gwmaverick Wool Recycle Project gwmaverick Wool Recycle Project

Photo Tomoaki Shimoyama

Edit & Text Takayasu Yamada (THOUSAND)

Web Design Mikuto Murayama (THOUSAND)

gwmaverickと毛七の
継続的な取り組み

前シーズンとなる2020 年秋冬から、gwmaverickがコレクション展開してきた特別な生地『毛七(けしち)』。
愛知県尾張西部から岐阜県西濃にかけてを総称し、尾州と呼ばれる古くから繊維産業が盛んなこの地域で継承され続けてきた、リサイクルウールの生地ブランドがこの毛七だ。以前も当ウェブサイトで、毛七について紹介をした記事があるので、詳しくはこちらを参照してほしい。

今でこそ、サスティナブルという言葉がファッションの市場では取りざたされている。環境に良いもの、リサイクル可能なものなどが注目をされているが、そんな言葉が生まれる以前から、ここ尾州では当たり前のようにウールを自分たちの手によって再生してきたのだ。「もったいない」。とてもシンプルなその思いを全てに。
そんな再生ウールを、今こそしっかりと発信していきたいという考えで、尾州の生地メーカーである『大鹿株式会社』が手掛ける生地『毛七』。gwmaverickは、毛七が持っているストーリーに共感し、前シーズンから今回の2021 年春夏、そして次のシーズンにかけて継続的に毛七を使用したコレクションを製作していく。

そしてこの春、gwmaverickが開始したプロジェクトでは、毛七の生地を使った商品を作るだけではなく、お客さんも参加できるリサイクルのための活動を行なった。『WOOL RECYCLE PROJECT』と題したgwmaverickと毛七の取り組みをここに紹介したい。

写真:gwmaverick Wool Recycle Project

去る今年4月、愛知県名古屋市にあるファッションビル『ラシック』で開催されたgwmaverickのポップアップストア。エントランスを入ると、真っ先に目に付く場所で期間限定のポップアップストアは開催されていた。そこでは、今季のフルコレクションが揃い、毛七のアイテムももちろん販売を行なった。その会場内に置かれた1つの箱。これが、ウールリサイクルボックスである。

写真:gwmaverick Wool Recycle Project

着なくなったウール製品を捨てるのではなく、会場に持ってきてリサイクルして貰う。そして集まった服を、この毛七の取り組みで、またいずれウール生地に生まれ変わるというプロジェクトである。実際に会場に置かれたボックスの中を覗くと、たくさんのウール製品が入っていた。協力してくれた方には、毛七の生地を使用したこのプロジェクトでしか手に入らないエコバッグを配布。必要なくなったウールを託すことで、やがて生まれ変わる生地で作られたバッグが手に入るという還元的なプロジェクトだ。

写真:gwmaverick Wool Recycle Project 写真:gwmaverick Wool Recycle Project

集まったウール製品を
反毛の現場へ届ける

ラシックでのポップアップも終わり、集まったウールを毛七にするために再生羊毛の行程がそこから始まる。
今回は、再生羊毛の最初の工程である“仕分け”のために、前回の記事でも紹介した株式会社サンリードを取材。サンリードの代表である南さん、大鹿株式会社で毛七の営業を担う塚本さん、そしてgwmaverickチームの小林さんとともに、このプロジェクトについて話を聞いた。

  • 写真:gwmaverick Wool Recycle Project
    リサイクルプロジェクトで集まったウールを南さんに渡す小林さん。
  • 写真:gwmaverick Wool Recycle Project
    名古屋ラシックでのポップアップで集まったウール製品。

サンリードは、必要なくなったウール製品を回収し、反毛という生地の再生を行う会社。前述したサスティナブルな考えにより、ここ数年で国内はもとより海外の様々なブランドや企業からも活動が注目され始めたようだ。「最近は本当に注目されることが多くなりましたね。実際に見学に来られたり、今回のプロジェクトのように集めたウールを弊社に持っていきたいという声を頂いたり。周りの目は変わりましたが、私たちはこれまでと何も変わらずやるべきことをやっているだけです。それでも、注目されることで活動に共感を頂いて、毛七の生地を使ってもらえるきっかけになれば嬉しいですね(南さん)」。

