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        NEUTRALISM – 14

        NEUTRALISM
        Treehouseってご存じですか?
        行ってみて感じた、「自然と共生する事」へのメッセージ。
        皆さんこんにちは、ローズです。
        あけましておめでとうございます!2022年がはじまりましたね。この時期は自然と去年1年間を振り返りたくなるもの。皆さんは2021年をどの様に思い出しますか?多くの人にとって1番にうかぶのは、やっぱりコロナによる諸々な変化や影響ですよね。「予期出来なかった流れに精一杯対応しているうちに、アッという間に新年を迎えている」という人も多い事でしょうね。
        この時期のアメリカはThanksgivingを境にホリデイモード。お休みをとって家族と集まったり、プチ旅行へ出かけたりする事が多くなります。このように日々の忙しさから少し距離を置いて違う時間の過ごし方をする事で、去年1年間に起きた事、頑張った事、得たものや失ったものなど、少し第三者の様な目線で振り替えられたりも。シッカリと自分を評価してあげて、もっと良くなれる今年の自分になる為にも、私もこの時期のプチ・タイムオフを大切にしています。
        去年はご縁あって、友人のTreehouseビルダー・小林崇さんと一緒にワシントン州にあるTreehouseリゾート「Treehouse Point」に行く事が出来ました。行ってみたからこそ再認識できた自然と人間の在り方や日々の考え方など、色々と再認識できたこの旅を、是非みなさんとシェアしたいと思います。
        今回お邪魔したTreehouse Pointはアメリカ・ワシントン州のFall Cityという町にある、世界でも数少ない、実際にTreehouseに宿泊が出来るリゾートです。ここのオーナーのPete Nelsonさんは何とDiscoveryチャンネルでも御馴染みな番組、“Treehouse Masters”のPeteさん!実は小林さんとは長年の友人なのです。この御二方はTreehouseビルダーのパイオニアで、今でも次々と世界中のTreehouseを手掛けています。そんな人がオーナーのTreehouse Pointは流石の素晴らしさでした。
        久しぶりの再会を喜ぶ小林さん(写真奥)とPete(写真手前)。お話の話題と言えばもっぱらTreehouseについて。真剣だけど楽しそうに技術的な事やクリエイティブを話す2人は少年の様にキラキラしています。この居心地の良さそうな居間も実はTreehouseの中なのです!
        リゾートの敷地内には大きな木々が沢山の素晴らしい自然が。個々がユニークな7棟のTreehouseたちは、注意して見ていないと見過ごしてしまうほど。まるで自分はおとぎ話の中に迷い込んだのではないかと錯覚するほど素敵です。
        普通であれば、リゾートのオーナーが建設をビルダーに依頼し、設立後はオーナーが運営するわけですが、ここTreehouse PointはPeteさんが自身のチームで建設したTreehouseをPeteさんが運営しています。だからでしょうか、敷地内の建物や土地から感じ取られる温かさは格別で、Peteさんと彼のスタッフ皆さんの愛情が宿っている様でした。そもそもPeteさんはビジネスマンでも無ければ観光業界の方でもなく、生粋のTreehouseビルダー。Treehouseと自然を愛してやまない結果、自分のTreehouseリゾートを作ったわけです。Peteさんの愛情と遊びココロが沢山詰まったリゾート内には7棟のTreehouseがありますが、どれもユニークで何一つ統一されたものはありません。立地も設計も、素材も内装も、作り方から出来上がりまでが全て、作られるホストツリー(土台となる天然の木)や周りの環境を傷つけないよう馴染むように出来ているので、自然の様に2つとして同じものは無いのです。
        Treehouseの設計・デザインはホストツリーが決まってから始まるそう。各ホストツリーにはそれぞれの立地状況やフォルムがあり、Treehouseは常にそれら異なる条件を全て考慮・計算した上でたてられるのです。だから外観も内装も入り口も全てがユニーク!写真は1つのTreehouseまでの螺旋階段。
        こちらはDeckがあるTreehouse。このDeckも螺旋階段も、手すりやフェンスに至るまでに「自然のあるままに」なコンセプトを感じられます。この写真の手すりが、横にいる木を干渉しない様に内側に曲線をを描いている事に、お気づきになりました?
