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8:00
キャンプライドのはじまりは
パッキングから
東京港、竹芝客船ターミナル。ロードバイクに乗って現れたのは、自転車乗りたちに愛されるサイクルショップ「BLUE LUG」スタッフ3人。アウトドア好きが多いBLUE LUG スタッフの中でも人気の伊豆大島にキャンプライドで挑む。吉井哲平さんは T シャツにショートパンツという軽装、西井良作さんは元 BMX ライダーと言われれば納得のラフな格好、坂本なつみさんは速乾性に優れたシャツを羽織るなど、各自、海辺を気持ちよく走る出立ちだ。早速取り掛かったのは自転車の解体。交通機関に自転車を持ち込んでの旅が初めてだという坂本さんを、吉井さんが手慣れた様子でサポートを。「島嶼部への旅は乗り入れ作業が手間ですが、都会の真ん中からアウトドアに直行できるのが醍醐味なんです」。非日常が待つフィールドに、胸を高鳴らせる一行であった。
10:00
大海原を渡り、
組み立てを終えたら、いざ出発
波に揺られること約2時間。無事に下船した後はすぐに自転車の組み立て作業を。「僕らでも、やっぱり自転車は重いんですよ」と語る男性陣。ただ、運び出した後の作業はお手のもの。5分後には自転車が組み立てられていた。この日、西井さんが着用していたのは膝下から着脱できるパンツ。ジッパーを外しハーフパンツにして、自転車が漕ぎやすいスタイルにするなど、準備も万全だ。なだらかな起伏が繰り返す道を、自転車をならすように滑走する。キャンプライドは荷物を最小限にすることが基本。そのため、食材の調達は現地のスーパーへ。本日のメインディッシュは餃子だそう。大島では天候によって食材の入荷に影響があり、「ちゃんと肉が手に入るか?」と若干の不安はあったけれど、お目当ての豚肉は無事購入。もちろんお酒も忘れずに。
12:00
自転車に積める
最低限のギアだけで
島のラーメン屋で昼食をとり、本拠地となるキャンプ場に向かう。午後のライドに備え、速やかにテントの設営に取り掛かる。各自、テントはソロタイプを持参しており、吉井さんはサイドバッグの中に、西井さんは前輪のフレームに付属、坂本さんはフロントのケージ部に固定してきたそうだ。また3人共、テントと対になるかたちでチェアもフレームに固定してバランスを取っている。なるべく荷物を減らす必要があるため、タープを持参することはあまりない。手短に設営を終えると、再び自転車に乗って道へ繰り出す。重たいサイドバッグから解放されたロードバイクは、路面を求めてウズウズしているように見えた。
14:00
地球とは思えない大地を
駆け回る
今回の旅の目的地のひとつである、裏砂漠へ。まず3人の前に立ちはだかったのは、未舗装の険しい林道だ。自転車にまたがって進むのはほぼ無理で、少々退屈な時間が過ぎるかと思いきや、そこは BLUE LUG のスタッフ。「あの斜面にタイヤを当てたら、登れそう」と、果敢に道なき道を攻めることを忘れない。坂本さんは、そんな「男子」たちを横目に地道に手押しで自転車を進めていく。ついに到着した、一面の黒い世界。ジャリジャリとした火山灰による大地を嬉々として滑走する3人。「この路面の感触は初めて。そして何よりも、ロケーションに圧倒されます」「マウンテンバイクで来たら、もっと楽しいだろうな」と吉井さんと西井さん。いろんな道を走ってきたけれど、まだまだ知らない道があることを実感する2人であった。
16:00
走りを満喫した体を休める
リフレッシュの時間
トレイルライドを堪能した3人は、地元の温泉施設「愛らんどセンター 御神火温泉(ごじんかおんせん)」へ。ここは、夜行便で大島に来る人たちのために朝 6:30 から営業している、知る人ぞ知る憩いの施設。教えてくれたのは、かつて大島に遊びに来た BLUE LUG のスタッフとのこと。裏砂漠のライドしかり、温泉しかり、火山の恵みを全身で堪能する。その後、3人は海辺の道をのんびりと走りながらキャンプ場へ。大島名物、バウムクーヘンのような地層切断面が目を引けば自転車から降りたり、砂浜で休憩したり、坂本さんが最近ハマッているドーナツ作りの話を聞きながら並走したり。速く走ることをいったん忘れての、島らしいのどかな時間が流れていた。
