里山や田畑、史跡を巡り、
街から街へとトレイルはつづく。
歩いて感じるのは、
自然と人の暮らしの距離の近さだ。
人の営みがある景色、誰かが暮らす場所。
地図上の“線”でしかなかったトレイルは、
歩みを進めるうちに鮮やかさを増していく。
長距離自然歩道とは、
日本を知るための道だ。
ぐるりと7つの県をまたぐ九州自然歩道。
その整備が始まったのは1970年代。
火山地帯ならではの雄大な景観、
棚田や集落が広がる里山の風景、
石畳の参詣道や古い街道の痕跡。
自然と人びとの暮らしに出会うことのできる道であり、
日本の歴史とともに続いてきたのだろう。
九州でも有数の温泉地帯・雲仙へ。
旅人の疲れを癒してくれる温泉は、
その土地の景観をつくり、
歴史や文化にも影響を与えている。
ご当地名物の「湯せんぺい」
「雲仙レモネード」を手に、
「小地獄温泉館」でここまでの旅を振り返る。
旅の道中そのものを楽しむこと。
目的地を目指すことだけがハイキングではない。
歩くことで旅となり、
自分のなかに新しい地図が刻まれていく。
山道を下ると神社や小さな集落が現れ、
畑で作業する人に挨拶を交わすこともある。
歩いているうちに自分の日常は少しずつ遠のき、
誰かの日常に入り込んでしまったような気持ちになる。
歩く速度も心のリズムもゆるやかになっていく。
それなのに、書き留めておかないと
忘れてしまいそうなほど、
トレイルでの出来事は目まぐるしく起こる。
九州自然歩道を歩くこと。
それは、この土地の自然を文化を知ってほしいと願った
先人たちの想いを受け継ぐことなのかもしれない。
Men’s
Women’s