写真:gwmaverick Wool Recycle Project

そう南さんが話すように、広がりつつある毛七の生地。gwmaverickが製作している毛七のコレクションも、そのストーリーだけでなく独特な風合いの生地感、柄が好評だ。「毛七のストーリーをお客様に伝える以前に、まず『良い柄ですね』と仰って頂ける方が本当に多くいらっしゃいます。そのうえで、実は毛七という生地で、こういったストーリーがあるんです。とお伝えすると、リサイクルによって出来た服ということに驚かれます(小林さん)」。それに対し、南さんがこう続ける。「アパレルの企業は、私たちと手を組むことで、今、注目されているからリサイクルの部分を前面に打ち出すように製品を作ることが多いです。でも、今、小林さんが話したように、大切なのはそれだけではないと思います。まずはデザインが良くないといけない。デザインや品質を気に入って頂けて、実はこういう生地だったというアプローチの仕方が大切だと思います(南さん)」。今でこそサスティナブルな考えに関心があり、リサイクルということだけでも「買いたい」というきっかけになるかもしれないが、ファッションである以上それだけでは飽きてしまう。デザインや着心地などがまず魅力的でなければいけない。海外にも尾州のように、ウールをリサイクルしている環境はあるようだが、品質の良さで言えば、やはり日本は優れているようだ。まずサンリードのように仕分けを行う工程から、色の選別や不必要なパーツの解体作業など徹底をしているからだろう。そうやって拘ることで、リサイクルされ、また高品質なウール生地に生まれ変わるからこそ、製品になった時に、優れたデザインや着心地を叶えることができるのだ。「日本人はやはり丁寧ですからね。海外の方が来られた時に、綺麗に仕分けしていることに驚かれますよ。海外だと、例えばグレーに仕分けした中に多少ほかの色が入っていても、グレーの色味の生地にはなるじゃないですか。ですが、パッと見はグレーでも、よく繊維を見るといろんな色が入っていたりします。私たちが作るような生地は、しっかりと色分けを行うので綺麗ですよ。ただ、綺麗すぎて本当にリサイクルなのか?と疑われることもあります(笑) (南さん)」。

  • 写真:gwmaverick Wool Recycle Project
  • 写真:gwmaverick Wool Recycle Project
  • 写真:gwmaverick Wool Recycle Project

優れたリサイクルの技術を
これからも長く続けていく

また、リサイクルというと、ペットボトルや紙など集まった量の数パーセントが還元されるイメージだが、毛七に関していえば反毛によってむしろ質量は増えるようだ。「1000着の山があるとして、それを生地にしたら1000着分くらいの服にはなると思います。毛七であれば合繊を足すことになるので、かえって生地量は増えるかもしれません(南)」。そう話すように、毛七は質量が減らないという究極のリサイクルと言える。
今回のキャンペーンで集まったウール製品は、各地にあるリサイクルボックスや企業などから集まったものと一緒に色分けされ、やがてまたウール生地となる。毛七の活動がメディアなどで知られることで、たくさんの方から協力したいと問い合わせがあるようだ。今は、各自治体のリサイクルボックスに出すか、今回のキャンペーンのようなウールリサイクルボックスが設置される機会を狙うかだが、世間にも広く知られることでより大きなムーブメントになっていくことを願いたい。「注目されているからといって、何か勢いづくわけではなく大切なのは、続けていくこと。皆さんに興味を持ち続けて頂けるように、丁寧に良いものを作り続けていきたいです(塚本さん)。」

gwmaverickでは、今後も毛七コレクションの展開を予定している。名古屋ラシックでのポップアップの後に行なった、大丸札幌でのポップアップでもウールリサイクルボックスは設置をするなど、今後も継続した活動を続けていくようだ。環境にも良く、高品質な尾州のリサイクル生地、毛七。是非店頭で実際に生地の魅力を確かめてみてほしい。

写真:gwmaverick Wool Recycle Project 写真:gwmaverick Wool Recycle Project

Item Lineup