18:00
分担して持ち寄った料理道具で
餃子パーティー
キャンプライドでは、当然、薪も現地調達。ファイアスターターで着火し、種火を育てていく吉井さん。西井さんと坂本さんは餃子の調理に励む。道具は、分担して持ち寄ったのだという。「荷物を減らせますからね。これもグループキャンプの良さです」物を省くと言えば、自転車のフロントのバスケットを外し、ミニテーブル代わりにする人もいるそうだ。コンパクトなまな板と、ボウル代わりにクッカーを使っての餃子の種づくりは一見すると大変そう。蓋の代わりに覆うアルミホイルも、風に揺れて若干心許なく感じる。だが、そんな苦労も仲間同士のにこやかな笑いがかき消してしまう。「ひとつ食べてみてよ」「オッケー。お腹壊して1週間休んだら許してね〜」出来具合にほっとする3人。餃子パーティー、いよいよ開催。
20:00
寝袋も省き
エアマットの上で就寝
あたりに電灯一つないサイトなので、早めに寝床の準備に取り掛かる。西井さんと坂本さんは、エアマットを敷くだけ。この上に雑魚寝するスタイルだ。荷物を極力減らすために寝袋は持参しないのだという。「寒かったら、上着を着ればいいし」「上着は、使わなかったら、丸めて枕代わりにできますしね」一方の吉井さんは寝袋を持参。「一応3シーズン対応可能なものですが、僕は冬も使用しちゃいます。ダウンを着て、ダウンパンツを履けば寝られますから」エアマットに雑魚寝派と、極薄の寝袋派。コンパクトなパッキングの妙をここでも見て取ることができた。
22:00
00:00
2:00
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6:00
朝陽を眺めながら
挽き立てのコーヒーで乾杯
昨日は島の自然を巡る旅に時間を費やしたので、朝はゆっくりと近辺の散策を。「吉井さんが、豆とミルを持ってきてくれたんです!」と、坂本さんが嬉しそうに語るのには理由があった。かつて、BLUE LUG のメンバーたちと初めてキャンプをした時、勢い込んで、マイコーヒーセットを持参してしまったのだという。「普段自宅で使うポットも持っていってしまったんです。家でやれよ!ってツッコまれました(笑)」。そんな微笑ましい経験もあったことから、坂本さんはいかに荷物を減らすかということを考えるようになったという。インスタントコーヒーではなく、豆から挽いた香ばしいコーヒーを片手に、みんなで乾杯。飲み終えた後は、朝陽が降り注ぐ中で撤収の準備。港へ向けて、最後のライドがはじまる。
旅のスタイルは、
「目的」によって磨かれていく
今回、彼らが求めたのは、もちろん自転車に乗って非日常を駆け回ることだ。そのためには持参する道具を削ぎ落とさなければならず、選ぶギアも精査されていく。思えば、目的地に「伊豆大島」を選ぶことも非日常への最短距離という点で合理的だといえるし、夕飯を肉も野菜も炭水化物も摂取できる「餃子」に決めたことも理に適っているといえる。神経質になって選択をしたようには見えないが、旅を重ねることで磨かれたキャンプライダーの体質が、無意識のうちにそうさせたのかもしれない。キャンプのギアは、カッコよくて魅力的だ。けれどその前に、自分は、旅に、キャンプに何を求めているのか? 改めて自身に問いかけてみると、次にめざしたくなる旅先や、手にしたくなる道具が見えてくるに違いない。
- Camper’s Profile
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BLUE LUG スタッフ
吉井哲平
西井良作
坂本なつみ -
吉井さんと西井さんはメカニックを担当しているスタッフ。坂本さんはバックオフィスで BLUE LUG 全体を管理。Instagram には、BLUE LUG のメンバーたちも頻繁に登場し、3人はその常連。この組み合わせで旅をするのは初めてとのこと。