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OTHER

Invisible Sculpture

空気の流れに揺らぎ、立ち現れる像 。自分の中に広がる自然。

THE NORTH FACE Sphereのウィンドウディスプレイには冬の訪れとともに新たなオブジェクトが設置された。
自然界の樹木のようにあるTHE NORTH FACE Sphereの1FからB1Fの吹き抜けの空間に吊り下げられた無数の素材は「麻ガラ(オガラ)」という茅葺きに使われる茅の一種。

伊勢神宮をはじめ、各地の神社に奉納される数少ない国産の麻。
その繊維を採った後の軽やかで光沢のある「麻ガラ」の特徴を活かして制作されたオブジェクトは、大地に降り注ぐ慈雨のようでもあり、光の束のようでもある。
目を凝らし、近づいたり離れたりすると中空にぼんやりと像が浮かび上がり、しばらくするとそれが球体だということに意識が向かう。
何もない中に膜を感じ、何もない中に像を見出し、何もない中に何かあることを意識する。

これらのオブジェクトを制作したのは茅葺き職人、相良育弥さん率いる職人集団「くさかんむり」。
相良さんは伝統的な茅葺きを用い文化財の修復などを行いながら、その領域を越え、現代的な表現にも取り組み建築家にも頼られる存在だ。

THE NORTH FACE Sphereの扉を開け、皆さんが横を通るたびに起こる小さな空気の流れを受け止め、しなやかに揺れる作品は寒空に揺れる茅のようでもあり、風を受け気持ちよく走る人のようでもある。

title : estinto...

観ようとしないと観えない景色。
耳を澄ませないと聴こえない音。
味も香りも手触りも、
世界には初めから全部が在るけれど、
人はその時々の気分や体調や都合で、この世界の全てを享受できないでいる。
自ずから然しむ、力強く美しいこの世界と、
自分の中のある何処までも広がる自然に、
ゆっくり静かに向き合う為のきっかけになってくたら。
そしてまっさらな世界と出逢い直したあなたが、さっきと同じ景色の中に、今まで気付いていなかった幽けきものを感じ、楽しめるようになってくれていたら嬉しいです。

相良育弥(くさかんむり)

Text: Ikuya Sagara (KUSAKANMURI) / Nobuyuki Kosuge (archipelago)
Image: KUSAKANMURI
Photograph: Nobuyuki Kosuge (archieplago) / GOLDWIN INC.