクルできないかという想いから生まれたのが、この真っ白いTシャツです。

漂着ペットボトルが一枚のTシャツになるまでには、多くの苦労が伴います。漂着したペットボトルは、地域のボランティアの方々や自治体の方々、リサイクル業者の方々が協力してくださり、集められています。漂着したペットボトルには汚れがついていたり、色付きのものや貝殻がついたものなど様々です。それを地元の方々がリサイクルできるものだけに手作業で分別してくれたり、海洋ゴミ専用の機械で圧縮してくれています。

着ることで、考えるきっかけが生まれる

真っ白なTシャツに込められた海への思い

一枚のTシャツには、約10本分のペットボトルが使用されています。そのため、このTシャツを選択することで、それだけのペットボトルごみを再利用でき、自然環境を守る貢献ができていることになります。

このTシャツは100%再生ポリエステルで作られており、その数パーセントに漂着ペットボトルをアップサイクルしたUpDRIFTの素材が使用されています。現在は品質維持のために数パーセントという割合ですが、今後は品質を上げながら、その割合を増やしていければと思っています。

見た目がクールでかっこいいだけでなく、多くの人々の想いや努力がたくさん詰まっているんです。このTシャツを着ることで、自然環境について考えるきっかけが生まれるだけでなく、海を想い、協力してくださっている方々の想いや努力も届けられればと思っています。着てくれる人に、海洋ごみや自然環境問題に貢献できている意識が芽生え、ものを選ぶ意義を感じてもらえたら嬉しいですね。

一つのものを大切に長く着ることが大事だと思っているからこそ、愛されるものを作り続けていきたいと思っています。私たちの小さな取り組みが大きなインパクトへと繋がり、美しい海を守り、未来に繋げていけると信じています。

ビーチクリーンのない未来をつくるために、
ビーチクリーンをする

ーー海Loveネットワーク代表:中川 久美子さん

真っ白なTシャツに込められた海への思い

「海LOVEネットワーク」が主催するビーチクリーンイベントは、2009年から石垣島最北端・平野海岸で毎年開催され、今年で15回目となりました。

サーファー仲間を中心とした有志によって始まったビーチクリーンは、年々増えるごみ問題に対処するためだけでなく、“みんなで考える”機会も提供するために、仲間とイベント化を進めました。現在では、ごみ問題と向き合い、海の美しさとごみが覆いつくす海岸のコントラストを体感することで、新たなメッセンジャーになってもらうことを目的とし、活動を続けています。活動を重ねていくうちにボランティアや支援者が増え、海上保安庁長官賞や国土交通大臣賞を受賞し、更なる賛同の輪へとつながっています。

今年度は、3月5日(日)“サンゴの日”に開催し、過去最大規模の200名が集まり、約12,500本のペットボトル、211個のブイ、その他にもロープやプラスチックなどの大きなごみを回収しました。ビーチから道路までのごみの運び出しは、全員が参加する“バケツリレー”で行います。みんなで拾ったごみを一度手にすることで、ごみの重さを体感することができるからです。そのプロセスが大切な気づきとなり、「未来の世代にこのような問題を残したくない」という意識が刻まれるのです。

プラスチックを完全になくすことは難しいかもしれませんが、他に活かす方法を考えたり、プラスチックごみを出さないライフスタイルに意識的に変えていくことも大切です。ビーチクリーンは、その意識を広めるためにも、ビーチクリーンのない未来をつくるためにも、取り組むべき大切な一歩です。

真っ白なTシャツに込められた海への思い

一枚のTシャツから、美しい海と水の未来を考える

ーーHELLY HANSEN事業部 企画グループ:川尻啓介さん

真っ白なTシャツに込められた海への思い

HELLY HANSENは、海や水に対する思い入れがあります。私たちにとって欠かせない存在である水を綺麗なまま、美しい海を未来へと守っていくために、少しでもごみを減らしたいという想いがありました。海洋漂着ごみを減らすことにも力を注いでおり、漁網のリサイクルなどを行っている中でUpDRIFTという素材に出会い、ビーチクリーンで拾った漂着ペットボトルを繊維にするプロジェクトを始めました。

Tシャツという、身近なものを通じて海洋漂着ごみに対する関心を増やしたいと考えています。例えばこのTシャツを「なんかかっこいいな」と思って手に取ったら、漂着したプラスチックごみを使って作られたものであるという、背景にあったストーリーを知る。それによってごみを減らす意識が芽生えたり、海洋漂着ごみに関心を持ってもらうことができればいいと思っています。

まずは人々が着たいと思うものを作り、いろんな人に手に取ってもらうこと。そうして少しずつ意識を広げていくことが大切だと思っています。自分が着ていることがごみを減らすことに役立っているという意識が生まれたり、「今着ているTシャツは海のごみ拾いをしたことによって生まれたんだよ」と周りに語ることができることも素敵ですよね。

ビーチクリーンに参加するのはハードルが高いと感じる人もいるかもしれません。でもこのTシャツを着ることで、拾ったごみが繊維になって、こんな素敵なTシャツができると思ったら、ごみを捨てないでおこうという意識が芽生えるのではないかと思っています。この一枚のTシャツから、大きな可能性を感じています。

