コロラド州ボルダー

モーリーン・ベックは、クライミングは片手でエリートレベルに登れる程簡単なものではないと話している。彼女はクライミングをパズルに例え、体の大きさや細さなどによってパズルのピースのはめ方が異なると言う。彼女は自分が登るルートは自身で開拓するため、過去様々なクライマーが培ってきたデータは使わない。コロラド州ボルダーキャニオンの5.12のルートの時には1日の8回ものトライを重ね、6ヶ月以上の時間を要するなど数多くの失敗を重ねて登頂している。
課題成功の策はわずか2インチ幅のクラックに彼女が“ストンプ”と呼んでいるジャミングをして、次のホールドをキャッチするために体を大きくスイングすることだった。
5回のナショナルチャンピオン、2回のワールドチャンピオンに輝く彼女のドキュメンタリー“Stomped”のエンディングに相応しいものだった。
メーン・コーストで育ち、モーリーンの両親は一度も“身体障害者”という言葉を使わず、そのためモーリンは幼少期から活発に外で遊び、12歳の時にガールスカウトを通じてクライミングと出会う。
それからすぐにクライミングの本や雑誌を買い集め、ベビーシッターで貯めたお金でガイドを雇い基本的なスキルを学んだ。彼女は学んだことを活かしながらも試行錯誤を繰り返し、時には痛みを伴いながらも片手で登る方法をゆっくりと見出していった。
2012年、コロラドに移る前にニューイングランドの険しい岩山にも登頂した。彼女は友人のクライマーと交流するために他のクライマーに混ざって地元のクライミングの大会にも参加した。
史上初となるパラクライミングコンテストが2014年にアトランタで開催されチームUSAに選出、その後にスペインで開催されたパラクライミングワールドカップにて優勝を果たす。
USACパラクライミング委員会の議長を務める32歳のモーリーンは、非営利のパラドックス・スポーツを通じて、パラクライミングの認知と理解を広め、全国でハンデを持つクライマーたちに適したトレーニング施設を展開している。