太郎次郎社エディタス

共生の社会学

岡本智周・丹治恭子(編著)

“「共生」とは、「あるもの」と「異なるもの」の
関係性を対象化し、両者を隔てる社会的カテゴリ
(社会現象を整序する枠組み)それ自体を、
いまあるものとは別なるものへと
組み直す現象である。”P12
“「共生」とは、「あるもの」と「異なるもの」の
関係性を対象化し、両者を隔てる社会的カテゴリ
(社会現象を整序する枠組み)それ自体を、
いまあるものとは別なるものへと
組み直す現象である。”P12

例えば、僕はこの原稿を那覇で書いているのですが、この本の3章「沖縄におけるネイションの位相と米軍基地」を読んで、普天間基地を巡る一連の問題や日本と沖縄の関係性において主に3つのグループによる主義主張があることを知り、また沖縄の多くの人が「まなざしの二重性」を自認していることを理解しました。
岡本智周、丹治恭子含め7人の執筆者によるこの本は、社会学的知見から「共生」について考えるための1冊。
20世紀終わりに社会運動の言葉として現れた「共生」という理念。それを、「ナショナリズム」、「ケア」、「世代」、「社会意識」という4つの論題によって説きながら、「男性/女性」や「健常/障害」、「日本人/外国人」といった既存の認識を変え、社会的カテゴリーを刷新し続けることがこの本の目的地です。
そして、ソーシャルメディアを浮遊するあらかじめセグメントされた情報とは違い、一つ一つの問題に対してデータや文献を駆使しながら公平な目線を保とうとしている本書は、自身の意見を作る道具としても相応しいと思います。個々が自身の考えを磨いていかなくてはいけない時代がやってきています。