はじめてのテント泊登山
 楽しみ方とおすすめウェア

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日帰り登山、山小屋泊まりと山に登り続けていくと、チャレンジしたくなるのがテント泊登山。衣食住すべてを背負って山を自由に歩く。そんなテント泊登山のノウハウとおすすめの製品を当日の行程に沿ってご紹介します。

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すべてを背負って歩くテント泊。
それは、登山の自由度と密度を一気に深める体験。
装備をすべて背負って登頂する達成感。
山上で好きなように過ごし、好きな物を食べる自由さ。
隣り合わせの自然を肌で感じる濃密な時間。
登山のおもしろみがまた一歩深まるのが、テント泊登山です。
テント場の予約が必要な場合も
いまではテント泊も予約が必要な場合もあります。登山を計画するときに、テント場を管理する山小屋のWEBサイトなどを確認しましょう。料金やテント場の環境も合わせて確認しておくと、準備をしっかりと整えられます。登山届も忘れずに提出しましょう。
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稜線でのはじめてのテント泊は、ロープウェイ利用が安心
テント、スリーピングバッグ(寝袋)、調理器具と食糧、着替えや防寒着。1泊2日のテント泊装備をパッキングしたバックパックは、10~15kgほどになります。

そんな重いバックパックを背負っての行動に慣れるためにも、稜線でのはじめてのテント泊はロープウェイのある山域がおすすめ。行動時間を短くすることができて体への負担を和らげられるだけではなく、テント泊の醍醐味といえる稜線のロケーションを堪能できるからです。

【はじめてのテント泊で安心の環境】
•登山口から距離が近く、アプローチが容易
•水場やトイレなどの設備が整っている
•周囲に山小屋や管理者が常駐している
•標高や天候の変化が比較的穏やか
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まずは高所に体を馴染ませよう
出発前に忘れてはいけないのが、準備運動。ロープウェイで急激に高度を上げると高山病になりやすくなります。山の高所環境にゆっくりと体を慣らすように、体をほぐしましょう。
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紫外線対策は欠かさずに
山の上では紫外線が強くなります。標高が1,000メートル上がるごとに、紫外線量は約10%増加するといわれています。帽子やサングラス、長袖のウェアなどを身に付けて対策し、日焼け止めなどを塗って肌をケアするのが欠かせません。
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出発前に意識したい、大事な心構え
テントの設営や食事の準備などを考えると15時までにはテント場に到着したいところ。ただし、急いではいけません。標高が高いと酸素が薄くなるため、高山病のリスクが高まります。いつもよりもゆっくりめに一歩一歩行動し、水分補給と休息を十分に取ることが大切です。
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重い荷物でもブレない歩き方の基本
稜線でよく出てくるシーンが、岩がゴロゴロしているガレ場や、小石や砂が敷き詰められたようなザレ場。不安定で歩きにくい登山道こそ、歩き方の基本を思い出してください。靴底の全体を接地させるフラットフィッティングを意識しながら、歩幅は小股で歩くと安定感を得られます。
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変わりやすく、冷えやすい。そんな山岳環境を想定した準備を
地上よりも気温が低く、吹き抜ける風の影響を受けやすいのが山岳環境。標高100m上がるごとに気温は約0.6℃下がるといわれ、風速が1メートル増すごとに体感温度が1℃下がるといわれています。晴れていたのに、ガスがもくもくと上がって天候が変わることも。
ウェアの着脱による体温調整はもちろんのこと、風対策としてウィンドシェルなど気軽に羽織れるものを備えておくと安心です。
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デポもひとつの手段。登頂したあとは、テント場へ
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飲み物や行動食、救急キットなどをサブザックに移し替えて登ると、体への負担も軽く、身軽になるため安全性も高められます。
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目的の山頂に登り、空が開けた気持ちのいい稜線をたどれば、いよいよテント場が見えてきました。
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受付とルール確認で、テント泊を気持ちよく
まずはテント場を管理する山小屋で受付を。受付時には、山小屋スタッフから水場やトイレなどのルールについて説明があります。もし気になることがあれば、このタイミングで聞いておきましょう。
テント設営の流れと、
快適に過ごすためのポイント
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場所選びと設営前の下準備
テントで快適に過ごすために場所選びが重要です。確認したいポイントは3つ。
・できるだけ平坦な場所
・水はけのよさ
・水場やトイレが近い
設営場所を決めたら、快適に過ごすために大事な下準備のひと手間を。小石などを撤去して整地し、ペグ代わりに使えそうな大きめの石を確保しておくと、スムーズに設営できます。
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5ステップで設営できるテント
山岳テントは、たった5つのステップで簡単に設営できます。
1.インナーテントを広げる
2.テントポールを組み立てて、インナーテントを立ち上げる
3.インナーテントをペグダウンして固定
4.フライシートを掛ける
5.フライシートの入口や張り綱をペグダウンして固定
吹き抜ける風で、テントが飛ばされたり破損されたりしないように風向きチェックは忘れずに。テントの短辺側を風上(風が吹いてくる方)に向けると、耐風性を高められます。
押さえておきたい3つの設営ポイント
ポイント1
グラウンドシートを使うと、テント底面の土汚れや穴あき防止できます
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ポイント2
インナーテントを立ち上げるときに、入口を少し開けておくと空気が室内に入り込んで、スムーズに立ち上げられます。
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ポイント3
ペグが刺さりにくい地面では、石をハンマー代わりに使うと打ち込みやすくなります。岩などがあってペグが打ち込みにくい場合は、張り網に重めの石を巻き付けても固定が可能です。
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快適なテント生活は、ちょっとした工夫から
テント室内では、物の置き場所を決めて整理整頓しましょう。探し物が見つかりやすく、居住スペースもしっかり確保できます。大きなバックパックは足元に置いたり、小物はスタッフバッグで管理したりするのが、室内をすっきりさせるポイントです。