        もちろんホストツリーにも負担をかけないよう、Treehouseに使用されるボルトなどはPeteや小林さん達の様な木を愛するプロや樹木医さんが試行錯誤した特殊なもの。Treehouseが原因で木が弱ってしまっては本末転倒なので、木の健康に細心の注意を配っています。お陰でホストツリーはエネルギーいっぱい!写真の様に、ボルトが被さるほどに育っています。
        Peteのリゾートでは、Treehouse以外にも写真の様にトラックをTreehouseっぽく改造した、可愛い宿泊可能なものも!中は意外と広く、凄く可愛いスペースでした。立派なTreehouseでは無くても、アイディア次第で十分自然を身近に楽しめるのだな、、っとインスピレーションをもらった1部屋。
        少しお散歩するだけで、その自然の豊かさに驚く敷地内ですが、探してもなかなか発見できないほど景色にブレンドしているTreehouseは本当に美しかったです。Peteも小林さんも「森にどれだけブレンド出来ているか?」はTreehouseをクリエイトするにあたって重要だと御話してくれました。「自然が気持ちいから、人の宿谷を森に持ってきてしまう」のではなく、「自然の中で居られる場所を借りさせてもらう」イメージ。「自然のある環境」とは別で、あくまで、「自然の中に身をおいてみる」がコンセプトなのです。
        地上から見るTreehouse。完璧に自然の中にブレンドしていますよね?人が造った建造物でも、ここまでニュートラルになれるのです。自然と共生するも競争するも、私達の考え方次第なのですね。
        Treehouseは入り口にたどり着くまでもが神秘的な体験。人間も地球でくらす生命体の1つ。我々も自然の中で生きてきたという存在意識がDNAに刻まれている感覚を不思議と認識する様な感覚です。
        小林さんが宿泊したTreehouseの中はこんな感じ。木の上に居るとは思えないほどの居心地の良さ。自然な光が差し込むオープンな空間が気分まで落ち着かせてくれます。
        居間からバルコニーをみた景色。まるで鳥になった気分。朝起きて、鳥と森の音しかしないこの環境は最高に贅沢!
        その手付かずの自然には見た事も無いキノコも多数!敷地の端を流れる小川には無数の積み上げられた小石があり、その景色は物凄く幻想的でした。リゾートを訪問した人々が少しずつ増やしていったものが沢山ある光景も、同じく自然に感動した人々の足跡の様で、不思議な気分に浸れる場所でした。時間をかけて流れ着いた巨大な流木を見れば自然の驚異的なパワーに驚き、綺麗に色づく紅葉を見ると自然の繊細な温かさに触れる、、、本当に自然は素晴らしい。
        リゾートをお散歩すると、こんな光景も。この木に生えている異様な物体はキノコ!鮮やかな色合いと不思議なカタチは、別世界のものみたい。
        こちらもキノコ。一緒に写っている手との大きさ感、わかりますか?巨大でした!
        リゾート内にある川には無数の積み上げられた石が!宿泊した人達が少しづつ積み上げていったものらしいのですが、とっても神秘的な光景でした。
        リゾートのTreehouseには電気・水道・暖房・トイレなどの必要最低限の設備は備わっていますが、wifiは届きにくく、日が落ちれば外は真っ暗、キャンプやグランピングに近い環境です。いつもならアクティブな時間帯にお部屋で就寝モードになるので、初めは少し戸惑うほどでしたが驚くほどグッスリ眠れました。周りが見えなくなってTreehouseで1人、テレビや携帯で何かを見る事も無い時間に聞こえるのは自然の音だけ。風が吹いて揺れる葉の音や雨の音。実は、睡眠の研究者の間で“ホワイトノイズ”と呼ばれるこの音は人間の副交感神経を優位にする事が分かっています。快眠アプリやMeditationアプリでもよく使われる自然の音は、やはり私達人間が潜在的に“心地良い”と感じるものなのでしょう。
        リゾート敷地内を流れる川。自然の音だけに耳を傾ける感覚を是非みなさんにも!きっとMeditationをしたような気持ちになれるでしょう。人間の「感覚」って不思議です。
        そうだと分かっても、なかなか都会では全ての音を消しても本当の自然の音を聞き取る事は出来ませんよね?自然が大好きな私でも、今回Treehouseで夜を過ごして久しぶりに再認識する事が出来ました。私のキッカケはTreehouseでしたが、この経験はキャンプでも、人の居ない海でも、雪山でも出来るはず。というのも、私は人の居ない海でサーフィン中に波待ちをしている時に、似たような感覚を味わっていると感じます。目的があった上で自然へ足を運ぶ事が多い私達ですが、その環境で何もせずただジッと自然の音を聞くという、一種のMeditationともいえる時間を皆さんにも試していただきたいと思いました。
