northface

For a positive,
neutral and
sustainable future

SUMMARY

世界経済フォーラムの調査によると、1981年以降に生まれた「ミレニアル世代」の約50%が世界規模の問題の中で
「気候変動」が最も深刻だと考えており、それよりも若く、1990年後半に生まれた「Z世代」では、
約90%近くが社会問題や環境問題に関心を寄せているという。

「FridaysForFuture(未来のための金曜日)」のようなSNSを活用したムーブメント、あるいは、
透明性と社会的責任を意識した消費など、彼、彼女らはさまざまな方法で環境への意識を表明するが、
そのいずれにおいても重要なキーワードは共感、あるいはコミュニティなのかもしれない。

森林を再生するために世界中のコミュニティを動員する『weMORI』の創業者である清水イアンと、
社会問題をニュートラルな視点で切り出す『NEUT MAGAZINE』編集長の平山潤は、
それぞれが人と人との関わり合いから未来を模索している。
その2人が思う未来の行く末や、それを叶えるために重要なことはどのようなものなのだろうか。

PROFILES

  • Ian Shimizu

    Ian Shimizu

    1992年生まれ。東京を拠点に活動する環境アクティビスト・コンサルタント。大学在学中、米国生まれの世界的な気候変動非営利団体『350.org』の日本支部の設立を支援。2018年に同団体を退社以来、日本全国各地にて、持続可能性と気候変動についての教育・講演活動に従事。J-WAVEラジオ出演他、環境について共に考えていく社会を目指すコミュニティ『Spiral Club』を創設。2019年11月より、アレキサンダー・ヤーレ・シガーズ氏とweMORIを共同設立。
    https://ja.wemori.org/

  • Ian Shimizu

    Jun Hirayama

    1992年神奈川県生まれ。NEUT Magazine編集長。アメリカ留学中に日米の若者の「社会への関心の差」に気づかされる。大学卒業後、社会派ウェブマガジン、『Be inspired!』の編集部員となり、2016年、同誌編集長に就任。2018年より『NEUT Magazine』(ニュートマガジン)として同誌をリニューアル。「Make Extreme Neutral」をコンセプトに掲げ、<エクストリーム>だと思われるようなトピック・人を「先入観に縛られない<ニュートラル>な視点」で届けるウェブメディアとして連載中。
    http://neutmagazine.com/

CHAPTER 1

Feel the
positive vibes

お二人が初めて会った時の印象は覚えていますか?

Jun Hirayama (JH): 初めて会ったのは2016年。その時は『NEUT Magazine』を始める前で、『Be inspired!』というメディアの副編集長をやっていました。イアンは『350.org』という環境団体の立ち上げに関わっていて、何か一緒に出来ないかというディスカッションも兼ねて、取材という形で会ったのが最初ですね。当時では同い年の若い人がNGOを運営しているというのはとても珍しかった。

Ian Shimizu (IS): 『350.org』を始めてまだ半年も経たないくらいの時で、その取材が自分のメディアデビューだったはず。『Be inspired!』は何かにチャレンジしている若い人が多く出ていて、フィルムで撮影した写真を掲載していたり、自分の関心のあるテーマを全く違う見せ方を用いて発信しているのが印象的でした。社会問題をポジティブに伝えるメディアが登場したことや、日本でも若い人たちがそういった問題に興味を持っているんだとすごく納得しました。

JH: 当時、自分の中でメディアとして物事の新しい側面やユニークな人たち、あるいは少し違う未来を読者に届けたいという思いを抱いていて、その中でイアンの取り組んでいた『350.org』には新しさがあって、今までとは違うNGOのスタイルだという印象で、ポジティブなバイブスを感じていました。

『Be inspired!』に初めて掲載された清水さんの記事

CHAPTER 2

To make people
aware of the world’s problems

それぞれ、社会性が高いテーマを扱っていますが、
取り組むきっかけはどのようなものだったのでしょうか?

JH: 小さい頃から、社会問題はネガティブに語られるイメージがあったけれど、アメリカに1年留学した時に、現地では環境活動も含めて、誰もがとてもフラットかつパーソナルな目線で考えている光景を目の当たりにした。この体験から、日本でも若い人も含めて、社会問題や環境問題に向き合い、根付かせることが重要だと思うようになりました。イアンと出会ったのは、自分がその延長線上でNGOのイメージを変えたいと考えている時だったかな。

IS: 僕は大学生の頃に環境問題に取り組むと決めていたけど、その時に自分が巡り合った選択肢の中で一番面白そうだったのが『350.org』の立ち上げだった。それ以前に自分が参加したいくつかのNGOでは、知識がなければ参加しづらく、居心地が悪いと感じたことも。だから、『350.org』では「もっと多くの人が関わりやすいようにとにかくハードルを下げること」をテーマに動いていました。

JH: 立ち上げからそういったNGOのイメージを変えようと中で働きかけていたんだよね。

IS: ゼロから作っていけるのはすごく魅力的でした。それに、自分は1mmでも自分の純度を削るのが嫌で嫌でしょうがなく、絶対に就活はしないって決めていて。それに、自分が今のNGOの在り方に違和感を覚えているのなら、同じように感じている同世代や仲間がきっといるだろうと思って、その考えを基準に自分が納得いく形でやってみたら、若い人がたくさんついてきてくれて、規模が広がっていったっていう感じでした。

