1984年生まれ。

モーグルからハーフパイプ、スロープスタイルとフリースキーの競技者から、北海道を拠点にバックカントリーでの活動が増えていた川口に、転機が訪れたのは2012年。仲間の誘いで訪れたカナダの広大な未開拓斜面に魅了され、北米へ通い詰めるようになる。毎年長期間に渡りキャンプ生活で行われるカナダ、アラスカへのロードトリップは、滑走だけではない自然観を変えるほど彼の探究心を刺激する。

川口の活動の中心は、未知なる斜面でのライディングだ。失敗も成功もその多くは撮影という形で記録され、映像作品などを通して発表し続けている。見たことのないような大斜面の滑降に、クリフジャンプ、時には息を飲むような危険なシーンまで、川口の熱量が画面を通して伝わってくる。

表現者とは常に新しいものを求められる。究極の滑走シーンに、人々はいつのまにか見慣れていくが、川口は人々の欲求に応えるためだけに滑っているのではない。天才肌ではないと自身を分析する川口は、己の探究心のままに、リスクと欲望をマネジメントしながら粛々と挑戦を続けている。表現者としては確実に日本を代表するビッグマウンテンスキーヤーでありつつ、リラックスしたスキースタイルとそのキャラクターは、多くの視聴者の共感を誘う。