        いつもは便利な世界で暮らす私達は、一時のエスケイプを求めて自然に足を運びます。コンクリートで埋め尽くされていない景色、自然の香りや色合い、ゆっくり流れる時間に癒されたいと思う方は多いですよね?数日間のエスケイプでは温かいお風呂が無かったり、そこら中に電気は無いし電波が悪くても、そんな環境を“癒し”と思える私達。でも、そういった環境が毎日では“不便”と感じはじめる事でしょう。不便な環境で過ごす時間が多かった私達の祖先たちは、人が自然災害から身を守り安心して暮らせるよう、知恵を絞りテクノロジーを進化させながら私達の生活をより安全で便利に、そして効率が良いものに進化させてきました。でもその中で暮らす私達は、いつからか進化の矛先を“利便性重視”にシフトしてしまい、どんどん効率化を求める様に。人間が自然の中で生きてきた元々のカタチを忘れ、現状が当たり前であるという前提で「もっと、もっと」とより多くを欲しがっている気がします。
        小林さんがTreehouseに魅了されたわけを話してくれた時、「Treehouseは自分が自然の一番近くに行けるツール」だと仰っていました。Treehouseそのものよりも、Treehouseを通して自然に、原点、真っ新な自分に戻れるキッカケとなる場所。別の人にとってそれは海でのダイビングかも知れないし空かも知れない。人それぞれのキッカケがあると私は思いますが、大切なのは日々の当たり前は実は当たり前では無いという事に気づく事。少しだけでも自然の中に身をおいて自然に耳を傾けてみると、常に外に向けがちな自分の意識を内に向ける事が出来て、自分の本質的な感覚を再認識できるはず。
        今回ご一緒させていただいた小林崇さん。世界を股にかけ活躍しながら日本のTreehouseカルチャーを引っ張るカリスマTreehouseビルダーです。2015年に、日本で毎年開催されるGreenroom Festivalで共通の知り合いを通じて親しくなり、その後は小林さんが何かのプロジェクトの為LAにくる度に色々とお話を聞かせていただいてきました。毎回、衝撃的なインスピレーションを下さる素晴らしい方なのです。
        PeteのリゾートにあるTreehouseの1つ、写真に写っているこの壁のデザインは、実はもともと小林さんが以前クリエイトしたTreehouseを真似したもの。独創的でアーティスティックな小林さんのデザインは他のビルダーにとってもインスピレーションなのですね。
        人は身の回りの問題や課題を解決するために頭を絞りテクノロジーを使ってきたはずが、知らず知らずのうちに問題の解決ではなく、問題を無視できるテクノロジーへと方向転換してきてしまったのかもしれません。「これが駄目なら次はこれ」といった対処法は後でツケが回ってくる。なぜ駄目だったのか?なぜその問題が存在するのか?私達は物事のルーツ・原点に目を向けるべき時代に入ってきている気がしています。
        人間は自然の中に存在し、自然に生かされている。これが私達の原点ではないでしょうか。それを忘れず自然に感謝し、その中での生活を便利なものにしてくれた祖先に感謝をすれば、当たり前だと思ってきた電機やお水、物や全てをより一層ありがたいと感じ、大切に使うはず。陰と陽の様に両方のバランスがとれている状態がニュートラル。どちらかだけでは無く両面を感謝し大切に思う精神がきっと私達の未来をより良いものにする!
        去年は日々の当たり前にどれだけ感謝できましたか?コロナで辛い思いを沢山してきた1年間にも、多くの何気ない幸せがあったはず。今回私はTreehouseをキッカケに、そんな幸せの再認識ができました。今年は一層、当たり前に感謝して過ごそう!と思うのです。是非みなさんもハッピーな1年に向けて、自然を感じられるプチトリップへ出かけられると良いですね!キャンプでも、バーベキューでも、スキーでも。何でも出来る事をする中で少し意識を向けるだけでも違うはず。
        日本でも是非Treehouseを体験してみて下さい!写真は京丹後にある小林さんの作品。誰でも見に行けるとの事なので、機会があれば是非!
        こちらも小林さんのTreehouse。伊豆の稲取にあるので関東圏の方は是非!こちらは私もいった事があるのですが、実際にTreehouseを登って中に入った時の感動は今でも覚えています。本当に素敵なのでお勧めです!
        自然でのアクティビティが思いつかない方は、日本にある小林さんのTreehouseを見てみるのもオススメ!日本では現状Treehouseでの宿泊が出来ませんが中に入れるので、「自然にお邪魔している」不思議な感覚は少なからず体験できるはず!本当に素晴らしいので是非お試しくださいね!