ローカルで考える、グリーンなものづくり

ーーHELLY HANSEN H2Oプロジェクト立ち上げメンバー:川野茉莉子さん

真っ白なTシャツに込められた海への思い

学生時代に、自分が好きなファッションが環境に大きな負荷をかけていると知り、環境に対する意識が芽生えました。HELLY HANSENで行われていたVINDKRAFTという、不要になったセイルをアップサイクルするプロジェクトに共感し、それ以外にも環境に対するプロジェクトをやりたいと思うようになりました。

HELLY HANSENは海や水に関わっているブランドだからこそ、海洋環境に対してもっとできることがあるのではないかと思ったことがきっかけで、H2Oプロジェクトを立ち上げました。その中の一つであるGREEN MATERIALプロジェクトでUpDRIFTという素材に出会い、このTシャツの取り組みを始めました。

このプロジェクトでは、ビーチクリーンで集められた漂着ペットボトルが繊維になって、Tシャツになります。原料がどのようにTシャツになるのかだけでなく、地元の人たちが協力して集めているというところまで見えるというのは、UpDRIFTという素材の大きな特徴だと思います。

このTシャツを通して自然環境や海洋ごみに対する意識が広がることもそうですが、UpDRIFTの取り組みのように、ローカルな取り組みが増えていくことも理想ですね。例えば、ものを作る工程を海外で行うと、輸送の部分で環境に負荷がかかってしまう。しかし、この取り組みのように、地域で集められたものを埋め立てや焼却をして処分するのではなく、地域の人々によって再利用にまわすことで、環境負荷を減らすことができる。ものを選択するときに、関わっている人の顔が見えるというのは、大切ですね。

Message

ものを選択するとき、そこにある背景や関わる人の顔が見えると、素晴らしいと思いませんか?服を買う時に、少しでも地球のことを考えながら選んでみる。その一歩が、美しい海や水を未来へと繋いでいくために必要なのです。

HELLY HANSENは水と海とともに生きてきたブランドとして、将来起こりうる地球への負担・心配を解決していきたいと考えています。これからも、同じ志で活動していく人々と共に、使われなくなってしまったものから新たなものに生まれ変わらせる、循環型社会へ繋がる次の一歩を歩んでいきたいと考えています。皆さんと一緒に、私たちにできることを考えていけたらと思っています。

真っ白なTシャツに込められた海への思い

Products

アップドリフトブランクTシャツ
Price
¥5,350 (税込)
Size
XS、S、M、L、XL,XXL
Color
Sage、Navy、Black

アップドリフトブランクTシャツ

S/S UpDRIFT Blank Tee(HH62310)

美しい海を未来に残すために、HELLY HANSENが海や水にまつわる環境に対して様々なアクションを行う「H2O PROJECT」の一環から生まれたTシャツ。
素材には、海岸に漂着したプラスチックゴミを原料としたリサイクルポリエステルを使用しています。
ポリエステル100%ながらナチュラルな風合いで、吸汗速乾性も備えているためアクティビティでの使用も可能。
シーンやトレンドを問わずに末長く着用してもらいたいという思いから、シンプルでベーシックなデザインに仕上げています。
左脇にロゴを配置したシンプルなデザインながら、作られた工程には多くの人の想いが詰まったTシャツです。
長く着続けることも一つの環境アクションです。
地球環境に配慮した「GREEN MATERIAL」製品。

※一部HH店舗にて6月2日より販売を行っています。

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Words

漂着ペットボトル

近年、深刻な環境問題となっている海洋ごみの一種。海上を漂流し、海岸に流れ着いたペットボトルのことを漂着ペットボトルと言います。海に漂流し続けることで、ペットボトルが海洋生物に絡まり窒息死したり、海岸に流れ着いたペットボトルが野生生物の飲料水を汚染するなど、海洋生物や海岸生態系に深刻な影響を与えることがあります。現在では、漂着ペットボトルを削減するために、個人や企業がペットボトルのリサイクルやアップサイクルを促進したり、ビーチクリーン活動を行うなど、様々な取り組みが行われています。

GREEN MATERIAL

GREEN IS GOOD(以下、GIG)とは、ゴールドウインが展開する、「繰り返し使う」「選んで使う」「大切に使う」という3つのアクションに沿って、楽しみながら緑の地球を守る取り組みです。そしてGreen Materialとは、GIGの3つのアクションのうち「選んで使う」にあたり、リサイクルできる繊維、成長が早い植物を原料とした繊維など環境負荷の小さい、地球になるべく優しい素材を使うことです。

海LOVEネットワーク

海洋ごみ問題に取り組むNPO団体で、拠点は沖縄県石垣市にあります。海洋ごみの回収や分析、環境保全啓発活動などを行い、多くの人々に海洋ごみや取り組みについて関心を持ってもらうことを目的として活動しています。また、ビーチクリーンやシーシェパードとの協働イベントなど、様々なイベントを通して海洋環境保全の必要性を広く伝える活動を行っています。

Text by Yukari Fujii @yukaringram / Photo by Shota Fujii @efgshota