枕元に準備しておくと便利なのが、ヘッドライト。灯りのないテント場でも、定位置に置くことですぐ手に取れます。モバイルバッテリーなど同じ電気系カテゴリ-でまとめて置くのも、荷物を管理しやすくなるコツです。
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設営が終われば、山時間をたっぷり満喫
テントの設営と室内環境を整えたら、いよいよリラックス時間。山の上に自分で生活空間を確保したよろこびをかみしめながら、腰を落ち着けましょう。今日の道のりを仲間と振り返ったり、コーヒーを淹れてみたり、ビールで乾杯したり。山に抱かれながら、気ままな時間をゆっくり楽しみましょう。
でも、ひとつだけ注意を。たとえ夏山でも夕暮れ過ぎると気温がグッと下がってくるため、防寒着は必須です。
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自分で選べる、テント泊のごちそうタイム
楽しみのひとつともいえる、夕食タイム。食材や調理器具を背負う必要はありますが、好きなメニューを食べたいときに食べられるのが、テント泊のいいところです。アルファ米などを活用すると手早くお腹を満たせます。
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自然に包まれて眠るという贅沢
テント泊の大きな魅力は、山との距離感。通り抜ける風、時間とともに冷えてくる気温、自然のニオイ、生息する動物の鳴き声や気配。テントという薄い布地を通して感じる山の気配を感じながら大地に横たわっていると、山との一体感が得られます。
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テントから顔を出すと広がるのは満天の星。まさに息を吞む体験です。
テント場のマナー

日が落ちたら静かにしましょう。山小屋と違ってテント場に消灯時間はありませんが、翌朝早くに行動する登山者がすでに寝ていることもあります。
食事や団らんは明るいうちにすませて、日が暮れたら物音や会話などは周囲に配慮しましょう。

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朝焼けと朝ごはんが、身も心も満たしてくれる
早朝に昇る太陽によって、山肌が赤く染まるモルゲンロート(朝焼け)。1日分の行動の活力になるほど心が充足されるようです。テント場からでも少し登った山の上からでも、ぜひ見ていただきたい山の風景のひとつ。
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心の次に満たすのは、もちろんお腹。朝ごはんは手早く食べられるメニューにすると、スムーズに登山の基本の「早出」ができます。
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テントを撤収して、下山の準備を
さて、いよいよテント場から撤収です。テント室内を片付けたら、設営の逆手順でテントを撤収していきましょう。
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撤収時のコツ
・フライやインナーテントについた結露は拭き取る
 バサバサすると生地を引っ掛けて破いたり、風に飛ばされるリスクがあるため

・張り綱は束ねる
 つぎに設営するときに張り綱が絡まっていると、設営に手間取ってしまうため

・テントスリーブを引いて、テントポールを抜く
 テントポールを持って引き抜くと、連結部がスリーブ内で外れて余計な手間が増えるため

・テントポールは真ん中か折りたたむ
 テントポール内部のショックコードにテンションを均一にかけて、破損リスクを軽減

・インナーテントやフライは立ってたたむ
 土や砂利などを巻き込まなくなって、家での後片付けが楽になるため

・抜いたペグは一ヵ所にまとめる
 テント場で一番の忘れ物となるペグを、しっかり回収するため

・インナーテントとフライの収納袋を分ける
 余裕をもって収納でき、パッキングも楽に。結露に濡れたフライと、乾いているインナーテントを分け入れるのにも便利です
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下山中の頭の中は、ご褒美でいっぱい
登山の事故は、下山中が多いといわれています。溜まった疲れや集中力の低下から、転倒や滑落、道迷いが起こりやすくなるようです。登りと同じように、ゆっくり焦らず一歩ずつ。適度に休憩を取りながら下りていきましょう。
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でも、頭の中は下山した後のことでいっぱいかもしれません。お風呂に入ってさっぱりしたら、地元の名物に舌つづみ。考えるだけでも足取りが軽くなります。そんな楽しみも登山に満足できたからこそ。

ひとつの山を、もっと深く感じる方法。それがテント泊登山かもしれません。次はどの山に泊まりましょう?
快適さを左右するレイヤリングのコツ

「日差しが降りそそぐ稜線で」
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UVプロテクションもあるベースレイヤーを
吸汗速乾性はもちろんのこと、日差しを遮るものがない稜線ではUVプロテクションを備えてたベースレイヤーがおすすめ。日焼け対策には長袖タイプも有効です。
「冷え込むテント場で」
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寝る前に体を冷やさないための防寒対策
夜の山上は冷え込みます。テント泊では、一度冷えた体を温めることはなかなかできません。ダウンや化繊綿などがしっかり入った防寒着で、体を保温しましょう。
「気温が低い早朝行動に」
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通気性と保温性を両立したアクティブインサレーション
早出した早朝はまだ気温が上がりきっていませんが、行動していると体が熱くなって汗をかいてきます。体がのぼせないように熱や蒸れを排出しながら、適度な保温も両立できるアクティブインサレーションが一枚あると重宝します。
「雨が降ってきたとき」
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体やウェアを濡らさないようにレインウェアを着用
濡れると体が冷えてしまうため、雨粒を感じたら早めに着用すると安心です。 防水性と行動中のムレを排出できる透湿性に加え、防風性も備えたレインウェアは強く吹き付ける風にも対応できます。
「下山後の着替えに」
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体を安らげるゆったりウェア
お風呂でさっぱりしたあとは、リラックスシルエットで肌触りがいいウェアがおすすめ。足元はサンダルに履き替えると、よりくつろげます。

 原稿:大堀啓太(ハタケスタジオ)

 撮影:後藤武久