1. Instagram
  2. Twitter
  3. Facebook
  4. YouTube

CONDITIONINGFOOD

Weight loss & Recovery Food

宇野薫が実践する減量〜試合後のリカバリーについて語る

“食べた物から体ができている”という当たり前とずっと向き合ってきた 1996年10月にプロデビューし、今年で現役生活は26年目。総合格闘家の宇野薫さんは、47歳にしてなお戦い続けているアスリートだ。そして、宇野さんにとってランニングは、コンディション維持と体重のコントロールのために不可欠なものであり、生活の一部になっている。

「日々のトレーニングの中にランニングを取り入れたのは、佐藤ルミナさんとの2回目の試合の前からなので、2000年ということになりますね。当時のトレーナーの方に走ることはスポーツの基本で、走れなければ格闘技はできないと言われたのがきっかけで、現在は、週に3〜4回、一度に40〜60分ほど走っています。ランニングはコンディションの維持や確認に欠かせないですし、走れるうちはまだ現役でいられるんじゃないかとも思っています」

総合格闘技は体重によって階級が分けられているため、減量が必要になる。ベストな状態で試合に臨むためにはトレーニングと同じように、食事が重要だ。

「今は普段の体重が71〜72kgほど。フェザー級のリミットは65.8kgなので6〜7kgの減量になります。同じ階級で75kg以上から落とす選手もいますが、僕は昔から幅の大きな減量が好きではなくて。普段からランニングでのカロリー消費と、栄養バランスの良い食生活を心がけて体重が大きく変動しないようにしています。咀嚼して食べること、食事から栄養摂取することが大事だと思っていて、プロテインやサプリメントも活用しますが頼り過ぎないようにしています。ビタミンやミネラルも野菜や果物から摂ると体の感覚が良い気がするんです」

前日の計量時から約5kgの体重を戻して試合に挑む 本格的に減量をスタートするのは試合の1か月前から。これはプロになって以来変わらない、宇野さんの中の決まりごと。

「食べたら負けるぞと自分に言い聞かせて、1か月前から減量を始めるようにしています。減量用に特別な食事をするわけではないですが、タンパク質の摂取をいつもよりも多めにしつつ、白米は茶碗半分程度に減らします。僕はパンが好きなんですけど、試合が終わるまではおあずけ。揚げ物も食べないようにします。体を動かすのに最低限の糖質は必要なので、足りないなと感じたらトレーニング前に少し摂るようにしています。体内の水分を一時的に抜く水抜きと呼ばれる減量方法があるのですが、脱水症状などのリスクもありますし、体質的に向いていない感覚もあるので、水抜きで大きく体重を減らすことはしていません」

通常体重を増やし過ぎず、1か月かけてじっくりと体重を落とす。そして試合前日の計量を無事にクリアしたら、試合に向けてのリカバリーが始まる。

「計量の前は1日〜1日半ぐらい、ほとんど食事をしていないことが多いので、いきなり食べて内臓に負担をかけることがないよう、水分から摂取します。冷たいものも刺激が強い気がするので、まずは温めたスポーツドリンクから。続けて経口補水液と妻が作ってくれる手製のオレンジジュースと、市販のエネルギードリンクを飲みます。それらを少しずつ飲んで落ち着いたところでお粥を食べて、その後に固形物を摂るという流れですね」

総合格闘技の試合は夕方から夜にかけて行われることが多い。試合当日は、朝食、昼食を食べてから会場入りし、会場入り後は水分と補食を摂りながら体を動かして、試合への準備を整えていく。

「会場に入ってからは、母が試合の日にもうかれこれ20年ほど作り続けてくれているおにぎりや、チョコレートを少し食べて、あとはスポーツドリンクを飲む程度で、少し空腹なぐらいで試合を迎えるようにしています。前日の計量時と比べると5kgぐらい体重が戻っている感じです」

撮影:SHINSUKE KOJIMA
撮影:SHINSUKE KOJIMA
愛犬とのUNO RUN
ヘッドトレーナーを務めるUNO DOJOでのトレーニング

自分をよく知ることがコンディショニングにおいてとても重要なこと。 自分をよく知ることがコンディショニングにおいてとても重要なこと。
試合後は、パンが解禁になる。そして減量期間中に気になってスマートフォンにメモをしておいた食べ物や飲食店をチェックするそうだ。しかし、少なくとも試合から2週間はアルコールを摂取しない。

「もともとお酒をそんなに飲まないというのもあるのですが、試合でのダメージが体から完全に抜けるまではアルコールを摂らないようにしています。祝勝会などをして飲みたい気持ちも分かりますが、減量で体に負担をかけていることもありますし、体のことを長い目で考えると避けたほうが良いだろうなと思っています」

減量中だけでなく、プレッシャーから解放された試合直後も、そして日常的にも暴飲暴食を避け、栄養バランスのとれた食生活を心がけてきた宇野選手。だからこそ、25年以上も現役生活を続けていられるのかもしれない。

「若い頃から“どうせあいつは練習しているから”と、お酒の席に誘われなかったのも良かったのかもしれないですね(笑)。食べ過ぎや飲み過ぎは内臓に負担をかけますし、暴飲暴食をした翌日のパフォーマンスはどうしても落ちてしまいますから。食べた物から体ができているというのは間違いないですし、何を食べるかで体は変わりますよね。もちろん、同じ食べ物でも合う合わないには個人差があると思うので、自分の体を知ることが何より大切なのかなと。僕もまだまだ食事に関しては自分に合うものを模索していきたいと思っています。頑固で変えられないところもあるんですが(笑)」

WRITER PROFILE

宇野 薫
CAOL UNO

1975年、神奈川県生まれ。総合格闘家。元修斗世界ライト級王者。UNO DOJOヘッドトレーナー。ONEHUNDRED ATHLETICディレクター。POLARIS、QUINTETといったグラップリングや、柔術の大会にも参戦。コンディショニング、体重管理のためにランニングを20年以上続けている。1996年10月のプロデビュー以来、総合格闘技では60試合以上戦ってきたパイオニア。