03 | Moriyasu

雲ひとつない快晴の下、海岸公園の駐車場で待ち合わせ。初夏のような陽気も相まって、非日常なシチュエーションに早速なんだか浮き足立ってしまう。そこへサーフボードを乗せたクラシックカーで颯爽と現れたのは、スタイリスト・ボタニカルデザイナーのMoriyasuさん。東京から藤沢へと住まいを移して早20年。海のそばで暮らすことの魅力、そして現在のワークスタイルについて、お話を伺った。

Interview
「心惹かれる方向へ、流れるままに」

海の無い暮らしなんてもう考えられない、と語るMoriyasuさん。しかし意外にもサーフィンとの出会いは、友人に付き添ってサーフィンスクールに参加したのがきっかけだったそうだ。

「もともと私は藤沢育ちで、海もマリンスポーツもずっと身近にあったのに、今まで全く触れてこなかったんです。海よりも音楽に夢中な学生時代で。でもいい大人になってから体験したら、『サーフィンってただのスポーツじゃなかったんだ』と思い知らされて。海に浸かっているだけで、余計なものがすうっと浄化されていく感じがするんです。その感覚がとにかく衝撃的で、楽しくて、あっという間に虜になりました」。

取材に応じてくださった間にも、行く先々でたくさんのサーファー仲間から声を掛けられていたMoriyasuさんの姿が印象強く残っている。サーファーカルチャーとでも言うのだろうか。初めこそまるで外国にでも来たかのように感じていたが、老若男女分け隔てのない距離感の近さにはどこか懐かしささえ覚えた。

「私にサーフィンを教えてくれた人も、日々海と向き合っているとても心が大らかな方で。サーフィンを通じて、人とのつながりもそうですし、本当に数え切れないくらいたくさんのものを得ることができました。幸せ者です」。

コロナ禍の影響もあってか、最近はサーフィンを始める人が急増したという。

「道具は一式レンタルもできますし、興味をもってくださる仲間が増えることは嬉しいんです。でも気軽にチャレンジできるようになった反面、サーフィンの表面的な部分しか享受していないというか、マナーの悪い方も少なからずいて…それはすごく残念だなと思いますね」。

ちょうどそんな話の最中にも、サーフボードを階段にぶつけながら海へ向かうサーファーとすれ違った。実際、車からボードをそっとおろし、頭に乗せながら海へと向かうMoriyasuさんの所作を見れば、彼女がボードを心底大切にしていることは一目瞭然だった。

「サーフィンに限らず、ごく当たり前のことなんですけどね。自然や物への感謝の気持ちはこれからも大切にしたいですね」と、彼らの背中を見送りつつ言葉を添えた。

ここでサーファー仲間のみなさんとお別れして、今度はMoriyasuさんのアトリエ兼ボタニカルショップ「BIRDIE」へお邪魔することに。海岸から車を走らせること約15分。友人のサーフボード工房と共有しているというガレージが見えてきた。すっきりとした外観のイメージとは裏腹に、足を踏み入れてみると屋内はカラフルでどこかエキゾチック。

Moriyasuさんの自然体な雰囲気からは想像もつかないが、以前は都内でなかなかにワーカホリックな日々を送っていたという。

「でも忙しく過ごす中で、このままでいいのかな?ってふと考え直したんです。出産をして長女が小学校に入るタイミングで、両親もいる地元の街に戻ろうと決心して。ファッション業界って流行り廃りが目まぐるしく変わっていく世界でもあるので、私は産休を挟んで現場から離れたことがきっかけに、それからは自分に合ったペースとやり方で好きなものに向き合っていこうと、少しずつワークスタイルを変えていきました」。

引き続きファッションスタイリストとしてもゆるやかに活動しながら、Moriyasuさんが新たに歩み始めたのはボタ二カルデザイナーの道だった。

「小さい頃から植物やお花が大好きで、休養中に改めて魅力に惹かれたんです。ただ仕事として向き合うからにはちゃんと勉強したかったので、アルバイトとして花屋さんに数年勤めて学ばせてもらったりして」と、何事に対しても妥協しない、ストイックな姿勢が窺えるエピソードも。お話を聞きながら思わずこちらの背筋が伸びる。

「BIRDIE」で扱っているのはドライフラワーや観葉植物、ガーデン植物が中心。取材に伺ったこの日は、流木アーティストとのコラボ作品だというアレンジメントがいくつも天井から吊り下がっていて、思わず目を奪われた。ファッション業界での経験も生かし、近年では植物を絡めたスタイリングやアートワーク撮影なども手掛けているそうだ。

「お祝い花の定番であるコチョウランも、そのままの形だと部屋には飾りづらいけど、流木などに着生させて野生の蘭の状態に仕立ててあげるだけで、ずっときれいに飾っておけるんですよ」。

なるべくごみは出さず、限りある命を大切に。Moriyasuさんの根底にある想いがここにも脈打っていた。

今回着用いただいたicebreakerについても、ものづくりに対する姿勢には共感するものがあるという。

「自然素材にこだわっていてすてきですよね。すごく肌触りがいいし、ウールに包まれているやさしい感じが好きです。余計な力が抜けて、そのままごろごろしたくなっちゃうような。カラーバリエーションも全体的に大人っぽいので、どんなシーンにも合わせやすくて重宝します」。

最後に、Moriyasuさんが今後の展望を聞かせてくれた。

「今は『制作』ばかりですが、いずれは植物の『生産』についても学んで、携わっていきたいんです。恵まれた今のこの場所も、心惹かれる方向へ進んでいたら流れ着いたようなもので。これからも自分の感性を大切にして、好きなことを仕事に変えられる環境を探していきたいと思っています。海と植物さえあればどこへでも」。

手掛けているプロダクト

BIRDIE

スタイリストとしてファッションの最先端にて培った感性で植物をスタイリングする、Moriyasuさんのアトリエ兼ボタニカルショップ。植物を絡めたスタイリングや作品撮り、ショップのグリーンディスプレイ、ガーデンコーディネイト、ドライアレンジなど幅広く手掛けている。ショップではドライフラワーやガーデン植物を中心に、独自の視点でセレクトした観葉植物などを鉢とスタイリングした状態で販売している。

PROFILE

Moriyasu
ファッションスタイリスト、ボタニカルデザイナー。神奈川県藤沢市にて、2019年よりアトリエ兼ボタニカルショップ「BIRDIE」を運営。業界の最先端で培った感性を生かし、植物を絡めたファッション撮影やアートワーク、ガーデンコーディネート、ドライアレンジの制作・販売などを行っている。

RECOMMENDED PLACE

California General Store

ヴィンテージの服やデッドストックのサーフボードなどを取り扱っているサーフショップです。私が愛用しているボードにもこのお店で出会いました。アーティストも集まる場所になっていて、ここで知り合ったサーフィン仲間もたくさんいます。


TRUST ARCHER〜點心〜

地元の人でいつも賑わっている無国籍料理店です。奥様が昔からのスタイリスト仲間で、店内のドライフラワーのスタイリングなどを担当させていただきました。パクチーシュウマイやルーローハンなど、元気の出る美味しいメニューばかりです。


神奈川県藤沢市鵠沼桜が岡3-5-2

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