Vol. 08

ストイックなだけじゃない
ラン&キャンプという試み

Run boys! Run girls! 桑原慶

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9:00

清々しいキャンプ場に設営したら
さっそくトレイルラン開始

高原らしく清々しい 空気をまとったカヤの平キャンプ場。テント泊装備とともにここを訪れたのは、トレイルランショップ「Run boys! Run girls!」を経営する桑原慶さん。ショップのランクラブの一員である神野恵美子さんと、桑原さんの古くからの友人で長野在住の増田安寿さんも一緒だ。今回の目的はトレイルランとキャンプの融合という欲張りなスタイルを試すため。桑原さん自身もやったことがないらしいので初挑戦となる。「ベースキャンプを作って、そこを拠点にいろんな場所を走りに行く。日帰り温泉やお風呂付きキャンプ場などをうまく利用すれば快適に楽しめそうですよね」と桑原さん。いろいろとルート案を出した結果、選ばれたのがこの場所だ。必要最低限のギアでまとめたサイトを設営したらさっそくランへ。

11:00

変化に富んだ風景を
楽しみながら走る

トレイルランの装備に着替えてすぐに走り出す。アップはあまりしない人が多いという。「大会じゃない場合は、ゆる〜く走り始めてそれで体をあっためていくことが多いですね」。このコースを選定した理由としては風景のバリエーションが多いことだという。「山はもちろんなんですが、里山や田園などを走ったりするので、日本の原風景を見られる感じもすごく楽しいんです」。木島平及び高社山周辺ではトレイルランニングの大会も開催されていて、試走したこともあるという神野さんが言う。残念ながら稲は刈られたあとだったけど、遠くに奥信濃の山々を眺めながら走るのは気分が良さそうだ。「トレイルランは旅の要素もあります。歩きでは絶対に無理な距離を移動できるので、それだけ変化を楽しめるんですよね」と桑原さん。

12:00

必要最低限の行動食だけど
それぞれの個性が見え隠れ

ロングの大会では少し大きめを選ぶというトレイルランザックも今回のようなファンランだったら7L程度で十分。中身はレイン、エマージェンシーキット、行動食だ。行動食には個性が出る。桑原さんは自身がディストリビューターも務める「トレイルバター」。「ストイックすぎず、味も諦めてないところが気に入っています。これ一個で親子丼くらいのカロリーがあるので、重量効率も良いですしね」。神野さんは「POWBAR」。北海道ニセコにあるブランドで登山者にも人気。そして増田さんはトラディショナルな羊かん。いまはスポーツ系の羊かんも出ているけれど、あえてこちらを選んでいるそうだ。それとは別にみんなマグネシウム入りの行動食も持っている。足が攣りにくくなる効果があるのでトレイルランナーの間では人気だという。

15:00

今回のコースの見せ場
川を渡ってキャンプ場へ

カヤの平キャンプ場へと戻る途中には、渡渉(川を渡る)地点がある。トレイルランのコースの中でもハイライトとも言うべき場所で、深い森の中に光が差し込むと美しい場所だ。「ここまでずっと登りが続きましたからね。暑い時期だったら、脚と言わず体ごと使ってアイシングしても気持ちが良さそうなんですが……」。季節は秋。さすがに渡渉は身に染みる。防寒といえば、最近桑原さんがお気に入りだというウィンドシェル。「インフィニティトレイルフーディというんですが、ダブルファスナー仕様なので風抜けも良いですし、背面と脇に小さな穴が空いていてベンチレーションとして機能するから、いろんな天候、シーズンに対応してくれるんですよ」。

17:00

ここからはキャンプモード
疲れた体に鍋が染み入る

キャンプ場に戻ってきたら、トレイルランから一転。オートキャンプ的楽しみが待っている。桑原さん自身はあまりオートキャンプはやらないというが、増田さんは定期的にファミリーキャンプを楽しむ。「家が薪ストーブなので薪には困らないですしね」と、この日も大量の薪とキャンプギアを持参してくれた。料理担当は神野さん。Amazonで買ったというアルミ製の超軽量鍋を使って、キムチ鍋を振る舞ってくれる。これを北アルプスの縦走時に作ったこともあるという。「飯テロだ! なんて他の登山客に言われました」。たしかにこの匂いはストイックな縦走中には周囲の羨望の的だろう。「焚き火と料理。あったまるなぁ。持つべき物は友ですねえ」と桑原さんが笑う。

19:00

食事の後のトレイルラン談義
次の計画もすでに生まれた?