「2020年を本棚に」を合言葉に初めて出版された『NEUT Magazine ISSUE 2020』。コロナ禍での孤独やメンタルヘルスと向き合い、初めて読者と共に制作した「MATTER OF CORONA(コロナに関すること)」やBlack Lives Matter特集など、2020年を象徴するアーカイブ記事や、雑誌限定の特集が収録されている。

CHAPTER 3

Community to
create action

より多くの人がアクションを起こすきっかけ作りがお二人の活動の共通点として
あると思いますが、コミュニティに関してはどのように考えていますか?

IS: 実は2人目と3人目が一番大事なんじゃないかと思います。1人目がまず最初に踊り出して、そこに2人目が参加して同じ踊りを始めることによって周りがノッてきて、3、4人目と続くことで、はじめて人が増えていくみたいな。場合によっては1人が踊り始めても、最後まで1人で終わってしまうこともある。

JH: 僕は1人だと何事も続きにくいんじゃないかっていう考えを持っています。だから仲間がいるんだっていうことをちゃんとメディアを通して見せていきたい。例えばサステナブルというものを考える時に、まずそこに仲間がいるっていうことが一番最初のサステナブルだと考えていて、その活動が続いていかない限り、それは持続可能なものにはなり得ないでしょう。

IS: その通りだと思う。環境問題に関して言えば、やっぱりたくさんの人が参加することが大事で、どうやったら今関わっていない人たちをアクティベートできるかを常に考えています。環境にすごく関心がある人以外にも、デザインが好きな人、歌が好きな人など、いろいろな人が社会にいて、そういった人たちに少しでも振り向いてもらうために、様々な手法を取り入れて、楽しく、違うエネルギーを発しつつやっていくことが必要だと思います。

JH: それがポジティブな伝え方とクリエイティブなアウトプットだよね。「知って考えて行動する」という個人のフローの中で、一番最初の「知らせること」がメディアの機能だと思うけど、行動するところまでメディアがどう立ち回れるかというところは僕も悶々としながら考えています。ただ、今のZ世代のような若い人たちは最初から社会問題に関心がある人が多かったり、プラスチックストローを使わないだとか、そもそも環境問題によってもたらされた変化が前提にある世の中に生きている。だからこそ、知ったあとはちゃんと考えて、仲間を作って行動していくっていうことが大事だと感じています。メディアとして今やっている事はずっと続けていきながらも、それを伝えるだけじゃなく、アクションに落とし込めるプロジェクトを新しくやっていくってことがこれからのメディアの価値になっていくんじゃないかな。

IS: 今取り組んでいるweMORIでは、アイデンティティの部分でもっと若い人が共感しやすいようなブランドデザインを前提として、そこから誰もが参加しやすい形で「知ってる」から「アクションする」までのフローを構築しています。行動のハードルをできる限り下げて、習慣化できるようなトライアルチャレンジを僕たちの方で実践して、繰り返してアプリの方を磨いていくみたいな活動になっていますね。

清水さんが立ち上げた森林再生アプリ、『weMORI』。「簡単なアクション」と「コラボレーション」を通じて、世界中のコミュニティを動員し、環境の2大危機である「気候変動」と「生物多様性の減少」に対して、即効性があり大きな効果を持つ森林の保護・再生を進めている。

CHAPTER 4

The Nature positive
future where we
can affirm ourselves
without negating
other people

最後に、自分が住む未来はどうなっていて欲しいと思いますか?

IS: 全員が最終的に「ネイチャーポジティブ」になればいいのかなと思っています。多分、僕も含めてみんなが自然を生産するよりも消費してる割合が圧倒的に多い「ネイチャーネガティブ」な状況にいるはずだけど、今後、個人が「ネイチャーポジティブ」になるようなシステムや、社会的規範に基づいた環境活動を行うことが当たり前になっていったとしたら、多分環境問題ってなくなるんじゃないかと思っていて。自分が生涯を通して消費した木よりも、死んだときにはたくさんの苗を植えました、みたいな状況は今後必要なんじゃないかなと思う。じゃないと本当に、今はまだ大丈夫だったとしても、いつか本当に手遅れになってしまう。そのいつかは今の積み重ねでしかないから、今のうちからできる限りみんながネイチャーポジティブを目指していくことが必要だと信じてる。

JH: 僕は、他人を否定せずに自分を肯定することができるっていう認識がみんなに根付く社会になればいいなって思う。このシンプルな感覚をみんなが持っていれば、何者も排除されることはないだろうし、自分のこともちゃんと大事にできるっていうか。そういった感覚を『NEUT Magazine』では広めているつもり。自分をまず肯定するところから始めないと、何かを言われても否定してしまうというか。でも、人それぞれ環境も状況も教育も違ったりするから、まずはみんながそう考えられるような土壌を作っていくことが大事だと思っています。