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TRAINING

“Back to back” on a daily basis

日々のトレーニングから“B2B”を取り入れていく

“Back to back= 立て続けに” 強くなるために欠かせない理由とは? 社会人になってから走り始めたと言う土井さん。

30歳のときに「フルマラソンのトレーニングの一環として」出場したトレイルレースで初出場・初優勝を果たしてトレイルランに傾倒、その後は100マイルのトレイルレースを主戦場に活躍している。

国際舞台ではウルトラトレイルの世界最高峰である 〈UTMB〉で11位に、また2022年の4月に行われた国内最大の100マイルレース〈UTMF〉では見事準優勝に。日本を代表する100マイルレーサーだ。

「このトレーニングをしたから強くなったかどうかまでは分かりませんが、ウルトラトレイルで高みを目指すにあたり、ルーティンとして大切にしているメニューがあります」

そのメニューとは「バック・トゥ・バック」。「立て続けに」という意であり、各単語の頭文字を取ってB2B(ビートゥービー)と呼ばれることも。

ORDINARYと呼ばれる小さなB2Bは、ロードランニングを軸に。ペース走のタイムは、フルマラソンのターゲットタイム2時間半のペースに準ずる。BIG DAYと呼ばれる大きなB2Bは、ターゲットとなるトレイルレースの試走も考慮したコースと距離を踏まえて設定すると良い。

2つのバック・トゥ・バック。
脳と身体に「強度」を叩き込む
土井さん流のバック・トゥ・バックは、独自に考案して意識している小さなバック・トゥ・バックと、レース前のトレーニングボリュームの大きな時期に行う実践的なバック・トゥ・バックの2つ。

「初日に強度の高いトレーニングを行い、ある程度脚が疲労した状態の翌日にもさらに距離を踏むのがバック・トゥ・バックです。脳と身体に“これが普通のことやねんで”と叩き込むのが狙い。追い込み期間はもちろんですが、日頃のトレーニングのなかにもルーティンとして組み込んでいます」

一例が、強度の高いポイントトレーニングとして行うペース走と、その翌日にセットで行ういつもの20kmジョグだ。

「初日には舗装路で15〜20km、フルマラソンのターゲットタイムに準ずるペースで走ります。決して楽ではない、脚がしんどくなる負荷ですが、翌日も休まず、いつも通りのジョグをするんです。疲れた状態でも2時間くらいはきちんと動き続けるように。

100マイルレースでは、中盤以降、必ず脚がキツくなる局面が訪れます。その状態でも動き続けられるんやという意識づけをしたいんです」

レース後半に自分を後押ししてくれる
欠かせないトレーニング
レースが近づいてきたら、トレイルランでのバック・トゥ・バックも行う。

「これはより一般的なバック・トゥ・バックですね。なるべくレース本番に近い特徴のコースで、8時間前後のロングトレイルを2日間連続で。メインレースの数週間前には必ず実施しています。当然ながら2日目は脚がズンと重いのですが、中程度の負荷でもいいので、しっかりと動き続けることが大事です。

1日目にできるだけ脚を疲弊させ、2日目に関しては質より量を重視。思うよう走れなくても、その状態で長い時間動き続けるのがポイントで、目安として6〜10時間くらいでしょうか」

本番を見据え、脳と身体に染み込ませるのだ。

脚がキツくても、しっかりと前へ。

そのことを想定内の、いつもの当たり前にしてしまうバック・トゥ・バックが、レース後半でも力強い土井さんの走りを後押ししている。

WRITER PROFILE

土井 陵
Takashi Doi

1981年8月14日生まれ。30歳からトレイルランニングを始め、100マイルカテゴリーを主戦場に2015年の〈UTMB〉で総合11位に輝く。2021年 〈Lake Biwa 100〉、〈Tamba100〉優勝。2022年 〈UTMF〉 準優勝。現役の消防士。