食事が終わったら、おのおの好みのお酒を片手に地図を広げる。明日のルート確認をしつつ、それぞれの大会や近況などを語り合う。「地図をみんなで眺めながら、ここは走ったら気持ちが良いんじゃないか、とか想像力を働かせて、プランニングをする時間もトレイルランの楽しみのひとつだと思います」。トレイルランの時には、スマートフォンに地図アプリをダウンロードしつつ、紙の地図も必ず持参するという。「万が一、転倒などしてスマートフォンが故障しないとも限らないですからね。エマージェンシーキットも必ず持参しますし。そのへんの安全面への配慮は徹底するようにしています。なんといっても自然相手の遊びですから」

21:00

ULスタイルなんだけど
それぞれの工夫で保温も万全

走った後の適度な疲労と、アルコールの効果もあって就寝時間は早め。桑原さんと増田さんは「ランダー4」をインナーなしでシェルター的に使っている。桑原さんはコットを組み立てて、その上に寝袋を。一方、増田さんは地面に断熱性のあるタイベックシートを敷いて、そのままゴロン。冷えやすい足元はダウンシューズでカバーしている。神野さんは「マウンテンショット1」。「天井にクリアランスがあるから着替えもしやすいです。女性の場合、テントは更衣室的な役割もあるので」。腰回りには自作したというDCF(通称、キューベンファイバー)の腰巻きを着用。なんと最近脱サラして、登山やトレイルランで使える軽量小物のブランドを立ち上げたという。

23:00

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新鮮な空気を楽しむ
早朝ランへ出発

まだ薄暗い中起き出して、早朝ランに出かける。目指す場所はキャンプ場から少し降りたところにあるブナの森。キャンプ場周辺には無数のトレイルが付けられているのも、トレイルラン&キャンプのスタイルにピッタリの場所なのだ。このあたりのブナは樹齢300年を超えるものも多く、美しい紅葉も楽しめる。「タイミング的にバッチリでしたね。ここの大会は夏に開催しているんですが、秋の紅葉の中を走るようにしても楽しいんじゃないかな」と桑原さんが言う。「今年の紅葉はいまいちかな、と思ってたんですけど、ここは素晴らしいですね」と増田さん。斜度もサーフェイスもトレイルランに最適ということで、全員気持ち良さそうに駆け下りていく。

7:00

旅の締めくくりは
野菜たっぷりの朝食で

ひとしきり朝ランを楽しんだ後は、キャンプ場に戻って朝食。ここでも神野さんが見事な料理スキルを披露してくれた。目玉焼きにウィンナー。メインはポテトサラダがたっぷり入ったホットサンド。プチトマトの色味も美しくて、思わず写真を撮りたくなる素敵な見映えだ。「ポテトサラダはコンビニで売っているものなんですけどね。山にも持って行きやすいので重宝してます」。最小限の材料で最高のクオリティ。道具立てもそうなんだけど、カリカリに削りきったUL系ではなく、適度に豪華な要素を入れているのがいかにも熟練者。「帰ったら他にもトレイルラン&キャンプの適地がないか探します」と初の試みながら桑原さん的にも大満足な内容だったようだ。

既成概念に囚われず
トレイルランを自由に遊ぶ

トレイルランというとストイックな印象を持たれがちだけど、桑原さんのスタンスはそれだけではない。もちろん海外の100マイルレースに参加するなどガチな部分もあるけれど、お店のお客さんと一緒のランイベントを開催したり、ファストパッキングでのテント泊縦走も楽しんだりしている。今回のベースキャンプ式トレイルランは初の試みだというが大満足の様子だった。ガチとファンのハイブリッド。桑原さんのショップの品揃えにしても、コンペティティブなものだけではなく、カルチャー色の強いアイテムも多い。トレイルランというものを柔軟に捉えている桑原さんだから、自然とショップはトレイルランの情報発信・交換の場所になっている。どんな状況もウエルカム。そんな桑原さんはトレイルランの裾野を広げてくれる存在でもある。

Camper’s Profile

Run boys! Run girls!

桑原慶

トレイル/ランニングショップ「Run boys! Run girls!」店主。UTMFをはじめ国内のトレイルランの大会のみならずフランスのUTMB、メキシコのUMCB、イギリスのOMMなど海外のレースも完走した経験を持つ。ショップでは物を売るだけではなく、グループランやインベント開催、クラブチーム運営などを通じてランニングの魅力を幅広く伝えている。

Camp Site

カヤの平高原キャンプ場

〒389-2303
長野県下高井郡木島平村上木島
090-8025-4288

備考:キャンプ場に関するお問い合わせは、上記まで直接ご連絡をお願いいたします。

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