『重要』ゴールデンウィーク期間中の出荷に関して
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        WORKING FISHERMAN Vol.06

        鳥取県漁業協同組合眞田 美幸

        実際に海女さんになってみて、海に潜って獲物を探して獲る、という一連の流れが予想以上に楽しくて、自分に合っていると感じました。もともと興味があったのは漁師だったので、海女さんの研修をしながらいろんな漁師さんの話を聞いていたら、女の人でもできるような漁の方法もあると教えてもらって。これからはそういうものにも積極的に挑戦していきたいと思っています。そういう情報って、今でもネットには出ていないんですよ。身近な知識や実際に参考にできる情報は、知っている人から聞くしかないんです。

        海女さんになる前、漁協の人には『3K(危険、汚い、稼げない)だからやめたほうがいい』と言われて、私はなんの根拠もなく『大丈夫』と答えたんですが、研修をして一年間の流れを知ると、想像していた以上に生活が大変で、何かしらプラスアルファをしないとやっていけないということを痛感しました。それで去年から加工品の絞りワカメも作りはじめたのですが、これからはそういった加工品も量産できるようになったら、収入面でも助かるし、もっと仕事が楽しくなると思っています。伝統的な職業としての海女さんはすごく高齢化が進んでいてベテランの方々があまりいないので、自分たちで考えて可能性を見出していくしかないんです。

        女ということもあり、新しいことをしようとすると基本、無理だと言われますが、それにめげずに裏で勝手に道具を準備して、自分からできる状態に持っていく。そうしているうちに、みんな協力してくれるようになるので、周りの人にはこまめに声をかけるようにしているんです。ここの漁師さんはみんな優しいので、本当に助かっていますね。

        海女さんに必要なのは、獲物を見つけられるかどうかのセンスと技術。漁場の違いもあるかもしれませんが、個人の技術の差が大きいんです。はじめたばかりの私はまだまだで、もっと腕を上げていかなくてはいけません。特にアワビは決まったところにいるのですが見つけられている量が少ないので、もっとたくさん獲れるようになりたいです。海女さん同士の暗黙の了解というのもあって、なるべく近場で獲らないとか、一つの島があったらお互い左右に分かれるとか、そういうものも徐々に理解できるようになってきましたね。

        海女さんという職業を絶やさないために、これから海女さんになりたいという人が欲しいとは思いつつ、やっている自分たちが生活できないレベルなので、簡単に人を誘うようなことはできないですね。それに自分たちが獲れる量が少ないのに、さらに獲る人が増えても・・・という気持ちも正直あります。でも自分自身がしっかり稼げるような状態になったら、なりたいと思う人も増えると思っているので、それを目指して頑張りたいですね。海女さんビジネスとかできたらいいんですけど(笑)。

        お金が稼げなくても、海の中で平衡感覚がなくなるような経験をしても、風邪をひいて鼻水を垂らしながら海に入ることがあっても、海女さんという仕事を嫌になったことはまだ一度もありません。私はまだ今年独立したばかりですが、船はもう買ったので、これからしっかり仕事に馴染んで基盤を作っていきたいです。そして、早く海女業で生活できるようになりたいですね。その上で、しっかり稼げたらさらに嬉しい。私がそこまでいけば、第二、第三の海女さんが増えると思うんです。鳥取は共働きしている人がほとんどなので、女性も稼いでいかないといけない。私は出産して1、2年は休んだとしても、確実に仕事に戻りますし、おばあちゃんになるまでは海女さんを続けていきたいと思っています。

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